6.腎・泌尿器系

ベオーバ(ビベグロン)の作用機序:ベタニスとの比較・使い分け【過活動膀胱(OAB)】

更新日:

過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁」を効能・効果とするベオーバ錠50mg(一般名:ビベグロン)2018年9月21日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:杏林製薬(株)
  • 販売元:キッセイ薬品工業(株)

 

ベオーバはアドレナリンβ3受容体作動薬に分類されている薬剤で、類薬にはベタニス錠(一般名:ミラベグロン)があります。

今回は過活動膀胱とベオーバ(ビベグロン)の作用機序、根拠となったエビデンス、そしてベタニスとの使い分けについてご紹介します!

 

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過活動膀胱とは

過活動膀胱 (overactive bladder:OAB)とは、以下のような症状を呈する疾患です。

  • 急に我慢できないような尿意を催す(尿意切迫感):主症状
  • 頻尿:特に夜間の頻尿
  • トイレまで我慢できずに漏れてしまう(切迫性尿失禁

特に、寒さや、トイレのドアノブに触れた時などをきっかけに尿意切迫感を生じやすいと言われています。

 

このように、自分の意志ではどうすることもできない尿意があるのが特徴です。

想像すると、、、非常にやっかいな疾患ですよね・・・。

患者さんも、いつ急な尿意が来るか不安で気分が落ち着かず、QOLが落ちやすい疾患です。

 

日本においては40歳以上の男女の約12%に過活動膀胱の症状があると言われています(約800万人の患者さんがいると推定)。

また、高齢になればなるほど高頻度に起こります。

 

過活動膀胱の原因

原因としては、以下の2つがあります。

原因概要原因疾患例
①神経因性過活動膀胱神経によって起こるものです。
脳の排尿制御を司る神経が働かなくなり、意図に反した尿意が起こります。
脳血管障害
パーキンソン病
脊髄不全損傷など
②非神経因性過活動膀胱神経以外の原因で起こるものです。
排尿筋の過度な収縮などが該当します。
加齢、
前立腺肥大症(男性)、
骨盤底筋群が弱くなる(女性)など

 

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療は、原因疾患の治療保存的治療(行動療法、薬物療法)を基本とします。

 

保存的治療は以下があり、適宜組み合わせて行われます。

  • 行動療法:生活指導、理学療法、骨盤底筋体操など
  • 薬物療法:抗コリン薬、β3受容体作動薬

 

ベオーバは上記のβ3受容体作動薬に分類されています。

それではベオーバの関与する膀胱と排尿筋の働きについて説明します。

 

排尿時の膀胱と排尿筋の働き

膀胱は尿を貯めておく臓器で、膀胱の周囲には排尿筋と呼ばれる平滑筋が存在しています。

排尿時には排尿筋が収縮することで膀胱が圧迫されて排尿が起こります。

 

過活動膀胱では排尿筋の収縮が過度になったり、膀胱容量が小さくなったりして起こっています。

 

ベオーバ(ビベグロン)の作用機序

排尿筋には「アドレナリンβ3受容体」が存在しており、排尿筋の収縮・弛緩に関与しています。

ベオーバはアドレナリンβ3受容体を特異的に刺激(作用)することで排尿筋を弛緩させるといった作用機序を有しています!

 

排尿筋が弛緩される結果、膀胱容量が大きくなりますので、尿意切迫感などの症状改善が期待されます。

 

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エビデンス紹介:国内第Ⅲ相試験

根拠となった臨床試験を一つご紹介します。1)

本試験は過活動膀胱患者さんを対象に、ベオーバ(50mgまたは100mg)群、プラセボ群、ウリトス(一般名:イミダフェナシン)群を直接比較する国内第Ⅲ相臨床試験です。治療期間は各群12週間とされていました。

※ウリトスは「抗コリン薬」です。

 

本試験の主要評価項目は12週時点における「1日あたりの平均排尿回数のベースラインからの変化量」とされていました。

なお、統計的な比較はベオーバ群とプラセボ群のみ行われ、ウリトス群との統計的な比較は行われていませんでした。

 

12週時点におけるベースラインからの変化量の結果は以下の通りでした。

試験群ベオーバ
50mg群
ベオーバ
100mg群
プラセボ群ウリトス群
平均排尿回数(/日)-2.08回-2.03回-1.21回-2.06回
プラセボとの差
-0.86回,
p<0.001
プラセボとの差
-0.81回,
p<0.001
平均尿意切迫感回数(/日)-2.28回-2.44回-1.77回-2.15回
プラセボとの差
-0.51回,
p=0.001
プラセボとの差
-0.67回,
p<0.001
平均尿失禁回数(/日)-1.40回-1.53回-1.10回-1.47回
プラセボとの差
-0.30回,
p=0.001
プラセボとの差
-0.43回,
p<0.001
夜間頻尿回数(/日)-0.58回-0.62回-0.47回-0.63回
プラセボとの差
-0.11回,
p=0.016
プラセボとの差
-0.16回,
p=0.001

 

このように、いずれの項目においてもベオーバ50mg投与はプラセボと比較して有意な改善が認められていました。

しかし、ウリトスと比較した場合、統計的に差があるのかどうかは不明だったのが少し残念ですね。

数値だけ見ると、ベオーバとウリトスの治療効果は同じような印象を受けます。

 

ベオーバ錠の副作用

主な副作用として、口内乾燥、便秘、尿路感染、残尿量増加、肝機能異常、などが報告されています。

 

ベオーバ錠の用法・用量

成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与します。

 

ベオーバ錠の薬価

収載時(2018年11月20日)の薬価は以下の通りです。

  • ベオーバ錠50mg:185.70円(1日薬価:185.70円)

 

算定方法等については以下の記事をご覧ください。

>>【新薬:薬価収載】12製品(2018年11月20日)と市場拡大再算定

 

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ベオーバの特徴、ベタニスの比較・使い分け

類薬には同様の作用機序を有するベタニス錠(一般名:ミラベグロン)があります。

使用方法や治療効果で比較表・使い分けについて考えてみたいと思います☆

 

ベオーバとベタニスの使用方法:併用薬や相互作用について

ベタニスではCYP代謝・阻害や、P‐糖タンパク阻害作用があるため、併用禁忌薬・併用注意薬が数種類あります。また、生殖器系への影響が報告されています。

一方、ベオーバはCYPの誘導や阻害活性を示さなかったとの報告2)がありますので、併用薬等の制限が少ないといった特徴があります。ただし、ベオーバはP-糖タンパクの基質であるとされているため、P-糖タンパクに関わる薬剤との併用注意があります。

 

またベタニスでは高血圧や脈拍増加、QT延長といった心血管系の副作用が懸念され、重篤な心疾患を有する患者さんには投与禁忌です。一方、ベオーバでは禁忌項目が少ないのが特徴です。

 

簡単に以下の表に両薬剤の特徴などを一覧表にまとめてみました。
↓クリックすると新しいウィンドウで高画質用の画像が開きます↓

 

全般的にベオーバの方が安全かつ投与できる患者さんの幅が広い印象を受けますね☆

ただし、ベタニスの方が使用経験が長いため、長期の安全性等は担保されていると思います。

 

高齢者では併用薬剤が多いと思われますので、今後はベタニスからベオーバの置き換えが進みそうな気がします。

 

ベオーバとベタニスの治療効果について

ベタニスとベオーバの直接比較試験はありませんが、それぞれプラセボと比較検討した国内第Ⅲ相試験が報告されています。1)3)

 

承認用量群(ベタニス:50mg群、ベオーバ:50mg群)での簡単な比較表を以下に作成してみました。(共に12週時点のベースラインからの変化量の結果)

ベオーバ国内第Ⅲ相試験1)ベタニス国内第Ⅲ相試験3)
プラセボ群ベオーバ50mg群プラセボ群ベタニス50mg群
平均排尿回数(/日)
主要評価項目
-1.21回-2.08回-0.86回-1.67回
プラセボとの差
-0.86回,p<0.001
p<0.001
平均尿意切迫感回数(/日)-1.77回-2.28回-1.37回-1.85回
プラセボとの差
-0.51回,p=0.001
p=0.025
平均尿失禁回数(/日)-1.10回-1.40回-0.66回-1.01回
プラセボとの差
-0.30回,p=0.001
p=0.003

 

いずれもプラセボと比較して主要評価項目の平均排尿回数や、尿意切迫感回数を有意に減少していますね。

ベースラインの患者背景等が異なりますので治療効果の単純比較はできませんが、ほぼ同じくらいだと思います。

 

以上より使い分けのポイントをまとめてみました☆

ベオーバとベタニスの使い分けのポイント

  • 生殖器系への影響を考慮すればベオーバが使いやすい
  • 投与禁忌患者さんや併用注意薬はベオーバの方が少ない
  • 長期の使用経験や安全性はベタニスの方が蓄積されている
  • 治療効果は同じくらい(だと思われる)

 

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まとめ・あとがき

ベオーバはこんな薬

  • アドレナリンβ3受容体を刺激して排尿筋を弛緩させる
  • ベタニスよりも投与禁忌や併用注意薬が少ない
  • 生殖器への影響はほとんど無い

 

アドレナリンβ3受容体作動薬としては2011年に登場したベタニス錠に次いで、7年ぶり2番手の登場です。

今まで使用されていた抗コリン薬前立腺肥大症や緑内障を有する患者さんには使い辛かったのですが、アドレナリンβ3受容体作動薬はこれらを有する患者さんにも使いやすい薬剤です。

ただし、類薬のベタニスは生殖器系への影響があることから、若年者には使用し辛いといったデメリットもあります。

 

今回ご紹介したベオーバは、併用禁忌・併用注意薬が少なく、また生殖器系への影響が少ないといったメリットがあります。今後は広く使用されていくのではないでしょうか。

以上、今回は過活動膀胱とベオーバ(ビベグロン)の作用機序、根拠となったエビデンスについてご紹介しました!

 

引用文献・資料等

  1. ベオーバ国内第Ⅲ相試験:Eur Urol. 2018 May;73(5):783-790.
  2. Ther Adv Drug Saf. 2016 Oct; 7(5): 204–216.
  3. ベタニス国内第Ⅲ相試験:BJU Int. 2014 Jun;113(6):951-60.
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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【薬剤師・講師】大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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