9.眼疾患

エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】

更新日:

緑内障、高眼圧症」を効能・効果とするエイベリス点眼液0.002%(一般名:オミデネパグ イソプロピル)2018年9月21日に承認されました!

製薬会社

製造販売元:参天製薬(株)

 

エイベリスはこれまでの治療薬とは異なる作用機序(プロスタノイドEP2受容体作動)を有しています☆

本日は緑内障とエイベリス(オミデネパグ)の作用機序についてご紹介します。

 

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緑内障と症状

緑内障は眼の病気です。

眼の見えている範囲が徐々に狭くなったりボヤけたりしていき、治療が遅れてしまうと最悪失明に至ってしまいます。

 

高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症すると推定されています。

早期に治療を開始すれば失明することはほぼありませんので、早めの発見・診断・治療が重要です。

 

緑内障の原因と眼房水の排出経路

緑内障は眼の中の圧力(眼圧)が異常に上昇することで視神経が圧迫されて生じます。

 

眼圧を調整する物質として眼の中の水(眼房水)があります。

この眼房水の量が異常に増えてしまうと、眼の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が上昇してしまいます。

 

通常、眼房水は以下の排出経路によって排出されます。

  • 主経路:シュレム管(経線維柱帯流出路)による排出(約90%)
  • 副経路:ブドウ膜強膜流出路による排出(約10%)

Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.

 

しかし緑内障では様々な原因によって上記の排出経路が障害されて眼の中に貯留してしまいます。

また、緑内障は原因によって大きく以下の分類があります。

①原発緑内障排泄経路が障害されているもの。
隅角が開いている「原発開放隅角緑内障」と、
隅角が閉じている「原発閉塞隅角緑内障」に分類される。
②発達緑内障先天性のもの。
③続発緑内障他の原因(外傷や網膜剥離、薬物の副作用等)によるもの。

 

緑内障の治療

緑内障の治療の原則は眼圧を下げることです。

主な治療には以下がありますが、「原発開放隅角緑内障」の場合は主には薬物治療が基本となります。

  • 薬物治療
  • レーザー治療
  • 手術

 

薬物治療のうち、局所投与薬(点眼薬等)には以下の選択肢があります。

  • プロスタグランジンF2α誘導体製剤
  • アドレナリンβ受容体遮断薬
  • 炭酸脱水素阻害薬
  • アドレナリンα2受容体刺激薬
  • アドレナリンα1受容体遮断薬
  • 副交感神経刺激薬
  • イオンチャネル開口薬

 

主に第一選択薬で使用されているのはプロスタグランジンF2α誘導体製剤もしくはアドレナリンβ受容体遮断薬です。

基本は単剤から治療を開始しますが、眼圧が十分に下がらない場合、別の薬剤への切り替え(作用機序の異なる薬剤等)、もしくは併用療法が行われます。

 

今回ご紹介するエイベリスは作用機序的にはプロスタグランジン製剤に近いのですが、若干作用点が異なっています。

 

エイベリス(一般名:オミデネパグ)の作用機序

生体内にはプロスタグランジンE2(PGE2)と呼ばれる物質が存在しています。

主な生体内作用は炎症、骨吸収、陣痛促進などです。

PGE2の作用する受容体の一つに「プロスタノイドEP2受容体」がありますが、この受容体は眼の様々な組織の平滑筋に存在してることが知られています。

 

今回ご紹介するエイベリスはプロスタノイドEP2受容体に選択的に作用する薬剤です!

有効成分のオミデネパグ イソプロピルが眼内に投与されると、加水分解されてオミデネパグに変換されます。

 

オミデネパグによってプロスタノイドEP2受容体が刺激されると、平滑筋が弛緩して眼房水の

  • 主経路の排出(シュレム管による排出)
  • 副経路の排出(ブドウ膜強膜流出路による排出)

が促進されると考えられています。

 

このようにエイベリスは両経路から眼房水が排出されるといった特徴があります。

 

エビデンス紹介:国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(初回)、国内第Ⅲ相試験(切り替え)

根拠となった臨床試験を二つご紹介します。1)

  1. 初回治療としてのエイベリス vs. キサラタン
  2. キサラタンからエイベリスへの切り替え

 

初回治療としてのエイベリス vs. キサラタン

一つ目の試験は原発開放隅角緑内障もしくは高眼圧症の患者さんを対象にキサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト)とエイベリス点眼液を直接比較した国内第Ⅱ/Ⅲ相試験です。

※キサラタンは「プロスタグランジンF2α誘導体製剤」です。

 

主要評価項目は「投与4週後における平均日中眼圧のベースラインからの変化量」とされ、キサラタンに対するエイベリスの非劣性を検討しています。

試験群キサラタン点眼液エイベリス点眼液
ベースラインの平均日中眼圧23.40±1.51mmHg23.78±1.73mmHg
投与後4週の平均日中眼圧16.96±2.24mmHg17.81±2.41mmHg
投与4週後における平均日中眼圧の
ベースラインからの変化量
-6.45±2.01mmHg-5.96±2.45mmHg
群間差:0.63[95%CI:0.01-1.26]
非劣性が証明された

 

このようにこれまでの標準治療であるプロスタグランジンF2α誘導体製剤と比較して、エイベリスは同程度の有効性が確認されています。

 

キサラタンからエイベリスへの切り替え

二つ目の試験は両眼が原発開放隅角緑内障もしくは高眼圧症で、少なくとも片眼がキサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト)に抵抗性を示す患者さんに対してエイベリスの有効性と安全性を検討した国内第Ⅲ相試験です。

 

主要評価項目は「投与4週後における平均日中眼圧のベースラインからの変化量」とされ、変化量は-2.99mmHgと有意な眼圧低下が認められています(p<0.0001)。

 

このように初回治療でプロスタグランジンF2α誘導体製剤に抵抗性を示した場合、エイベリスの良い適応となるかもしれませんね。

 

1)エイベリス点眼液添付文書・インタビューフォーム

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エイベリス点眼液の副作用

主な副作用として結膜充血が報告されています。

また、前述の国内第Ⅱ/Ⅲ相試験ではキサラタンと比較して、エイベリスでは眼障害関連の有害事象(結膜充血や黄斑浮腫など)の発現が高いことが報告されています。2)

 

一方、エイベリスはプロスタグランジンF2α誘導体製剤によく認められる虹彩色素沈着や睫毛・眼瞼部多毛は発現しにくいと考えられます。

 

2)エイベリス点眼液 審査報告書

 

エイベリス点眼液の用法・用量

1回1滴を1日1回を点眼投与します。

 

エイベリス点眼液の薬価

収載時(2018年11月20日)の薬価は以下の通りです。

  • エイベリス点眼液0.002%:945.30円(1日薬価:47.30円)

 

算定方法等については以下の記事をご覧ください。

>>【新薬:薬価収載】12製品(2018年11月20日)と市場拡大再算定

 

類薬(プロスタグランジン製剤)との違い・特徴

現在使用されているプロスタグランジンF2α誘導体製剤は、プロスタノイドFP受容体に作用することで主にブドウ膜強膜流出路(副経路)からの眼房水排出を促す薬剤です。

一方、エイベリスはEP2受容体に作用することでシュレム管(主経路)+ブドウ膜強膜流出路(副経路)からの排出を促します。

 

また、プロスタグランジンF2α誘導体製剤では色素沈着膝毛異常伸長といった外見が変化してしまう副作用が懸念されていました。

エイベリスはEP2受容体に作用するため、これらの副作用の軽減が期待されています☆

 

ちなみに、プロスタグランジンF2α誘導体製剤の副作用である膝毛異常伸長に注目し、「睫毛(まつげ)貧毛症」の治療薬も開発されています。

 

 

以下にプロスタグランジンF2α誘導体製剤とエイベリスの比較表を掲載しています。

↓クリックすると別ウィンドウで高画質用の画像が開きます↓

 

 

 

エイベリスはタプロス点眼(タフルプロスト)と併用すると羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められていることから併用禁忌です。

またβ受容体遮断薬のチモロールと併用すると副作用の発現が高まることから、こちらは併用注意に該当しています。

 

以上より使い分けのポイントをまとめてみました。

エイベリスとプロスタグランジンF2α誘導体製剤の使い分けのポイント

  • 副作用プロファイルの違い(プロスタグランジンでは色素沈着、エイベリスでは充血)
  • 慎重投与の該当
  • 併用禁忌・併用注意薬の制限

 

また、プロスタグランジンF2α誘導体製剤で抵抗性を示した場合、前述の臨床試験よりエイベリスの効果が確認されているため使いやすいのではないでしょうか。

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まとめ・あとがき

エイベリスはこんな薬

  • プロスタノイドEP2受容体に選択的に作用する
  • 主経路と副経路から共に眼房水を排出する
  • 色素沈着は少ないが眼障害関連の有害事象がある

 

現在の緑内障治療薬の第一選択薬はプロスタグランジンF2α誘導体製剤もしくはβ遮断薬です。

 

プロスタグランジンF2α誘導体製剤はプロスタノイドFP受容体に作用しますが、エイベリスはプロスタノイドEP2受容体に作用するため、作用機序が異なっています。

今後は両薬剤の使い分けや使用する順序等が検討されれば興味深いと感じます。

 

以上、今回は緑内障と新規作用機序のエイベリス(オミデネパグ)の作用機序についてご紹介しました。

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。FP資格あり。

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