5.内分泌・骨・代謝系

ジクロフェナク結合ヒアルロン酸(ONO-5704/SI-613)の作用機序【変形性関節症】

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2020年1月6日、「変形性関節症(膝関節、股関節、足関節)」を対象疾患とするジクロフェナク結合ヒアルロン酸の製造販売承認申請が行われました!

生化学工業|ニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名不明
一般名ジクロフェナク結合ヒアルロン酸
(開発コード:ONO-5704/SI-613)
製品名の由来不明
製薬会社製造販売:生化学工業(株)
販売:小野薬品工業(株)
効能・効果変形性関節症(膝関節、股関節、足関節)?
用法・用量4週毎に関節内投与?
収載時の薬価薬価未収載

 

変形性関節症(OA:osteoarthritis)の治療ではヒアルロン酸製剤の関節内投与や、経口のNSAIDsエヌセイズが使用されますが、これを結合させたものがONO-5704/SI-613ですね。

 

木元 貴祥
NSAIDsの経口投与では消化器障害等の副作用が懸念されますが、関節内にヒアルロン酸と共に投与されることでその軽減が期待されます!

 

今回の記事では高齢者に多い「変形性関節症」の病態や症状・治療法と共に、代表的なNSAIDsとヒアルロン酸製剤、そしてONO-5704/SI-613の作用機序・特徴について解説します。

 

変形性関節症(OA)の病態

変形性関節症は加齢とともに発症しやすくなり、様々な関節に痛みを生じますが、場合によってはQOLが大きく低下するため、早期の発見・治療が重要です。

 

通常、関節の骨と骨の間には「軟骨」と呼ばれる組織があり、クッションの役割を担っています。

関節の骨に力が加わっても、軟骨によって力が分散され、関節の滑らかな動きを可能にしてくれています。(潤滑性)

 

しかし、加齢や外傷・関節炎、肥満等によって軟骨がすり減ったり、十分な機能を果たせなくなったりすると、関節が滑らかに動かなくなってしまいます。

そのため、関節の骨と骨の間に大きな摩擦が生じ、炎症を誘発し、痛みが発生します。

 

変形性関節症が悪化していくと、関節の骨自体も変形し、動かせる範囲が狭くなってしまいます。

正常な関節と変形性関節症:軟骨がすり減っている

 

変形性関節症(OA)の分類としては以下の2種類がありますが、多くは「一次性OA」です。

  • 一次性OA:原疾患が明らかではないもの
  • 二次性OA:原疾患が明らかなもの(例:関節リウマチ、外傷、内分泌疾患等が原因で発症したもの)

 

木元 貴祥
特に一次性OAは女性に多いとされていますが、これは男性と比べて女性は筋肉量が少なく、関節への負担が多いことが原因であると考えられます。

 

症状と部位

変形性関節症の症状としては、

  • 関節の疼痛
  • こわばり感(引っかかり感)
  • 可動域が狭くなる
  • 関節の違和感

などがあります。1)

 

進行してしまうと、関節運動が高度に制限された「強直」を生じてしまうこともあるため、早めの診断・治療が重要です。

 

部位としては全身の関節に発症しますが、特に体重の負荷がある「膝」、「股」、「腰」が好発部位です。 仕事や生活上、肩や肘を多く使う方では肩関節肘関節に発症することもあります。1)

変形性関節症の好発部位

 

治療

治療の基本としては、

  • 生活指導・運動療法
  • 薬物療法

などが挙げられます。2)

 

生活指導では、肥満の改善や関節に負担のかけない動作の指導などが行われます。

運動療法では関節に負担をかけすぎない簡単なストレッチやウォーキングを行うことで筋肉量を増やし、関節の動作性向上を図ります。

 

これらと並行して以下のような薬物療法が行われることもあります。

  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の経口投与
  • ヒアルロン酸製剤の関節内投与
  • ステロイド薬の関節内投与

 

木元 貴祥
患者さんの症状や希望に応じて、上記の薬物治療が併用される場合もありますね。

 

これらを行なっても改善しない場合や重症の場合、人工関節置換手術が行われます。

 

今回はONO-5704/SI-613の関与するNSAIDsとヒアルロン酸製剤の主な種類について解説していきます。

 

NSAIDsの作用機序と一覧表

NSAIDsは、疼痛抑制と関節の炎症抑制の目的で使用されます。

 

炎症や疼痛を引き起こす物質として「プロスタグランジン(PG)」がありますが、これはアラキドン酸から「シクロオキシゲナーゼ(COXコックス)」によって合成されます。

アラキドン酸カスケードとCOXの役割

COXにはCOX-1とCOX-2があり、それぞれで合成されるPGの働きは異なっています。

  • COX-1:胃粘膜保護、腎機能維持といった生理機能維持のPGの合成
  • COX-2:炎症・疼痛を引き起こすPGの合成

 

NSAIDsはCOXを阻害することで炎症・疼痛に関わるPGの合成を抑制し、炎症・疼痛を抑制させるといった作用機序ですね。

NSAIDsの作用機序とCOX-2選択的NSAIDsの作用点の違い

 

またNSAIDsには下表のように、COX非選択的(COX-1とCOX-2を共に阻害)な薬剤と、COX-2選択的な薬剤があります。(下表が全てではありません)

選択性分類主な薬剤例(一般名)
COX-2選択性オキシカム系メロキシカム
アリール酢酸系エトドラク
コキシブ系セレコキシブ
COX非選択性プロピオン酸系ロキソプロフェン
ナプロキセン
フルルビプロフェン
イブプロフェン
ザルトプロフェン
オキシカム系メロキシカム
ロルノキシカム
ピロキシカム
アリール酢酸系ジクロフェナク
アンフェナク
ナブメトン
スリンダク
アセメタシン
インドメタシン
フェナム酸系メフェナム酸
フルフェナム酸

 

NSAIDsは経口投与で長期に使用するとCOX-1の阻害による副作用(消化管障害)発生の可能性が高くなることが考えられますので、副作用を避けるために、COX-2選択的NSAIDsが使われることもあります。

 

ただし、変形性関節症でNSAIDsを経口投与する場合、「長期間の投与には慎重を有する」とされているため、基本的には短期の使用が推奨されていますね。2)

 

木元 貴祥
今回ご紹介するONO-5704/SI-613はアリール酢酸系のジクロフェナクを結合させた薬剤です。

 

ヒアルロン酸製剤の作用機序と一覧表

ヒアルロン酸は軟骨の保護や潤滑作用、保湿作用などを有する物質で、生体内にも多く存在しています。

最近では、化粧品にも保湿成分として含まれていますよね。

 

変形性関節症では軟骨のヒアルロン酸が減ってしまっており、それによって関節の摩擦が生じています。

 

関節内に投与されたヒアルロン酸は、

  • 軟骨表面の被覆、保護
  • 潤滑性能の向上

などの効果を持つことが確認されています。

ヒアルロン酸製剤の作用機序

 

2020年1月時点で承認・販売されている関節内投与のヒアルロン酸製剤には以下があります。

製品名効能・効果(一部略)
アルツ関節注/
アルツディスポ関節注
○変形性膝関節症
○肩関節周囲炎
関節リウマチにおける膝関節痛
スベニールディスポ関節注/
ベニールバイアル関節注
サイビスクディスポ関節注保存的非薬物治療及び経口薬物治療が十分奏効しない疼痛を有する
変形性膝関節症の患者の疼痛緩和

 

上記のヒアルロン酸製剤は「膝関節」や「肩関節」には使用できますが、「肘関節」や「股関節」には使用することができませんのでご注意ください。

 

今回ご紹介するONO-5704/SI-613は肘関節や股関節でも効果が期待されています。3)

 

ONO-5704/SI-613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)の作用機序・特徴

ONO-5704/SI-613は、ヒアルロン酸にNSAIDsのジクロフェナクを結合させた薬剤です。

 

関節内に注射で投与すると、関節内でヒアルロン酸の作用とジクロフェナクによる抗炎症作用が得られると考えられます。

 

また、ジクロフェナクは徐放(徐々に放出)されるように設計されているため、抗炎症作用の効果持続も期待できますね。

ONO-5704/SI-613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)の作用機序・特徴

 

NSAIDsは長期間の経口投与によって消化器障害、腎機能障害、肝機能障害が懸念されますが、ONO-5704/SI-613は関節内で局所的に作用するため、これら副作用の軽減も期待できるのではないでしょうか。

 

木元 貴祥
実際に52週間の投与における安全性を評価した臨床試験でも問題ないことが確認されています。3)

 

エビデンス紹介:国内第Ⅲ相試験

現時点では結果が公表されていませんので、後日更新予定です。

メーカーのニュースリリースに簡単に掲載されていますので、ご興味あればご確認ください。3)

 

以下の3つの臨床試験が根拠とのことです。

  • 変形性膝関節症を対象とした検証的試験
  • 4部位(肩関節、肘関節、股関節、足関節)を対象とした試験
  • 5部位(膝関節、肩関節、肘関節、股関節、足関節)を対象とした長期投与(52週)の安全性評価

 

用法・用量

後日更新予定です。

臨床試験では4週毎に関節内投与されていました。3)

 

副作用

後日更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ONO-5704/SI-613はこんな薬

  • ヒアルロン酸とジクロフェナクを結合させた薬剤
  • ジクロフェナクの作用時間延長と副作用軽減が期待
  • 関節内に注射にて投与する

 

変形性関節症は加齢とともに生じ、QOLを低下させてしまう可能性がある疾患です。

初期には痛みなどが軽度なことから、病院を受診される方は少なく、発見が遅れることもしばしばあります。

 

もし関節に違和感や痛み等がありましたら早めに受診し、早期発見・早期治療を行うことをおススメします。

 

木元 貴祥
初期からしっかりと治療を行えばQOLを損なうことなく日常生活を送ることも可能です。

 

今後、これまでのヒアルロン酸製剤とONO-5704/SI-613の使い分け等に関しても検討されれば興味深いと感じますね。

 

以上、今回は変形性関節症とNSAIDsとヒアルロン酸製剤の一覧表、そしてONO-5704/SI-613の作用機序・特徴についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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