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レンビマカプセル4mg(一般名:レンバチニブメシル酸塩)の効能効果に「切除不能な肝細胞がん」を追加することが2018年3月23日に承認されました。
製薬会社
- 製造販売元:エーザイ(株)
レンビマは既に「根治切除不能な甲状腺がん」の適応を有していますが、肝細胞がんについて適応が拡大されました。
今回は肝細胞がんとレンビマ(レンバチニブ)の作用機序についてご紹介します。
目次(クリック可)
肝細胞がんとは
肝臓は成人で800~1200gの重さがある人体最大の臓器です。
主な役割は、栄養分の取り込みや代謝や合成、薬物代謝、有害物質の解毒や排出、などを行っています。
肝細胞がんはその名の通り、肝臓から発生する悪性腫瘍(がん)のことです。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているため、肝臓疾患全般的(肝硬変、肝機能異常、肝炎など)に初期に自覚症状はほとんどありません。
これは肝細胞がんも同じで、初期に自覚症状はほとんどありません。
肝細胞がんの原因
肝細胞がんの最も重要な原因は「肝炎ウイルスの持続感染」です。
肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなど色々な種類が存在していますが、肝細胞がんと関係があるのは、C型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスです。
肝細胞がんの約60%がC型肝炎ウイルス、約15%がB型肝炎ウイルスの持続感染に起因すると言われています。
従って、肝細胞がんの予防としては、B/C型肝炎ウイルスの感染予防や治療が重要です。
C型肝炎ウイルスの治療薬については、近年、続々と新薬が登場しているため、治癒が期待できるようになってきました。
肝細胞がんの治療
肝細胞がんの治療には、
- 外科治療
- 焼灼療法
- 肝動脈塞栓療法
- 薬物療法(化学療法)
などがあり、肝細胞がんの状態やStageによって選択されます。
発見時に肝臓以外にも転移がある場合や、再発した肝がんの場合、基本的には薬物療法(化学療法)が行われます。
今回ご紹介するレンビマは初回の薬物療法として使用できる薬剤です!
肝細胞がんの血管新生と増殖機構
がん全般的に言えることですが、がん細胞が大きくなるためには多くの栄養素や酸素が必要となります。
そこでがん細胞は、自分のところに血管を無理やり作らせようとし、それに関与する因子として、がん細胞はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)やFGF(線維芽細胞増殖因子)などを放出することが知られています。
これらの因子が、血管のVEGF受容体(VEGFR)やFGF受容体(FGFR)に結合すると、がん細胞に対して異常な血管が作られ(これを“血管新生”といいます)、この血管を通じてがん細胞は大量の栄養と酸素を得ることができます。
そうすることでがん細胞はどんどんと成長し、他臓器へ転移もしやすくなってしまいます。
また、がん細胞の細胞膜にはしばしばRETやFGF受容体(FGFR)が存在しています。
特にRET遺伝子に変異があると、RETが恒常的に活性化している状態になります。
これらRETやFGFRからのシグナル伝達が、がん細胞の核内に到達すると、がん細胞の増殖が活性化されます。
レンビマ(一般名:レンバチニブ)の作用機序
レンビマはVEGFR、FGFR、RETを特異的に阻害するマルチキナーゼ阻害薬です。
がんの血管新生に関与しているVEGFRとFGFRを阻害することで、がんの血管新生が抑制され、がんの成長を抑制することができます。
また、がん細胞のRETやFGFRを阻害することで、シグナル伝達が阻害され、がんの増殖活性を抑制することができます。
この他にも
血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αや幹細胞因子受容体(KIT)を阻害する作用も有しています。
レンビマは上記のように、がん細胞の増殖に関与する様々な受容体を阻害する作用機序によって、がん細胞の増殖・成長・活性化を抑制します。
レンビマカプセルの用法・用量
通常、成人には体重にあわせてレンバチニブとして体重60kg以上の場合は12mg、体重60kg未満の場合は8mgを1日1回、経口投与します。
ソラフェニブとの違いと特徴・副作用:臨床試験紹介(REFLECT試験)
類薬にはネクサバール(一般名:ソラフェニブ)があります。
転移・再発肝細胞がんの初回の薬物療法として使用できる薬剤は今までネクサバールしかありませんでした。
初回薬物療法としてレンビマとネクサバールを直接比較した臨床試験(REFLECT試験)をご紹介します。1)
本試験は転移・再発肝細胞がん患者さんを対象に初回薬物療法としてレンビマとネクサバールを直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。
本試験は、ネクサバールに対するレンビマの非劣性を検証する試験で、主要評価項目は「全生存期間」です。
試験名 | REFLECT試験 | |
試験群 | レンビマ | ネクサバール |
全生存期間 中央値 | 13.6か月 | 12.3か月 |
HR=0.92 (非劣性が証明) | ||
無増悪生存期間 中央値* | 7.4カ月 | 3.7か月 |
HR=0.66, p<0.0001 | ||
奏効率† | 24.1% | 9.2% |
p<0.0001 |
*無増悪生存期間:治療開始からがんが増大(増悪)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合
上記の結果より、レンビマとネクサバールの生存期間は同程度であることが示されました。
また、副作用については、食欲低下、高血圧、蛋白尿、体重減少などはレンビマ群で高く、手足症候群はネクサバール群で高い結果でした。
今後、レンビマとネクサバールの使い分けを考える上では大切な臨床試験結果だと思われます。
1)REFLECT試験:Lancet. 2018 Mar 24;391(10126):1163-1173.
あとがき
これまで転移・再発肝細胞がんの初回薬物療法はネクサバールしか治療選択肢がありませんでした。
初回薬物療法の薬としては、約10年ぶりの登場です!レンビマが登場したことで治療選択肢が増え、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。
レンビマとネクサバールを直接比較した臨床試験(REFLECT試験)も報告されているため、治療効果と副作用を考慮した使い分けを考える際には重要だと考えます。
以上、今回は肝細胞がんとレンビマ(一般名:レンバチニブ)の作用機序についてご紹介しました!
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