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オテズラ(アプレミラスト)の作用機序【乾癬/ベーチェット病】

更新日:

2019年9月20日、オテズラ錠(アプレミラスト)の効能・効果に「局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍」を追加することが承認されました!

基本情報

製品名オテズラ錠10mg/20mg/30mg
一般名アプレミラスト
製品名の由来特になし
製造販売セルジーン(株)
効能・効果●局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
●関節症性乾癬
●局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍

 

オテズラは2016年12月に「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」を効能・効果として承認されている薬剤で、乾癬に使用できる経口投与の薬としては約25年ぶりの登場でした。

 

今回は、乾癬・ベーチェット病オテズラ(アプレミラスト)の作用機序についてご紹介します!

 


皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

 

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

ターンオーバーの仕組み

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

 

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。

 

乾癬の原因

明確な原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。

IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。

 

乾癬の重症度と治療

乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。

 

重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。

  • 外用療法(塗り薬)
  • 光線療法(紫外線照射)
  • 内服療法(経口薬)
  • 生物学的製剤治療(注射薬)

 

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。

内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬や、今回ご紹介のオテズラがありますが、オテズラは局所療法(外用療法や光線療法)で効果が不十分であった尋常性乾癬や関節症性乾癬に対して使用することができます。

 

そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。1)

  • 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
  • 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
  • 乾癬性紅皮症膿疱性乾癬等の重症な患者さん

 

また、生物学的製剤治療は日本皮膚科学会で定められた病院でのみ治療ができます。生物学的製剤の一覧表や特徴については以下の記事でまとめています。

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序、特徴のまとめ

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ベーチェット病と症状・治療

ベーチェット病は、

  • 口腔粘膜のアフタ性潰瘍
  • 外陰部潰瘍
  • 皮膚症状
  • 眼症状

の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患で、難病に指定されています。2)

 

また、全ての症状に対して一律の治療法は無く、それぞれの症状に応じた治療が行われています。

例えば、眼症状に対してはTNFα抗体薬のレミケード(一般名:インフリキシマブ)が承認されていますが、その他の症状に対してはステロイドや対処療法等しか治療法がありませんでした。

 

今回ご紹介するオテズラはベーチェット病による口腔潰瘍の効能・効果を有する初の薬剤として期待されています!

 

木元 貴祥
それではここから、免疫細胞の活性化と炎症性サイトカインについて詳しく解説します。

 

各免疫細胞の活性化と炎症性サイトカイン

マクロファージやT細胞などの免疫細胞が炎症性サイトカイン抗炎症性サイトカインを産生する際、細胞内の「cAMP濃度」がその調節を担っています。

  • cAMP濃度が低い場合:炎症性サイトカインの産生促進、抗炎症性サイトカインの産生抑制
  • cAMP濃度が高い場合:炎症性サイトカインの産生抑制、抗炎症性サイトカインの産生促進

 

乾癬やベーチェット病では、免疫細胞内のcAMP濃度が低いため、免疫細胞が活性化して炎症性サイトカインの産生が引き起こされていると考えられています。

 

また、cAMPは細胞内の「ホスホジエステラーゼ4(PDE4)」によって分解されることが知られています。

 

 

オテズラ(アプレミラスト)の作用機序

乾癬やベーチェット病では各免疫細胞(マクロファージやT細胞、等)内のcAMP濃度が低いため、免疫細胞活性化によって炎症反応によって引き起こされます。

 

オテズラ錠は、免疫細胞のPDE4を特異的に阻害することで、細胞内のcAMPの分解を抑制し、cAMP濃度を上昇させます。

 

cAMPが高濃度になると、免疫細胞の活性化は抑制され、炎症反応が抑えられる結果、乾癬やベーチェット病の症状改善に繋がると考えられます。

 

注意事項

オテズラの有効成分であるアプレミラストは、サリドマイドなどに特徴的な「フタルイミド基」を有しています。

 

木元 貴祥
サリドマイドにはご存知の通り、催奇形性が知られています。

 

オテズラは臨床試験や非臨床試験において催奇形性は認められていないものの、非臨床試験では胚・胎児毒性が認められているため、日本皮膚科学会から注意喚起が発出されています。

日本皮膚科学会|アプレミラスト製剤の使用に当たっての留意事項について

 

従って、オテズラは「妊婦または妊娠している可能性のある女性の患者さん」には投与禁忌ですのでご注意ください。

 

まとめ・あとがき

オテズラはこんな薬

  • 乾癬では25年ぶりの経口投与治療薬
  • PDE4を阻害し、免疫細胞内のcAMP濃度を上昇させることで活性化を抑制する

 

乾癬では近年、相次いで生物学的製剤が登場してきています。詳しくは以下で解説していますが、オテズラのような経口薬との使い分け等が検討されれば興味深いですね。

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また、ベーチェット病による口腔潰瘍には初の適応を有する薬剤です。

 

木元 貴祥
これまでは対処療法しかありませんでしたが、治療選択肢が増えることは朗報ではないでしょうか。

 

以上、今回は乾癬・ベーチェット病とオテズラ(アプレミラスト)の作用機序についてご紹介しました。

 

引用文献・資料等

  1. 日本皮膚科学会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2018年版)
  2. 難病情報センター|ベーチェット病(指定難病56)

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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