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ドウベイト配合錠(ドルテグラビル/ラミブジン)の作用機序【HIV】

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2019年11月25日の厚労省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会にて、「HIV感染症」を効能・効果とするドウベイト配合錠(ドルテグラビル/ラミブジン)の承認が了承されました!

ヴィーブヘルスケア|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名ドウベイト配合錠
一般名●ドルテグラビルナトリウム(DTG)
●ラミブジン(3TC)
製品名の由来不明
製薬会社製造販売元:ヴィーブヘルスケア(株)
販売元:グラクソ・スミスクライン(株)
効能・効果HIV感染症
用法・用量通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には
1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びラミブジンとして300mg)を
食事の有無に関わらず1日1回経口投与する。
収載時の薬価薬価未収載

 

HIVの初回治療は3~4剤による併用療法が基本ですが、初の2剤で初回治療可能な薬剤となる見込みです!

既治療の場合、2剤で治療可能な薬剤としてはジャルカ配合錠(ドルテグラビル/リルピビリン)がありますね。

ジャルカ配合錠(ドルテグラビル/リルピビリン)の作用機序と特徴【HIV】

続きを見る

 

木元 貴祥
ちなみに、トリーメク配合錠からアバカビルを除いたのがドウベイト配合錠です。

 

トリーメク配合錠の有効成分

  • ドルテグラビル(DTG):インテグラーゼ阻害剤(INSTI)
  • アバカビル(ABC):核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
  • ラミブジン(3TC):核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)

 

治療効果を損なわずに使用する薬剤を減らすことで、副作用の軽減が期待できると思われます。

 

今回はHIV感染症とドウベイト配合錠の作用機序などについてご紹介します。

 

AIDSとHIV

木元 貴祥
AIDS(エイズ)という言葉は一度は耳にしたことがあると思います。

 

正式名称は「後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency syndrome:AIDS)」と呼ばれ、体内の免疫細胞が破壊されて後天的に免疫不全を引き起こす疾患です。

 

AIDSを引き起こす原因とされているウイルスが「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」です。

HIVに感染して数年の潜伏期間(無症状)を経た後にAIDSが発症すると言われています。

 

AIDSを発症すると全身倦怠感、体重の急激な減少、咳、発熱、発疹、といった風邪のような症状を呈します。

その後、普通では感染しないような日和見感染症(例:ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫、サイトメガロウイルス感染症)を合併し、生命に危機を及ぼします。

 

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染と増殖メカニズム

HIVの感染経路には以下の3つが知られています。

  • 性的感染
  • 血液感染
  • 母子感染

 

HIVは一本鎖RNAを持つレトロウイルスで、単体では増殖できません。従って、ヒト等の動物の細胞内に感染して増殖を行います。

 

木元 貴祥
それではここから増殖メカニズムについてご説明します。

 

HIVの構造と吸着・膜融合・脱殻

HIVはエンベロープと呼ばれる外膜の中にカプシドがあり、その中にRNAが封入された構造を有しています。

HIVの構造

 

HIVがヒト細胞に感染すると、

  • 吸着
  • 膜融合
  • 脱殻

というプロセスを経てヒト細胞内にウイルスRNAが放出されます。

HIVの吸着・膜融合・脱殻

 

ウイルスRNAの逆転写

ヒトの細胞内に放出されたウイルスRNAは「逆転写酵素」と呼ばれるウイルス酵素によって二本鎖DNAが合成されます。

 

合成されたウイルス二本鎖DNAはヒト細胞の核内へと運ばれていきます。

HIVのRNAの逆転写と逆転写酵素

 

ヒトDNAへの組み込み(インテグラーゼ)とタンパク質合成(プロテアーゼ)

核内に運ばれたウイルスDNAは、そのままでは複製や転写・翻訳ができません。

 

そのためウイルスDNAは「インテグラーゼ」と呼ばれるウイルス酵素によって、ヒトDNAの中にウイルスDNAを組み込みます

 

ウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれることで、HIVに感染したヒト細胞が増殖する際にはウイルスDNAも一緒に増殖していってしまいます。

 

そしてウイルスDNAの遺伝情報を元に、転写・翻訳が行われ、ウイルスに必要なタンパク質も勝手に合成されていってしまいます。

 

合成されたタンパク質は「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素によって適切な大きさに切断され、HIVの増殖が完了します。

 

木元 貴祥
以上がHIVの感染・増殖のメカニズムです。

 

HIV感染症の治療

HIV感染症は早期に行うことで、AIDSの発症までの期間を延長することができます。

ただし、HIVを完治させることは現代医学では難しいとされています。

 

主に使用される薬剤には以下の種類があり、これらを適宜併用した多剤併用療法が基本です。1)

  • 核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
  • 非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
  • プロテアーゼ阻害剤(PI)
  • 膜融合阻害剤
  • インテグラーゼ阻害剤(INSTI)

 

組み合わせ方としては、HIV抑制効果が強い「キードラッグ」と、キードラッグを補足してHIV抑制効果を高める働きのある「バックボーン」を併用します。

 

木元 貴祥
どの薬剤がキードラッグかバックボーンなのかの明確な定義はないのですが、「NRTI×2剤」をバックボーンとされることが多いです。

 

従って、初回治療の組み合わせとしては、以下のいずれかが患者さんの適正(服用率を100%に近づけることを最優先)に併せて推奨されています。1)

  • NRTI×2剤+INSTI×1剤
  • NRTI×2剤+PI×1剤+リトナビル(PI)
  • NRTI×2剤+NNRTI×1剤

 

今回ご紹介するドウベイト配合錠は初の「NRTI×1剤+INSTI×1剤」で、「NRTI×2剤+INSTI×1剤」と同程度の治療効果が認められています!(後述の臨床成績参照)

 

これらの多剤併用療法を原則、一生涯行うことでAIDSで死亡することはほとんど無くなったと言われています。

 

ドウベイト配合錠の作用機序

ドウベイト配合錠は

  • ドルテグラビル(DTG):インテグラーゼ阻害剤(INSTI)
  • ラミブジン(3TC):核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)

の配合錠です。

 

木元 貴祥
ここからインテグラーゼ阻害剤と核酸系逆転写酵素阻害剤の作用機序について解説していきます。

 

インテグラーゼ阻害剤(INSTI)の作用機序

インテグラーゼ阻害剤のドルテグラビルは前述のウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれる際に関与しているインテグラーゼを特異的に阻害する薬剤です。

 

インテグラーゼが阻害されることで、ウイルスDNAをヒトDNAへ組み込むことができなくなり、その後の増殖プロセスが全てストップしてしまいます。

 

 

上記の作用機序によってHIVの増殖を抑制すると考えられています。

 

核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)の作用機序

逆転写酵素阻害剤には「核酸系」と「非核酸系」がありますが、ラミブジンは核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)に分類されています。

 

前述のウイルスの逆転写酵素を阻害することで、二本鎖DNAが合成できなくなり、その後の反応が全てストップします。

 

このようにウイルスの

  • インテグラーゼの阻害
  • 逆転写酵素の阻害

といった作用機序によってHIVの増殖を抑制するのがドウベイト配合錠です。

 

エビデンス紹介:GEMINI-1試験、GEMINI-2試験

根拠となったのは国際共同で行われた2つの第Ⅲ相試験(GEMINI-1試験、GEMINI-2試験)です。2)

両試験は、抗レトロウイルス療法未治療のHIV-1感染症患者さんを対象に、「ドルテグラビル(DTG)+テノホビル(TDF)+エムトリシタビン(FTC)」による3剤併用療法と「ドウベイト配合錠」による2剤併用療法を比較した試験です。

 

主要評価項目は「投与48週時のHIV-1のRNA量が50コピー/mL未満の割合」とされ、3剤併用療法に対するドウベイト配合錠の非劣性が検証されました(非劣性マージンは-10%)。

 

下表にはGEMINI-1試験とGEMINI-2試験を統合した結果を掲載しています。

試験群3剤併用療法ドウベイト配合錠
投与48週時のHIV-1のRNA量が
50コピー/mL未満の割合
93%91%
群間差:-1.7(95%CI:-4.4~1.1)
非劣性が証明
ウイルス学的な非陰性化率2%3%
いずれかの有害事象発現率24%18%

 

このように初回治療の3剤併用療法とドウベイト配合錠は同程度の治療効果が示されていますね。

 

木元 貴祥
有害事象については薬剤を減らすことでもう少し差があると思ったのですが・・・その点は残念です。

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には1回1錠を食事の有無に関わらず1日1回経口投与します!

 

木元 貴祥
ちなみに1日1回1錠レジメンのことを「STR:single tablet regimen」と呼ぶようです。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ドウベイト配合錠はこんな薬

  • 初回治療として初の2剤併用療法
  • インテグラーゼ阻害剤(INSTI)のドルテグラビル(DTG)と、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)のラミブジン(3TC)を配合
  • 1日1回経口投与で治療が可能

 

HIV治療薬は現在多数の配合錠が承認・販売されています。

 

2018年にはオデフシィ配合錠(既存薬の新配合剤)、2019年にはビクタルビ配合錠(新規INSTIを配合)やシムツーザ配合錠(既存薬の新配合剤)登場してきています。

シムツーザ配合錠(DRV/COBI/FTC/TAF)の作用機序【HIV】

続きを見る

 

木元 貴祥
今後は使い分け等が検討されれば興味深いと感じます。

 

以上、今回はHIVとドウベイト配合錠の作用機序についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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