5.内分泌・骨・代謝系

ファブラザイム(アガルシダーゼ)の作用機序と副作用【ファブリー病】

ファブリー病」に使用されるアガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」、同点滴静注35mg「JCR」2018年9月21日に承認されました。

 

これはファブラザイム点滴静注用(一般名:アガルシダーゼ ベータ)の初のバイオ後続品(バイオシミラー)です!

今回はバイオシミラーとファブリー病、そしてファブラザイム(アガルシダーゼ)の作用機序についてご紹介します。

 

バイオ後続品(バイオシミラー)とは

通常、低分子医薬品の後発医薬品(ジェネリック医薬品)は主成分の構造式が全くの同一です。構造式が同一であれば、生体内の作用・副作用も先発医薬品と同一であるとみなされています。

ただし、先発医薬品とジェネリック医薬品では添加剤や製法等は異なることがあります。

最近では、先発医薬品と添加剤や製法等も全く同一の「オーソライズド・ジェネリック(AG)」も登場しています。

 

一方、抗体薬に代表されるバイオ医薬品は、低分子の医薬品と比べて分子量が非常に大きく、また三次構造等の複雑な構造をしていることから、先発医薬品と主成分が全く同じであることを証明することが困難です。

従って、生体内の作用・副作用も先発医薬品と同一でない可能性があります。

 

そのため、作用や副作用が先発医薬品と同一かを検証するために、臨床試験を行い、同一性を証明する必要があります。

厚労省に提出する申請資料として、低分子のジェネリック医薬品では最大4種類ですが、バイオシミラーでは臨床試験成績を含む最大20種類に上ります。

 

もちろん今回ご紹介するアガルシダーゼ ベータBSは、臨床試験で同一性が証明されています。

 

ファブリー病とは

ファブリー病は、リソソーム(ライソゾーム)内の分解酵素の遺伝子変異・欠損により引き起こされるライソゾーム病の一種に分類される指定難病です。

 

国内患者数は315人~760人と推定されています。

 

通常、細胞内の小胞体で合成された「α-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)」と呼ばれる酵素は、細胞質内に放出された後、リソソーム内に輸送されます。

リソソームは様々な物質の分解に関与していますが、α-Gal AはGL-3やGL-2等を分解することが知られています。

 

しかし、ファブリー病ではGLA遺伝子の先天的な変異によってα-Gal Aが変異(異常なα-Gal A)しています。

異常なα-Galは小胞体から放出された後、すぐに分解されてしまい、リソソームまで輸送されません。

 

その結果、
本来分解されるはずのGL-3やGL-2等が分解されなくなってしまい、リソソーム内に過剰に蓄積していってしまいます。

 

ファブリー病の症状

このように蓄積したGL-3やGL-2等によって、以下のような様々な症状が発現します。

 

<小児期>

  • 四肢疼痛:手足が焼けるような強烈な痛み
  • 低汗・無汗:汗が出なくなり、体温調節ができない
  • 被角血管腫:赤紫色の皮膚炎(発疹)

 

<成人期>

  • 脳梗塞
  • 心不全
  • 腎不全

 

ファブリー病の治療

ファブリー病では「α-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)」が欠損・少なくなっているため、基本的にはα-Gal Aの補充療法が行われます。

 

α-Gal Aの補充療法に使用する薬剤には以下があり、いずれも注射薬です。

  • ファブラザイム点滴静注用(一般名:アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え))
  • リプレガル点滴静注用(一般名:アガルシダーゼ アルファ(遺伝子組換え))

 

α-Gal Aを補充することで、GL-3等の分解が促進され、症状が緩和されると考えられます。

 

ファブラザイム(一般名:アガルシダーゼ)の作用機序

ファブラザイムはヒトのα-Gal Aと同一構造を有する薬剤です。

ファブラザイムを体内に投与するとリソソーム内に運ばれ、GL-3等の分解を促進します。

この結果、GL-3の蓄積が解消され、症状が緩和すると考えられています。

 

ファブラザイムの副作用

主な副作用として、Infusion associated reactionと考えられる悪寒、発熱、倦怠感、呼吸困難、鼻炎、高血圧などが報告されています。

Infusion associated reactionはアレルギー反応のようなもので、重篤な場合にはアナフィラキシーショックを引き起こすこともありますので、投与直後には特に注意が必要です。

 

ファブラザイムの用法・用量、使用上の注意

1回体重1kgあたり1mgを隔週、点滴静注します。

 

前述のInfusion associated reactionが発現するおそれがあるため、初回の投与速度は0.25mg/分以下とすることとされています。

ただ、何回も投与して忍容性が十分に確認された場合には、0.5mg/分を上限として徐々に速めてもよいとされています。

 

あとがき

ファブリー病に使用するα-Gal Aの補充療法薬としては初のバイオシミラーが登場します。

最近では補充療法以外の選択肢として、経口投与可能な新薬のガラフォルド(一般名:ミガーラスタット)も登場しました。

 

様々な選択肢が増えたことにより、ファブリー病の予後改善ができればいいなと思います。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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