11.血液・造血器系

アディノベイト(ルリオクトコグ)の作用機序と副作用【血友病A】

アディノベイト静注用250、同500、同1000、同2000(一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え))の効能・効果である「血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制」に対し、12歳未満の小児の用法・用量追加が2017年11月30日に承認されました。

「血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者」とは、いわゆる「血友病A」のことです。

ポイント

  • 製造販売元(輸入元):シャイアー・ジャパン(株)

 

また、アディノベイトはアドベイト静注用3000(一般名:ルリオクトコグ アルファ(遺伝子組換え))を改良した製剤です!

 

今回は止血のメカニズムと血友病、そしてアディノベイト(ルリオクトコグ アルファ ペゴル)の作用機序についてご紹介します。

 

薬剤師の短期派遣体験記

薬剤師の単発・短期派遣を実体験:隙間時間おkな自由度の高い働き方

↑コロナ渦で改定しました。

止血のメカニズム

我々が怪我などをした際に出血すると、体内では血を止めようとする機構(止血機構)が働きます。

止血には、血小板が関わる一次止血と、凝固因子が関わる二次止血があります。

出血が起こると、まずは血中に存在する血小板が活性化し、損傷部位に集まってきて血栓(一次血栓)を形成します。

これを一次止血と呼びますが、これだけでは簡単に剥がれてしまいます。

 

次いで、一次止血を補強する目的で二次止血が行われます。

二次止血では一次血栓の周囲を「フィブリン」と呼ばれるタンパク質で覆い、強固な止血血栓(二次血栓)を完成させます。

 

二次血栓に関与するフィブリンは様々な「凝固因子」が血液凝固反応(カスケード)を引き起すことで生成されます。

 

二次止血時の血液凝固反応(カスケード)とは

血液凝固反応では、全部で14種類の凝固因子が活性化することで引き起こされます。

一般的に凝固因子はローマ数字(例:Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)で表され、活性化した凝固因子はローマ数字の後ろに“a”を付けて(例:Ⅴa、Ⅶa、Ⅸa、Ⅹa)表されます。

体内の血液凝固反応は、反応の引き金となる因子の違いから「外因系」と「内因系」に分けられていますが、今回は内因系をメインにご紹介します。

 

内因系の血液凝固反応は第Ⅶ因子が活性化(Ⅶa)されることで開始されます。

Ⅶaはいくつかの反応を経て、第Ⅸ因子を活性化(Ⅸa)します。

また、第Ⅷ因子が活性化したⅧaと、Ⅸaによって第Ⅹ因子が活性化(Ⅹa)されます。

Ⅹaはプロトロンビンをトロンビンに変換し、トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに変換します。

 

このようにして完成したフィブリンが二次止血を行い、強固な血栓(二次血栓)を形成します。

今回ご紹介する血友病は上記の凝固因子が欠損して発症する疾患です。

 

血友病とは

血友病は先天的に血液凝固因子が欠損している疾患です。

第Ⅷ因子が欠損している場合を「血友病A」、第Ⅸ因子が欠損している場合を「血友病B」と分類しています。

血友病は染色遺体の伴性劣性遺伝のため、男性の患者がほとんどを占めます。

国内での発症率は男児出生1万人に約1人で、現在では6000名程の患者さんがいらっしゃると推測されています。

 

血友病の病態と症状

血友病では血液凝固因子が欠損していることから、二次止血における血液凝固反応(カスケード)がうまく働きません。

その結果、二次止血に重要な「フィブリン」が生成されないため、様々な出血の症状が現れます。

 

特徴的な出血症状は、関節内や筋肉内の出血(深部出血)です。その他、抜歯後に血が止まらなかったり、頭蓋内で出血することもあります。

 

血友病の治療

血友病の治療は、欠損している血液凝固因子を補充する治療が基本です。

 

血友病による出血を予防するため、上記因子の「定期補充療法」を行います。

また、出血してしまった際には適宜、「オンデマンド補充療法」を行います。

※オンデマンド(on-demand)とは、「必要に応じて」を意味します。

 

血液凝固因子製剤は在宅でも安全に静脈内投与ができることから、上記の定期補充療法を中心として、出血時には必要に応じてオンデマンド補充療法を行うことが一般的です。

今回ご紹介するジビイは、血友病Aで欠損している第Ⅷ因子の補充を目的としている治療薬です。

 

アディノベイト(一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル)の構造と作用機序

アディノベイトは、ヒト第Ⅷ因子PEG(ポリエチレングリコール)を結合させた長時間作用性の製剤です。

PEG化することによって、半減期が延長し長時間作用するといった特徴があります。

 

アディノベイトによって第Ⅷ因子が補充されますので、その後の血液凝固反応が進行して無事にフィブリンが生成され二次止血が完了します。

 

 

 

なお、アディノベイトはアドベイト静注用3000(一般名:ルリオクトコグ アルファ)の有効成分をPEG化したものですので、改良製品という位置づけでしょうか。

実際にアディノベイトとアドベイトの半減期は以下の通りです(12歳以上の日本人)。1)

アディノベイトアドベイト
平均血中半減期20.6時間12.2時間

 

1)アディノベイト添付文書

 

アディノベイト静注用の副作用

主な副作用として頭痛や蕁麻疹などが報告されています。

 

アディノベイト静注用投与によるインヒビターの出現

定期補充療法を繰り返していると、補充している凝固因子を「異物(非自己)」と認識し、凝固因子に対して抗体が産生されてしまうことがります。

 

このような抗体のことを「インヒビター」と呼び、血友病A患者さんの約10%~15%に認められます。

インヒビターが出現してしまうと、当然、補充した凝固因子が働くことができないため、止血能力が失われてしまいます。

 

インヒビターが出現した際に使用できる薬剤としてはヘムライブラ(一般名:エミシズマブ)が期待されています。

 

まとめ・あとがき

アディノベイトはこんな薬

  • 血友病Aの定期補充療法薬(第Ⅷ因子製剤)
  • PEG化されているため半減期が延長して長時間作用する
  • インヒビターの出現には注意が必要

 

血友病Aに使用できる主な定期補充療法薬(第Ⅷ因子製剤)には、以下があります。

  • イロクテイト:Fc融合による半減期延長型
  • ジビイ:PEG化による半減期延長型
  • エイフスチラ:フォン・ヴィレブランド因子に結合

 

今回ご紹介したアディノベイトはPEG化製剤のため、ジビイと同系統の薬剤ですね。

これら薬剤の使い分けについては今後検討の余地があると思われます。

 

また、ヘムライブラ(一般名:エミシズマブ)インヒビター非保有の患者さんに対して使用できる見込みですので、こちらも期待できそうです。

 

以上、今回は止血のメカニズムと血友病、そしてアディノベイト(ルリオクトコグ アルファ ペゴル)の作用機序についてご紹介しました!

失敗しない薬剤師の転職とは?

数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト

どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。

  • 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
  • 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
  • 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!

上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!

薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較

続きを見る

コロナ渦で改定しました。



薬剤師の勉強・情報収集に役に立つサイト・ブログ8選【無料】

薬学生のための就活オンライン合同説明会

具体的な内容はコチラ

  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
私の勉強法紹介

TwitterとFacebookでも配信中!インスタはくるみぱん氏とコラボ配信!

-11.血液・造血器系
-

Copyright© 新薬情報オンライン , 2021 All Rights Reserved.