6.腎・泌尿器系

ユリス(ドチヌラド)の作用機序:類薬との違い【高尿酸血症・痛風】

更新日:

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2019年11月29日の厚労省の薬食審・医薬品第一部会にて「痛風、高尿酸血症」を対象疾患とするユリス錠(ドチヌラド)の承認が了承されました!

富士薬品|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名ユリス錠0.5mg/1mg/2mg
一般名ドチヌラド(開発コード:FYU-981)
製品名の由来不明
製薬会社製造販売:(株)富士薬品
共同販促:持田製薬(株)
効能・効果痛風、高尿酸血症
用法・用量記事内参照
収載時の薬価未承認・薬価未収載

 

ユリスは新規の「尿酸排泄促進薬」に分類されていて、類薬にはユリノーム(ベンズブロマロン)等がありますね。

ユリノーム(ベンズブロマロン)の作用機序と副作用【高尿酸血症・痛風】

続きを見る

 

余談ですが・・・2019年11月に前立腺肥大症に使用するユリーフ(シロドシン)と、痛風に使用するユリノームの取り違えの注意喚起が発出されています。

参考:「ユリーフ錠」と「ユリノーム錠」の販売名類似による取り違え注意のお願い

 

木元 貴祥
個人的に、ユリスも上記に加えて取り間違えの可能性があるんじゃないかとヒヤヒヤしています・・・。

 

今回はユリス(ドチヌラド)の作用機序や特徴、類薬4製品(ベネシッド、パラミヂン、ユリノーム)との違いや比較について解説していきます。

 

尿酸の生合成と排泄メカニズム

尿酸は一言で言うと「老廃物」です。

 

ヒトの細胞内にはDNAやRNAと呼ばれる核酸が存在しています。

核酸は細胞分裂やタンパク質合成に欠かすことのできない必須物質ですが、新陳代謝によって日々老廃物として分解・代謝が繰り返されています。

 

ヒト細胞の核酸は肝臓にて「プリン体」に変換され、その後、ヒポキサンチン⇒キサンチン⇒尿酸、といった過程で変換されます。

  • ヒポキサンチンからキサンチン
  • キサンチンから尿酸

の変換には「キサンチンオキシダーゼ」と呼ばれる酵素が関与しています。

 

そして生成された尿酸のほとんどは尿中から排泄されますが、一部は近位尿細管に存在する「尿酸トランスポーター1(URAT1)」と呼ばれるトランスポーターによって血中(体内)に再吸収されます。

尿酸の生合成と排泄メカニズム:キサンチンオイシダーゼとURAT1

 

木元 貴祥
その他にも摂取した食物中の核酸やプリン体に由来する尿酸もあります。

 

正常時には尿酸の合成量と排泄量が一定に保たれていますが、様々な理由で

  • 尿酸産生量が過剰
  • 尿酸排泄量が低下

となった状態が高尿酸血症です。

 

高尿酸血症・痛風とは

性別・年齢を問わず、血清尿酸値が「7.0mg/dL」を超えるものを“高尿酸血症”と定義しています。1)

 

高尿酸血症は以下の3つに大別されており1)、その後の治療薬選択に重要です。

  1. 尿酸産生過剰型:12%
  2. 尿酸排泄低下型:60%
  3. 混合型:25%

 

木元 貴祥
最も多いのが全体の約6割を占める「尿酸排泄低下型」ですね。

 

 

また、高尿酸血症の持続によって、尿酸が組織(特に関節)に沈着して生じる疾患を“痛風”と呼んでいます。

 

痛風は特に足の親指の付け根に好発し、激しい痛み(痛風発作)を主症状とします。

痛風発作の前兆症状として、

  • 患部の違和感
  • ムズムズ感

が発現すると言われています。

 

発症頻度として、性別ではほとんどが男性に好発します。

また、30歳以上の男性の約30%は高尿酸血症、約1%は痛風に罹患していると推察1)されており、食物の欧米化によって年々増加傾向です。

 

高尿酸血症だけでしたら特に症状が無いため、放置しがちですが、高尿酸血症が長期間に及ぶと痛風のリスクが高まりますので、早めの対策・治療が重要です。

 

高尿酸血症・痛風の治療

高尿酸血症の治療は生活習慣病の改善が第一です。

 

高尿酸血症による症状を繰り返す場合や、無症状でも尿酸値が8.0mg/dLを超えている場合には薬物治療が行われることがあります。

 

薬物治療で使用できる尿酸降下薬としては以下の2種類があります。

  1. 尿酸排泄促進薬:ユリノーム(ベンズブロマロン)、パラミジン(ブコローム)、ベネシッド(プロベネシド)
  2. 尿酸生成抑制薬:フェブリク(フェブキソスタット)、ザイロリック(アロプリノール)

 

尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬を基本原則とします。

 

今回ご紹介するユリノームは「尿酸排泄促進薬」ですので、ユリノーム等に加えて新規の選択肢になってきますね。

 

ちなみに、尿酸生成抑制薬については以下の記事で解説していますので是非ご覧くださいませ~。

フェブリク(フェブキソスタット)の作用機序と副作用【高尿酸血症・痛風】

続きを見る

 

 

痛風発作については、前兆期にコルヒチンを投与します。もし前兆症状が現れた段階で治療ができなかった場合には痛みが生じ、通常24時間以内に痛みのピークを迎えると言われています。

 

また痛風発作の症状がはっきりと現れている状態(“極期”と言います)にはNSAIDsやステロイドの投与が行われます。

 

ユリス(ドチヌラド)の作用機序と尿のアルカリ化

ユリスに代表される尿酸排泄促進薬は、近位尿細管の尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害することで尿酸の再吸収を抑制させます。

 

その結果、尿酸の排泄が促進され、尿酸値の低下(高尿酸血症の改善)効果が得られると考えられています。

ユリス(ドチヌラド)の作用機序

 

このような作用機序によって尿酸の排泄が促進される一方、尿中には多量の尿酸が存在することになり、尿が酸性化してしまいます。

尿が酸性の場合、尿酸が尿路(尿管や膀胱)に析出しやすくなり、尿路結石により血尿、排尿痛、排尿障害等を伴う恐れがあります。

 

従って、一般的に尿酸排泄促進薬を使用する場合には尿路結石の発現に注意し、尿アルカリ化薬を併用します。1)

 

木元 貴祥
ユリスも同じくアルカリ化薬を併用するものと思われます!

 

上記の理由より、結石を有する、もしくは結石の既往歴のある患者さんには尿酸排泄促進薬は使用しません。

 

エビデンス紹介

後日更新予定です。

 

木元 貴祥
現状、学会発表や論文では未公表ですね。

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgより開始し、1日1回経口投与します。

その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量いていきます。

 

維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減しますが、最大投与量は1日1回4mgとされています。

 

ユリスの特徴:ベネシッド、パラミヂン、ユリノームとの違い・比較一覧表

現在までに販売されている尿酸排泄促進薬としては以下があります。

  • ベネシッド(一般名:プロベネシド)
  • パラミジン(一般名:ブコローム)
  • ユリノーム(一般名:ベンズブロマロン)

 

ユリスは基礎の検討において、薬物排出性トランスポーター(ABCG2:ATP-binding cassette sub-family G member 2)や有機アニオン系トランスポータ(OAT)に影響を及ぼさないことが示唆されています。2)

従って、腎機能が低下した場合にも使用できる可能性があります!

 

木元 貴祥
その他、薬物相互作用(併用注意等)が少ないといった特徴が言われていますが・・・これはまだ正式承認されないと分かりませんね(汗)

 

参考までに、現時点で公開されている内容で比較の一覧表を作成してみました!

 

尿酸排泄促進薬(ユリス、ベネシッド、パラミヂン、ユリノーム)の違い・比較一覧表

 

ベネシッドでは併用注意薬が多いですね。また、肝障害や腎障害によって禁忌が設定されている薬剤もありますので、使い分けの点では考慮が必要そうです。

 

正式承認後、審査報告書等公開後に更新予定です。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ユリスはこんな薬

  • 尿酸排泄促進薬に分類されている
  • 尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害し、尿酸の排泄を促進する
  • 尿路結石対策として尿アルカリ化薬と併用する(予定)

 

尿酸排泄促進薬としては4製品目の登場になりそうですが、今後、各薬剤の使い分け等が検討されれば興味深いと感じます☆

 

以上、今回はユリス(ドチヌラド)の作用機序や特徴、類薬4製品(ベネシッド、パラミヂン、ユリノーム)との違いや比較について解説しました!

 

尿酸生成抑制薬の作用機序等のついては以下の記事をご参照ください^^

フェブリク(フェブキソスタット)の作用機序と副作用【高尿酸血症・痛風】

続きを見る

 

引用文献・資料等

  1. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版
  2. J Pharmacol Exp Ther. 2019 Oct;371(1):162-170.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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