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オテズラ(アプレミラスト)の作用機序【乾癬】

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厚労省は2016年12月20日、「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」を効能・効果とするオテズラ錠(一般名:アプレミラスト)を承認したと発表がありました!

乾癬に使用できる経口投与の薬としては約25年ぶりの登場です。

今回は、乾癬オテズラ(アプレミラスト)の作用機序についてご紹介します!

 


皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。

 

乾癬の原因

明確な原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。

IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。

 

各免疫細胞の活性化と炎症性サイトカイン

マクロファージやT細胞などの免疫細胞が炎症性サイトカイン抗炎症性サイトカインを産生する際、細胞内の「cAMP濃度」がその調節を担っています。

  • cAMP濃度が低い場合:炎症性サイトカインの産生促進、抗炎症性サイトカインの産生抑制
  • cAMP濃度が高い場合:炎症性サイトカインの産生抑制、抗炎症性サイトカインの産生促進

乾癬では、免疫細胞内のcAMP濃度が低いため、免疫細胞が活性化して炎症性サイトカインの産生が引き起こされています。

 

また、cAMPは細胞内の「ホスホジエステラーゼ4(PDE4)」によって分解されることが知られています。

 

乾癬の重症度と治療

乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。

 

重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。

  • 外用療法(塗り薬)
  • 光線療法(紫外線照射)
  • 内服療法(経口薬)
  • 生物学的製剤治療(注射薬)

 

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。

内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体、免疫抑制薬、そして今回ご紹介するPDE4阻害薬のオテズラが重症度に応じて使用されます。

 

また、生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。

  • 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
  • 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
  • 乾癬性紅皮症膿疱性乾癬等の重症な患者さん

生物学的製剤治療については以下の記事をご参照ください。

 

それではここから、オテズラの作用機序についてご紹介します。

 

オテズラ(一般名:アプレミラスト)の作用機序

前述のように、乾癬は各免疫細胞(マクロファージやT細胞、等)内のcAMP濃度が低いため、免疫細胞活性化によって炎症反応によって引き起こされます。

オテズラ錠は、免疫細胞のPDE4を特異的に阻害することで、細胞内のcAMPの分解を抑制し、cAMP濃度を上昇させます。

cAMPが高濃度になると、免疫細胞の活性化は抑制され、炎症反応が抑えられる結果、乾癬の症状改善に繋がると考えられます。

 

オテズラは局所療法(外用療法や光線療法)で効果が不十分であった尋常性乾癬や関節症性乾癬に対して使用することができます。

 

薬価

収載時(2017年2月15日時点)の薬価は以下の通りです。

  • 10mg1錠 324.20円
  • 20mg1錠 648.40円
  • 30mg1錠 972.60円

 

注意事項

オテズラの有効成分であるアプレミラストは、サリドマイドなどに特徴的な「フタルイミド基」を有しています。

サリドマイドにはご存知の通り、催奇形性が知られています。オテズラは臨床試験や非臨床試験において催奇形性は認められていないものの、非臨床試験では胚・胎児毒性が認められています。

従って、オテズラは「妊婦または妊娠している可能性のある女性の患者さん」には投与禁忌ですのでご注意ください。

 

あとがき

近年では乾癬に使用できる様々な薬剤(特に生物学的製剤)が登場してきています。

オテズラも約25年ぶりに経口投与で使用できる乾癬治療薬として登場しました。

今後、使い分けや最適な対象患者さんなどの検討が進めば興味深いと感じます。

 

以上、今回は乾癬治療とオテズラ(アプレミラスト)の作用機序についてご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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