5.内分泌・骨・代謝系 疾患・作用機序まとめ

【糖尿病】SGLT2阻害薬の作用機序・副作用と一覧まとめ(単剤と配合剤)

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今回は「2型糖尿病」とその治療薬の一つであるSGLT2阻害薬の作用機序を中心にご紹介します。

SGLT2阻害薬は数製品発売されており、配合剤も発売されていますので、その一覧についてもまとめてご紹介します。

 

糖尿病とは

平成29年の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は約328万人超であり、前回の調査から12万人以上増加しています。

厚生労働省平成29年(2017)患者調査の概況

 

糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。

 

健康診断等で

  • 空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • HbA1cが6.5%以上

の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。

 

糖尿病にはその原因や病態によって

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病

に分類されています。

 

日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。

  • インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
  • インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

2型糖尿病の発症要因

主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)

 

 

一方、1型糖尿病遺伝因子自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下

従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。

 

木元 貴祥
1型・2型、いずれも遺伝因子が関与していますが、その関与の程度は1型糖尿病の方が強いと言われています。

 

2型糖尿病の治療

2型糖尿病治療は

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

を基本としますが、最も大切なのは食事療法運動療法です。

食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。

 

2型糖尿病治療薬

2型糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。

まずは経口血糖降下薬の少量から開始されることが多いです。

 

経口血糖降下薬には以下の種類があり、糖尿病の原因(インスリン分泌低下、抵抗性増大)によって使い分けられます。

 

<インスリン分泌低下を改善>

  • スルホニル尿素(SU)薬:インスリン分泌促進
  • グリニド薬:より速やかなインスリン分泌促進
  • DPP-4阻害薬:インクレチン分解抑制によるインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制

 

<インスリン抵抗性を改善>

  • ビグアナイド薬:糖新生の抑制
  • チアゾリジン薬:インスリンの感受性を向上

 

加えて、ブドウ糖の吸収を抑制する「α-グルコシダーゼ阻害薬」や、ブドウ糖の排泄を促進する「SGLT2阻害薬」等も使用されます。

 

これらの経口血糖降下薬で効果が不十分であった場合、用量の増量や、併用療法などが検討されます。

SGLT2阻害薬にもいくつか配合剤がありますが、配合剤は、上記経口血糖降下薬で効果が不十分であった場合にのみ使用できます。

 

それでは、SGLT2阻害薬の作用機序についてご紹介します。

 

SGLT2阻害薬の作用機序

通常、血中のブドウ糖は尿中に排泄されません。

その理由として、腎臓の糸球体でろ過された原尿には、血漿と同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。

 

ようするに、一旦はブドウ糖は糸球体で原尿へ濾過されるももの、そのほとんどが再吸収されて体内(血中)に戻ってきてしまいます。

この原尿中のブドウ糖再吸収を行うトランスポーターは「SGLT2(Sodium-Glucose Transporter 2)」と呼ばれています。

 

SGLT2阻害薬はブドウ糖再吸収に関与するトランスポーターのSGLT2を阻害することで、ブドウ糖の再吸収を抑制する薬剤です。

つまり、SGLT2阻害剤は糖の再吸収を抑える(=糖の排泄を促進する)ことで血糖を低下させるといった作用機序を有しています。

 

このようにSGLT2阻害薬はインスリン作用を介さないため、低血糖や体重増加・肥満といった副作用が発現しにくいといわれています。

 

SGLT2阻害薬の副作用

代表的な副作用には頻尿、口渇、便秘、体重減少などがあります。

その他、特に注意が必要な副作用には以下があります。

  • 低血糖
  • 脱水
  • 尿路・性器感染症
  • 正常血糖のケトアシドーシス
  • サルコペニア

 

SGLT2阻害薬(単剤)の一覧

SGLT2阻害薬(単剤)の一覧を以下に示します。(2020年1月17日時点)

製品名一般名通常用法1型糖尿病の
適応有無
スーグライプラグリフロジン1日1回
ルセフィルセオグリフロジン1日1回なし
フォシーガダパグリフロジン1日1回
デベルザ/
アプルウェイ
トホグリフロジン1日1回なし
カナグルカナグリフロジン1日1回なし
ジャディアンスエンパグリフロジン1日1回なし

 

木元 貴祥
スーグラとフォシーガはインスリン製剤との併用において、1型糖尿病にも適応を有しています。
フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序【糖尿病・心不全】

続きを見る

 

SGLT2阻害薬(配合剤)の一覧

SGLT2阻害薬(配合剤)の一覧を以下に示します。(2018年10月1日時点)

製品名配合成分通常用法
カナリアカナグリフロジン+テネリグリプチン(DPP-4阻害薬)1日1回
スージャヌイプラグリフロジン+シタグリプチン(DPP-4阻害薬)1日1回
トラディアンスエンパグリフロジン+リナグリプチン(DPP-4阻害薬)1日1回

 

配合剤はある程度用量の定まったもの(多くは、低用量のLD製剤と高用量のHD製剤がある)ですので、細かな減量や増量等の調節ができません

従って、まずは単剤あるいは2剤併用から開始し、用量を固定したうえで配合剤へ切り替える必要があります。

 

そのため、配合剤は糖尿病治療の第一選択薬として使用できない旨が添付文書に記載されています。

 

あとがき

SGLT2阻害薬は有効成分として6成分(7製品)が販売されています。

最近ではDPP-4阻害薬との配合剤も次々に登場しています。

 

DPP-4阻害薬については以下の記事をご参照ください。

【糖尿病】DPP-4阻害薬の作用機序と一覧まとめ(単剤と配合剤)

続きを見る

 

以上、今回はSGLT2阻害薬と一覧をご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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