7.炎症・免疫・アレルギー 10.皮膚・骨格筋 疾患・作用機序まとめ

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序、特徴のまとめ

更新日:

近年、乾癬の治療薬が多数登場してきています。

また、生物学的製剤も現在(2019年4月22日)は8製剤あり、それぞれ作用機序や特徴、効能・効果が異なっています。

 

今回は、乾癬と生物学的製剤(レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、コセンティクス、トルツ、ルミセフ、トレムフィア、スキリージ)のそれぞれの作用機序についてご紹介します!

 


皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。

 

乾癬の原因

明確な原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。

IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。

 

乾癬の重症度と治療

乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。

 

重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。

  • 外用療法(塗り薬)
  • 光線療法(紫外線照射)
  • 内服療法(経口薬)
  • 生物学的製剤治療(注射薬)

 

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。

内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬やPDE4阻害薬のオテズラ(一般名:アプレミラスト)が重症度に応じて使用されます。

 

そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。1)

  • 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
  • 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
  • 乾癬性紅皮症膿疱性乾癬等の重症な患者さん

また、生物学的製剤治療は日本皮膚科学会で定められた病院でのみ治療ができます。

 

それではここから、乾癬に用いられる生物学的製剤の作用機序についてご紹介します。

 

生物学的製剤について

現在(2019.3.26時点)で乾癬で使用できる生物学的製剤は以下の7製剤があります。

各製剤の特徴等については後述の一覧表をご覧ください。

  • レミケード(一般名:インフリキシマブ):TNFα阻害
  • ヒュミラ(一般名:アダリムマブ):TNFα阻害
  • ステラーラ(一般名:ウステキヌマブ):IL-12とIL-23阻害
  • トレムフィア(一般名:グセルクマブ):IL-23阻害
  • スキリージ(一般名:リサンキズマブ):IL-23阻害
  • コセンティクス(一般名:セクキヌマブ):IL-17A阻害
  • トルツ(一般名:イキセキズマブ):IL-17A阻害
  • ルミセフ(一般名:ブロダルマブ):IL-17受容体A阻害

大きく分けると、「TNFα阻害薬」、「IL-12/23阻害薬」、「IL-17A/受容体阻害薬」に分けられます。

 

TNFα阻害薬(レミケード、ヒュミラ)の作用機序

レミケードとヒュミラは、乾癬の発症に重要な炎症性サイトカインの「TNFα」を選択的に阻害するモノクローナル抗体薬です。

 

IL-12/23阻害薬(ステラーラ)、IL-23阻害薬(トレムフィア、スキリージ)

IL-12はp40サブユニットp35サブユニットと呼ばれるタンパク質から構成されています。

IL-23はp40サブユニッp19サブユニットと呼ばれるタンパク質から構成されています。

 

ステラーラはIL-12とIL-23に共通する「p40サブユニット」を特異的に認識して結合する抗体のため、IL-12とIL-23を共に阻害することができます!

トレムフィアとスキリージはIL-23の「p19サブユニット」を特異的に認識して結合する抗体のため、IL-23を阻害する薬剤です。

ステラーラ、トレムフィア、スキリージの作用機序の違い

 

このように、IL-23やIL-12を阻害することで乾癬の炎症反応を抑制し、症状緩和効果が得られると考えられます。

ステラーラ、トレムフィア、スキリージの作用機序の違い

 

作用機序だけ見ると、ステラーラの方が広範囲にILを阻害しているようですが、トレムフィアとステラーラの直接比較試験では、トレムフィアの方が治療効果が高かったと報告されています。

 

また、スキリージもステラーラの直接比較試験において、スキリージの方が治療効果が高かったと報告されています。

 

IL-17A/受容体阻害薬(コセンティクス、トルツ、ルミセフ)

コセンティクスとトルツは、Th17(ヘルパーT細胞の一種)が産生する「IL-17A」を選択的に阻害するモノクローナル抗体薬です。

 

一方、ルミセフは、IL-17Aが結合する「IL-17受容体A」を選択的に阻害するモノクローナル抗体薬です。

 

生物学的製剤の特徴(一覧表)

以下に乾癬に用いられる生物学的製剤の特徴や効能・効果を一覧表としてまとめています(2019年4月22日時点)。

乾癬に使用する生物学的製剤(抗体薬)の一覧表:適応症や投与間隔、自己注射の違い・比較

 

投与法には「点滴」と「皮下注」があり、自己注射が可能か不可能か、の違いがありますね。

また、適応や維持投与中の投与間隔についても差があります。

 

新薬情報
維持投与中の投与間隔はスキリージとステラーラの12週間間隔が最大ですね。

 

生物学的製剤の副作用

生物学的製剤は、副作用として結核・肺炎・敗血症を含む重篤な感染症の発現が認められることがありますので、投与中は経過観察を十分に行う必要があります。

 

あとがき

近年、乾癬治療薬としての生物学的製剤が次々に登場(2016年にコセンティクストルツルミセフ、2018年にトレムフィア、2019年にスキリージ)してきました。

 

また、少し古い生物学的製剤のレミケード(インフリキシマブ)は後発品である「バイオ後続品(バイオシミラー)」も登場してきました。

 

以上、今回は乾癬と生物学的製剤の特徴や作用機序についてご紹介しました!

 

参考になったら
新薬情報オンラインのFacebookをいいね !

新薬情報オンラインを

〔PR〕薬剤師副業解禁!実体験してみたおすすめの働き方4選と注意事項を解説







★おススメの関連記事


薬剤師さんに自信を持っておススメできます!

\ 業務に活かせる /

こんな情報を配信!

  • 薬局で使える行動心理学を紹介
  • マネジメントスキルの解説
  • 役立つセミナー情報の配信
  • 成功している薬剤師・薬局さんのインタビュー

服薬指導、接客、職場の人間関係のヒントになる無料のメールマガジンです。

私も拝読していますが、なかなか普段の業務では知れない内容が多くて面白いですよ(特に行動心理学)。是非薬剤師のあなたも覗いてみてくださいね。|ω・`)

現場薬剤師のための課外授業

  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
薬剤師資格の確認

Twitter(フォロワー2,000人超)とFacebook(フォロワー14,000人超)でも配信中!

-7.炎症・免疫・アレルギー, 10.皮膚・骨格筋, 疾患・作用機序まとめ
-, , , , , ,

Copyright© 新薬情報オンライン , 2019 All Rights Reserved.