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レンビマ(レンバチニブ)の作用機序【肝細胞がん/甲状腺がん】

2021年3月23日レンビマ(レンバチニブ)の効能・効果に「切除不能な胸腺がん」を追加することが承認されました!

 

レンビマカプセルは2規格あり、それぞれ適用が異なっていますので注意が必要です。

根治切除不能な
甲状腺がん
(2015年3月承認)
切除不能な
肝細胞がん
2018年3月承認
切除不能な
胸腺がん
2021年3月承認
4mg
10mg-

 

今回は甲状腺がん・肝細胞がんと共に、レンビマ(レンバチニブ)の作用機序についてご紹介します。

 

肝細胞がんと治療薬

肝細胞がんの最も重要な原因は「肝炎ウイルスの持続感染」です。

 

肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなど色々な種類が存在していますが、肝細胞がんと関係があるのは、C型肝炎ウイルスB型肝炎ウイルスです。

肝細胞がんの約60%がC型肝炎ウイルス約15%がB型肝炎ウイルスの持続感染に起因すると言われています。

 

木元 貴祥
従って、肝細胞がんの予防としては、B/C型肝炎ウイルスの感染予防や治療が重要です。

 

C型肝炎ウイルスの治療薬については、近年、続々と新薬が登場しているため、治癒が期待できるようになってきました。

マヴィレット(ピブレンタスビル/グレカプレビル)の作用機序【C型肝炎】

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そして肝細胞がんの発見時に既に転移が認められている場合や再発の場合、薬物治療が基本となります。一次治療としては分子標的薬の単剤治療が主です。

 

主に使用される分子標的薬としては、

  • ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)
  • レンビマ(一般名:レンバチニブ)

などがあります。

 

最近では一次治療において、テセントリク(アテゾリズマブ)+アバスチン(ベバシズマブ)も承認され、治療選択肢が広がってきていますね。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん/肝がん】

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また、上記治療に抵抗・不耐の場合、二次治療が行われます。具体的な治療法としては、以下ですね。

 

甲状腺がんと治療

甲状腺がんは、気管の付近、頸部の前面に位置する甲状腺の組織に生じるがんの一種です。

 

木元 貴祥
男性より女性に多く発症すると言われていますよ。

 

最も多く見られる甲状腺がんの種類である乳頭がんと濾胞がんは、分化型甲状腺がんとして分類され、甲状腺がんのおよそ95%を占めます。その他、未分化がん(頻度:3~5%)、髄様がん(頻度:1~2%)があります。

 

分化型甲状腺がん患者様の多くは、手術および放射性ヨウ素療法で治療できる一方、これらの治療に適さない少数の患者さんもいます。

 

今回ご紹介するレンビマは、切除不能(手術ができない)で、放射性ヨウ素療法にも抵抗を示した患者さんに対して使用することが可能です。

 

がんの血管新生と増殖機構

がん全般的に言えることですが、がん細胞が大きくなるためには多くの栄養素や酸素が必要となります。

そこでがん細胞は、自分のところに血管を無理やり作らせようとし、それに関与する因子として、がん細胞はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)FGF(線維芽細胞増殖因子)などを放出することが知られています。

 

これらの因子が、血管のVEGF受容体(VEGFR)FGF受容体(FGFR)に結合すると、がん細胞に対して異常な血管が作られ(これを“血管新生”といいます)、この血管を通じてがん細胞は大量の栄養と酸素を得ることができます。

そうすることでがん細胞はどんどんと成長し、他臓器へ転移もしやすくなってしまいます。

 

また、がん細胞の細胞膜にはしばしばRETFGF受容体(FGFR)が存在しています。

特にRET遺伝子に変異があると、RETが恒常的に活性化している状態になります。

これらRETやFGFRからのシグナル伝達が、がん細胞の核内に到達すると、がん細胞の増殖が活性化されます。

 

レンビマ(レンバチニブ)の作用機序

レンビマはVEGFR、FGFR、RETを特異的に阻害するマルチキナーゼ阻害薬です。

がんの血管新生に関与しているVEGFRFGFRを阻害することで、がんの血管新生が抑制され、がんの成長を抑制することができます。

 

また、がん細胞のRETFGFRを阻害することで、シグナル伝達が阻害され、がんの増殖活性を抑制することができます。

 

この他にも血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αや幹細胞因子受容体(KIT)を阻害する作用も有しています。

 

レンビマは上記のように、がん細胞の増殖に関与する様々な受容体を阻害する作用機序によって、がん細胞の増殖・成長・活性化を抑制します。

 

肝細胞がんのエビデンス紹介:REFLECT試験

肝細胞がんの初回治療に使用する類薬にはネクサバール(一般名:ソラフェニブ)があり、転移・再発肝細胞がんの初回の薬物療法として使用できる薬剤は今までネクサバールしかありませんでした。

 

初回薬物療法としてレンビマとネクサバールを直接比較した臨床試験(REFLECT試験)をご紹介します。1)

本試験は転移・再発肝細胞がん患者さんを対象に初回薬物療法としてレンビマとネクサバールを直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

本試験は、ネクサバールに対するレンビマの非劣性を検証する試験で、主要評価項目は「全生存期間」とされました。

試験名REFLECT試験
試験群レンビマネクサバール
全生存期間
中央値
13.6か月12.3か月
HR=0.92 (非劣性が証明)
無増悪生存期間
中央値*
7.4カ月3.7か月
HR=0.66, p<0.0001
奏効率24.1%9.2%
p<0.0001

*無増悪生存期間:治療開始からがんが増大(増悪)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

上記の結果より、レンビマとネクサバールの生存期間は同程度であることが示されましたね。

 

また、副作用については、食欲低下、高血圧、蛋白尿、体重減少などはレンビマ群で高く手足症候群ネクサバール群で高い結果でした。

今後、レンビマとネクサバールの使い分けを考える上では大切な臨床試験結果だと思われます。

 

あとがき

これまで転移・再発肝細胞がんの初回薬物療法はネクサバールしか治療選択肢がありませんでした。

初回薬物療法の薬としては、約10年ぶりの登場です!レンビマが登場したことで治療選択肢が増え、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

また、今回は割愛しましたが、2021年3月には胸腺がんの適応拡大も承認されています。

これまで切除不能な胸腺がんに対して国内で承認された薬剤は無く、カルボプラチンとパクリタキセルとの併用投与のみが保険適応(未承認ですが、保険償還可能)とされていました。

 

木元 貴祥
レンビマは胸腺がんを効能・効果をする初の薬剤ですね!

 

以上、今回は甲状腺がんと肝細胞がんを中心に、レンビマ(レンバチニブ)の作用機序についてご紹介しました!

 

参考資料・論文

  1. REFLECT試験:Lancet. 2018 Mar 24;391(10126):1163-1173.

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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