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キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【悪性黒色腫(進行・再発/術後)】

更新日:

「悪性黒色腫の術後補助療法」を効能・効果とするキイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))の適応追加が2018年12月21日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:MSD(株)
  • 販売提携:大鵬薬品工業(株)

 

キイトルーダは既に進行・再発の悪性黒色腫に適応を有していますが、今後手術後の再発を抑制する術後補助療法に関して適応拡大されました。

 

今回は悪性黒色腫とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序、そして各エビデンスについてご紹介します。

 


悪性黒色腫とその治療

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの1つであり、ほくろのような黒色のがんができることからこのような名前が付けられています。

発生部位は足底(足のうら)が最も多く、体幹、顔面、爪が続きます。

 

悪性黒色腫は早期発見(StageⅠ~Ⅲの一部)できれば手術で取り除くことができ、その後は基本的に経過観察(無治療)でした。

 

しかし、StageⅢBRAF遺伝子に変異がある場合、無治療では再発のリスクが高く、この場合、タフィンラー(ダブラフェニブ)+メキニスト(トラメチニブ)併用療法が行われます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

BRAF遺伝子に変異が無い場合でも悪性黒色腫は術後の再発リスクが高いため、オプジーボ(ニボルマブ)が使用されますが、ここにキイトルーダも追加となりました!

 

一方、発見時に進行している場合(StageⅣ)は手術の適応とならず、抗がん剤や分子標的治療薬による治療が行われます。

 

主に使用される薬剤は以下があります。

 

2018年には、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法も承認されています!

 

がんと免疫チェックポイント

通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。

その一つに、がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1(ピーディーエルワン)」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。

 

 

PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。

 

本来、PD-L1やPD-1はT細胞が自己を攻撃しない(自己免疫抑制作用)のために体内に存在していますが、がん細胞はそれを逆手に取っています。

これを“免疫チェックポイント”と呼んでいます。

 

キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の作用機序

今回紹介するキイトルーダは、「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体薬」と呼ばれる、がん免疫療法薬です。

 

キイトルーダはT細胞の「PD-1」を特異的に抑制することで、がん細胞からのブレーキを解除させ、ヒト本来の免疫反応を活性化させます。

その結果、T細胞が、がん細胞を攻撃することでがん細胞を死に導く、といった作用機序を有しています☆

 

T細胞が活性化され、ヒト本来の免疫力によってがん細胞を攻撃しますので、従来の抗がん剤と比較して副作用が比較的少ないと言われています。

 

キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の副作用

抗がん剤よりは副作用が低いものの、免疫活性化に伴い自己免疫疾患(例:甲状腺機能異常、腸炎、一型糖尿病、肝炎、肺炎)等の発現が認められていますので注意が必要となります。

特に間質性肺炎では死亡例も報告されているため特に注意が必要です。

 

エビデンス紹介(術後補助療法の場合:KEYNOTE-054試験)

術後補助化学療法の根拠となった臨床試験をご紹介します。

本試験は、根治切除後の再発リスクが高いStageⅢまたはステージⅣの悪性黒色腫患者さんを対象に、キイトルーダとプラセボを比較した第Ⅲ相試験です。1)

治療期間は共に12か月(1年)間です。

 

本試験の主要評価項目は全体集団およびPD-L1陽性例における「無再発生存期間(RFS)*」でした。

試験群キイトルーダ群プラセボ群
1年時点のRFS率
(全体集団)
75.4%61.0%
HR=0.57, p<0.001
1年時点のRFS率
(PD-L1陽性例)
77.1%62.6%
HR=0.54, p<0.001

*RFS(無再発生存期間)率:再発せずに生存されている割合

 

このようにプラセボと比較してキイトルーダでは有意に再発率を低下させることが示されました。

 

1)KEYNOTE-054試験:N Engl J Med. 2018 May 10;378(19):1789-1801.

 

あとがき

悪性黒色腫の術後補助化学療法としては、BRAF変異型に使用するタフィンラー/メキニスト併用療法しかありませんでしたが、近年、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボやキイトルーダが使用可能になってきています。

 

オプジーボとキイトルーダ、どちらが術後補助療法として最適なのか、今後の検討が待たれるところですね。

 

以上、今回は悪性黒色腫とキイトルーダの作用機序についてご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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