5.内分泌・骨・代謝系 12.悪性腫瘍

エドルミズ(アナモレリン)の作用機序【がん悪液質】

更新日:

2019年8月29日の厚労省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会にて、「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」を予定効能・効果とするエドルミズ錠(アナモレリン)の承認可否が審議される予定でしたが、残念ながら継続審議となりました。

小野薬品工業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名エドルミズ錠50mg
一般名アナモレリン塩酸塩
製品名の由来
製造販売小野薬品工業(株)
効能・効果未定
用法・用量通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として
100mgを1日1回、空腹時に経口投与する。
収載時の薬価薬価未収載

 

アナモレリンは生体内ペプチドであるグレリンと同様の働きをする「グレリン様作用薬」です。

 

木元 貴祥
これまで、がん悪液質に対して有効な薬剤がありませんでしたので期待大です!

 

今回はがん悪液質とグレリンの作用、そしてエドルミズ(アナモレリン)の作用機序についてご紹介します。

 

がん悪液質とは

悪液質”という言葉は、がんに限った用語ではなく、様々な慢性消耗性疾患の栄養不良による終末を意味しています。

 

がんが進行すると、正常細胞に使われるはずだった栄養素や酸素が、がん細胞に過剰に使用されてしまい、正常細胞の栄養失調が起こります。

そのため、目に見えてどんどんと体が衰弱していき、体重減少や筋肉量の減少、食欲不振といった症状が進行性に見られます。

 

また、食物の摂取量の減少、代謝バランス異常も起こるため、がん悪液質は複合的な代謝障害症候群とされています。

 

がん悪液質の状態になると通常の栄養サポートで改善することが困難で、QOLの低下や予後にも影響しますが、有効な治療手段はありませんでした。

 

グレリンの生体内の働き

グレリンは主に胃から分泌される生体内ペプチドホルモンです。

その作用は様々1)ですが、一例としては

  • 成長ホルモンの分泌促進作用
  • 摂食亢進作用

があります。

 

グレリンが胃のグレリン受容体に作用すると、迷走神経を介して視床下部の

  • GHRHニューロン
  • NPY/AgRPニューロン(弓状核に存在)

を活性化します。

グレリンの働き

※GHRH:成長ホルモン放出ホルモン
※NPY/AgRP:ニューロペプチドY/アグーチ関連ペプチド

 

GHRHニューロンが活性化されると下垂体からの成長ホルモン分泌が亢進され、NPY/AgRPニューロンが活性化されると摂食が亢進されると考えられています。

 

エドルミズ(アナモレリン)の作用機序

エドルミズは選択的な経口グレリン様作用薬です。

 

グレリンと同様に胃のグレリン受容体に作用し、

  • 成長ホルモン分泌亢進
  • 摂食亢進

によって、体重・筋肉量の増加、食欲・代謝が亢進してがん悪液質を改善すると考えれます。

エドルミズ(アナモレリン)の作用機序

 

木元 貴祥
その他にも代謝を調節する複数の経路を刺激することでがん悪液質を改善すると考えられています。

 

エビデンス紹介:ONO-7643-04試験、ONO-7643-05試験

根拠となった国内の第Ⅱ相試験(ONO-7643-04試験)をご紹介します。2)

 

本試験は日本人の悪液質を合併している非小細胞肺がん患者さんに対して、エドルミズとプラセボを比較した第Ⅱ相試験です。

共に12週間連日経口投与されています。

 

本試験の主要評価項目は12週時点の「除脂肪体重のベースラインから変化」です。下表は12週時点における結果です。

試験群プラセボ群エドルミズ群
除脂肪体重のベースラインから変化-0.17±0.17kg1.38±0.18kg
p<0.0001
体重のベースラインから変化-0.50±0.19kg1.06±0.20kg
p<0.0001

 

その他、消化器がん(大腸がん、胃がん、膵臓がん)で、6か月以内に5%以上の体重減少が認められ、食欲不振を示す患者さんを対象に、エドルミズ1日1回投与の有効性と安全性を確認した国内第Ⅱ相試験(ONO-7643-05試験)も報告されています。3)

主要評価項目の「除脂肪体重の維持・向上率」は 63.3%(95% CI, 48.3%-76.6%)で、試験結果としては達成していました!

 

木元 貴祥
このようにアナモレリンを投与することでがん患者さんの体重の増加が認められていますね。

 

用法・用量

通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として100mgを1日1回、空腹時に経口投与します。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

前述の臨床試験では第1度房室ブロック、発疹、γ-GTP増加、糖尿病、などが報告されています。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

エドルミズはこんな薬

  • 選択的な経口グレリン様作用薬
  • グレリン受容体に作用することでがん悪液質を改善する

 

これまで、がん悪液質に対して有効な治療薬がありませんでしたが、エドルミズが承認されれば有望な治療選択肢になり得ると考えます。

 

以上、今回はがん悪液質とエドルミズ(アナモレリン)の作用機序についてご紹介しました☆

 

引用文献・資料等

  1. Int J Mol Sci. 2017 Apr; 18(4): 798.
  2. ONO-7643-04試験(肺がん):Cancer. 2018 Feb 1;124(3):606-616.
  3. ONO-7643-05試験(消化器がん):Cancer. 2019 Aug 15. doi: 10.1002/cncr.32406.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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