5.内分泌・骨・代謝系 12.悪性腫瘍

アナモレリンの作用機序【がん悪液質】

更新日:

2018年11月27日、「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」を予定効能・効果とするアナモレリンの製造販売承認申請が行われました。

現時点では未承認のためご注意ください。

製薬会社

製造販売(仮):小野薬品工業(株)

 

アナモレリンは生体内ペプチドであるグレリンと同様の働きをする「グレリン様作用薬」です。

これまで、がん悪液質に対して有効な薬剤がありませんでした。

 

今回はがん悪液質とグレリンの作用、そしてアナモレリンの作用機序についてご紹介します。

 

<スポンサーリンク>

がん悪液質とは

悪液質”という言葉は、がんに限った用語ではなく、様々な慢性消耗性疾患の栄養不良による終末を意味しています。

 

がんが進行すると、正常細胞に使われるはずだった栄養素や酸素が、がん細胞に過剰に使用されてしまい、正常細胞の栄養失調が起こります。

そのため、目に見えてどんどんと体が衰弱していき、体重減少や筋肉量の減少、食欲不振といった症状が進行性に見られます。

 

また、食物の摂取量の減少、代謝バランス異常も起こるため、がん悪液質は複合的な代謝障害症候群とされています。

 

がん悪液質の状態になると通常の栄養サポートで改善することが困難で、QOLの低下や予後にも影響しますが、有効な治療手段はありませんでした。

 

グレリンの生体内の働き

グレリンは主に胃から分泌される生体内ペプチドホルモンです。

 

その作用は様々1)ですが、一例としては

  • 成長ホルモンの分泌促進作用
  • 摂食亢進作用

があります。

 

グレリンが胃のグレリン受容体に作用すると、迷走神経を介して視床下部の

  • GHRHニューロン
  • NPY/AgRPニューロン(弓状核に存在)

を活性化します。

※GHRH:成長ホルモン放出ホルモン
※NPY/AgRP:ニューロペプチドY/アグーチ関連ペプチド

 

GHRHニューロンが活性化されると下垂体からの成長ホルモン分泌が亢進され、NPY/AgRPニューロンが活性化されると摂食が亢進されます。

 

1)Int J Mol Sci. 2017 Apr; 18(4): 798.

 

<スポンサーリンク>

アナモレリンの作用機序

アナモレリンは選択的な経口グレリン様作用薬です。

 

グレリンと同様に胃のグレリン受容体に作用し、

  • 成長ホルモン分泌亢進
  • 摂食亢進

によって、体重・筋肉量の増加、食欲・代謝が亢進してがん悪液質を改善すると考えれます。

 

その他にも代謝を調節する複数の経路を刺激することでがん悪液質を改善すると考えられています。

 

エビデンス紹介:ONO-7643-04試験

根拠となった国内の第Ⅱ相試験(ONO-7643-04試験)をご紹介します。2)

 

本試験は日本人の悪液質を合併している非小細胞肺がん患者に対して、アナモレリンとプラセボを比較した第Ⅱ相試験です。

共に12週間連日経口投与されています。

 

本試験の主要評価項目は12週時点の「除脂肪体重のベースラインから変化」です。下表は12週時点における結果です。

試験群プラセボ群アナモレリン群
除脂肪体重のベースラインから変化-0.17±0.17kg1.38±0.18kg
p<0.0001
体重のベースラインから変化-0.50±0.19kg1.06±0.20kg
p<0.0001

 

このようにアナモレリンを投与することで体重の増加が認められています。

 

その他、消化器がんの悪液質患者さんに対してもアナモレリンの有効性が示唆されています。3)

 

2)ONO-7643-04試験:Cancer. 2018 Feb 1;124(3):606-616.
3)2018年日本臨床腫瘍学会SPS-9(ONO-7643-05試験)

 

アナモレリンの用法・用量

正式承認後に更新予定です。

前述の臨床試験では1日1回経口投与されています。

 

アナモレリンの副作用

正式承認後に更新予定です。

前述の臨床試験では第1度房室ブロック、発疹、γ-GTP増加、糖尿病、などが報告されています。

 

アナモレリンの薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

<スポンサーリンク>

まとめ・あとがき

アナモレリンはこんな薬

  • 選択的な経口グレリン様作用薬
  • グレリン受容体に作用することでがん悪液質を改善する

 

これまで、がん悪液質に対して有効な治療薬がありませんでしたが、アナモレリンが承認されれば有望な治療選択肢になり得ると考えます。

現時点では未承認のため、承認を待ちたいと思います!

 

以上、今回はがん悪液質とアナモレリンの作用機序についてご紹介しました☆

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

★おススメの関連記事&広告


※新薬情報オンラインの更新情報は、facebookページtwitterにて配信しています。
  • この記事を書いた人

木元 貴祥

大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。FP資格あり。

-5.内分泌・骨・代謝系, 12.悪性腫瘍
-, ,

Copyright© 新薬情報オンライン , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.