新薬承認・薬価収載

【新薬:薬価収載】11製品+再生医療等製品(2019年5月22日)

更新日:

2019年5月22日に新薬11製品と再生医療等製品のキムリアが薬価収載されました!

 

木元 貴祥
注目は再生医療等製品のキムリアですね。1患者あたりの薬価は「約3,350万円」です!

 

その他、オプジーボの費用対効果評価による薬価引き下げが2019年8月1日に行われますのでその内容についても解説しています。

ちなみにフェインジェクトコラテジェンは今回収載が見送られています(次回は2019年8月頃です)。

 

今回は薬価収載の新薬一覧とその算定根拠についてご紹介します。

 

2019年5月22日:薬価収載の11製品

2019年5月22日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。(スマホでは横スクロールができます)

製品名
(一般名)
規格薬価効能・効果
(簡略)
ビバンセカプセル
(リスデキサンフェタミン)
20mg1カプセル
30mg1カプセル
674.80円
747.70円
小児ADHD
ロスーゼット配合錠
(エゼチミブ/ロスバスタチン)
LD錠
HD錠
177.00円
177.00円
高コレステロール血症
スマイラフ錠
(ペフィシチニブ)
50mg1錠
100mg1錠
1,741.00円
3,379.90円
関節リウマチ
アーリーダ錠
(アパルタミド)
60mg1錠2,281.90円前立腺がん
アセレンド注
(亜セレン酸ナトリウム)
100µg2mL1瓶1,618円低セレン血症
レブコビ筋注
(エラペグアデマーゼ)
2.4mg1.5mL1瓶846,349円アデノシンデアミナーゼ欠損症
スキリージ皮下注
(リサンキズマブ)
75mg0.83mL1筒239,374円乾癬
リサイオ点滴静注液
(チオテパ)
100mg2.5mL1瓶189,816円自家造血幹細胞移植の前治療
ラビピュール筋注用
(乾燥組織培養
不活化狂犬病ワクチン)
1瓶(溶解液付)11,867円狂犬病の発病阻止
ピリヴィジェン10%点滴静注
(人免疫グロブリン)
5g50mL1瓶
10g100mL1瓶
20g200mL1瓶
39,718円
78,580円
155,468円
慢性炎症性
脱髄性多発根神経炎の
筋力低下
テリルジー100エリプタ
(フルチカゾン/ウメクリジニウム
/ビランテロール)
14吸入1キット
30吸入1キット
4,107.40円
8,692.80円
COPD

 

薬価の算定方法

各薬剤の薬価算定方法は2019年5月15日の中医協の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。

 

ビバンセ:類似薬効比較方式(コンサータ)【加算あり】

ビバンセは同じくADHDに使用するコンサータ錠(メチルフェニデート)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

加算前の30mgカプセルの薬価は712.10円でしたが、小児加算5%を上乗せ(×1.05)した474.70円とされています。

 

  • コンサータ錠27mg:374.30円(1日薬価:712.10円)
  • ビバンセカプセル20mg1カプセル:674.80円
  • ビバンセカプセル30mg1カプセル:747.70円(1日薬価:747.70円)

 

小児加算の根拠

  • 小児に係る用法・用量が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当する。

 

ピーク時の予測販売金額は20億円です。

 

作用機序や類薬との違い・比較については下記記事で解説しています。(比較一覧表もあります)

 

ロスーゼット配合錠:新医療用配合剤の特例(ゼチーア/クレストール)

ロスーゼット配合錠はゼチーア(エゼチミブ)とクレストール(ロスバスタチン)の配合剤で、ゼチーアはロスーゼットと同じくMSDが製造販売元です。

 

従って、新医療用配合剤の特例「自社品の薬価の0.8倍+他社の後発品の最低薬価」により算定されています。

しかし上記で計算したところ、ゼチーア単剤の薬価を下回ったため、ロスーゼットの薬価はゼチーア錠10mgの薬価と同額とされています。

 

  • ロスーゼット配合錠LD 1錠:177.00円(1日薬価:177.00円)
  • ロスーゼット配合錠HD 1錠:177.00円

 

木元 貴祥
LDとHDではロスバスタチンの用量が異なります(LD:2.5mg、HD:5.0mg)が、薬価は同じとされていますね。

 

ピーク時の予測販売金額は135億円です。

 

作用機序や類薬のアトーゼット配合錠との違い・比較については以下の記事で解説しています。

 

スマイラフ:類似薬効比較方式(オルミエント)

スマイラフは、同じく関節リウマチに使用されるオルミエント錠(バリシチニブ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

  • オルミエント錠4mg:5,223.00円(1日薬価:5,223.00円)
  • スマイラフ錠50mg:1,741.00円(1日薬価:5,223.00円)
  • スマイラフ錠100mg:3,379.90円

 

ピーク時の予測販売金額は84億円です。

 

作用機序や類薬のオルミエント/ゼルヤンツとの違い・比較については下記記事で解説しています。(比較一覧表もあります)

 

アーリーダ:類似薬効比較方式(イクスタンジ)

アーリーダは、同じく前立腺がんに使用されるイクスタンジ錠(エンザルタミド)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

  • イクスタンジ錠80mg:4,563.70円(1日薬価:9,127.40円)
  • アーリーダ錠60mg:2,281.90円(1日薬価:9,127.40円)

 

ピーク時の予測販売金額は218億円です。

 

作用機序やエビデンスについては下記記事で解説しています。

 

アセレンド:原価計算方式【加算あり】

アセレンドは類薬がないため、原価計算方式で算定されています。

 

小児加算が5%加算されています。

製造総原価の開示度に応じた加算係数1.0を乗じて、最終的には5%×1.0=5%の加算とされています。

 

以上より、加算前の薬価は1,541円でしたが、5%上乗せ(×1.05)した1,618円とされています。

  • アセレンド注100µg:1,618円

 

小児加算の根拠

  • 本剤には小児に係る用法・用量が明示的に含まれており、加算の要件に該当する。

 

ピーク時の予測販売金額は12億円です。

 

レブコビ:原価計算方式【加算あり】

レブコビは類薬がないため、原価計算方式で算定されています。

 

有用性加算(Ⅱ)が5%市場性加算が10%加算されています。

製造総原価の開示度に応じた加算係数0.2を乗じて、最終的には(5%+10%)×0.2=3%の加算とされています。

 

以上より、加算前の薬価は821,698円でしたが、3%上乗せ(×1.03)した846,349円とされています。

  • レブコビ筋注2.4mg:846,349円

 

有用性加算の根拠

  • 本剤は、ADA欠損症に対する初の薬剤であり、患者の代謝異常・重症免疫不全に起因する諸症状を改善し、造血幹細胞移植のためのドナー探索期間や移植実施までの期間において、全身症状を安定した状態に維持することができる

 

ピーク時の予測販売金額は9.7億円です。

 

スキリージ:類似薬効比較方式(トレムフィア)

スキリージは同じく乾癬に使用されるトレムフィア(グセルクマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

  • トレムフィア皮下注100mgシリンジ:319,130円(1日薬価:5,699円)
  • スキリージ皮下注75mgシリンジ:239,374円円(1日薬価:5,699円)

 

ピーク時の予測販売金額は102億円です。

 

作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。

 

乾癬に使用する生物学的製剤一覧をまとめた記事もあります。(比較一覧表もあります)

 

リサイオ:原価計算方式【加算あり】

リサイオの類薬としてメルファランやブスルファンがありますが、薬価収載後10年以上であることを踏まえて、新薬算定最類似薬はないと判断されています。

従って、 原価計算方式で算定されています。

 

小児加算が5%加算され、製造総原価の開示度に応じた加算係数0.5を乗じて、最終的には5%×0.5=2.5%の加算とされています。

 

以上より、加算前の薬価は184,287円でしたが、2.5%上乗せ(×1.025)した189,816円とされています。

  • リサイオ点滴静注液100mg:189,816円

 

小児加算の根拠

  • 効能・効果では小児を対象とすることが明示されており、小児加算の要件を満たす。

 

ピーク時の予測販売金額は0.51億円です。

 

ラビピュール:類似薬効比較方式(不活化狂犬病ワクチン)【加算あり】

ラビピュールは同じく狂犬病の発生阻止に使用される不活化狂犬病ワクチンの1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

小児加算が5%加算され、最終的な薬価は以下の通りです。

  • 組織培養不活化狂犬病ワクチン:11,302円(1日薬価:67,812円)
  • ラビピュール筋注用:11,867円(1日薬価:71,202円)

 

小児加算の根拠

  • 本剤は、小児を対象に国内で臨床試験が実施されていること、比較薬は小児加算を受けていないことから加算の要件に該当する。

 

ピーク時の予測販売金額は0.23億円です。

 

ピリヴィジェン:類似薬効比較方式(献血グロベニン)【加算あり】

ピリヴィジェンは同じく慢性炎症性脱髄性多発根神経炎に使用する献血グロベニン-I静注用の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

  • 献血グロベニン-I静注用:38,867円(1日薬価:155,468円)
  • ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL:39,718円
  • ピリヴィジェン10%点滴静注10g/100mL:78,580円
  • ピリヴィジェン10%点滴静注20g/200mL:155,468円(1日薬価:155,468円)

 

ピーク時の予測販売金額は43億円です。

 

テリルジー:類似薬効比較方式(アノーロエリプタ)【加算あり】

テリルジーは同じくCOPDに使用するアノーロエリプタ(ウメクリジニウム/ビランテロール)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

有用性加算(Ⅱ)10%が加算され、キット特徴部分の原材料費が加味されて以下の薬価とされています。

  • アノーロエリプタ30吸入用:7,924.70円(1日薬価:264.20円)
  • テリルジー100エリプタ14吸入用:4,107.40円
  • テリルジー100エリプタ30吸入用:8,692.80円(1日薬価:289.80円)

 

有用性加算の根拠

  • 本剤は既存治療で効果不十分な患者群で検討を行い、既存の2成分の治療と比較して、慢性閉塞性肺疾患の増悪の年間発現率で統計学的に有意な差が認められた。
  • 審査報告書において本剤は3成分を1回の吸入で投与可能であり、利便性が高いと評価されている。

 

ピーク時の予測販売金額は236億円です。

 

作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。

 

再生医療等製品の保険償還価格の算定:キムリア【加算あり】

2019年5月15日の中医協総会では再生医療等製品のキムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の保険償還価格の算定も行われていました。

 

木元 貴祥
再生医療等製品の保険償還は「医薬品として」か「医療機器として」かは個別に判断されています。

 

○ 再生医療等製品の保険適用に関する当面の間の対応

  • 薬事法改正後に承認(条件・期限付承認を含む。)された再生医療等製品については、保険適用の希望のあった個別の製品の特性を踏まえ、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、薬事承認の結果を踏まえて判断
  • 薬価算定組織又は保険医療材料専門組織で償還価格について検討
  • 上記検討の結果を踏まえ、中医協総会で薬価基準又は材料価格基準に収載するかを審議

※引用:中央社会保険医療協議会 総会(第285回) 議事次第  総-2-1

 

キムリアも同様に検討された結果、2019年3月27日の中央社会保険医療協議会 総会(第411回)にて医薬品として薬価収載されることが了承されました。

 

 

キムリアは類薬がないため、原価計算方式で算定されました。

また、有用性加算(Ⅰ)が35%市場性加算(Ⅰ)が10%加算されていますが、製造総原価の開示度に応じた加算係数0.2を乗じて、最終的には(35%+10%)×0.2=9%の加算とされています。

 

加算前の1患者あたりの薬価は30,727,896円でしたが、加算(×1.09)の結果、最終的には以下の薬価に決定しました。

  • キムリア点滴静注 1患者あたり:33,493,407円

 

有用性加算の根拠

  • CD19陽性B細胞に特異的に結合し、抗腫瘍効果を発揮する。
  • 投与したT細胞自身が体内で活性化、増殖、生存して免疫監視機構が働き続けるため、1回
    の投与で持続的な抗腫瘍効果が期待できる。
  • 既存の治療方法で効果不十分な症例において、有用性が示されている。

 

作用機序や特徴、エビデンスについては以下の記事で解説しています。

 

オプジーボの費用対効果評価による薬価引き下げ:2019年8月1日より

2016年度より試行的に医薬品などの費用対効果評価が行われており、オプジーボはその対象とされていました。

 

その後、何度か費用対効果の評価が行われ、最終的な費用対効果評価結果(※)がとりまとめられたのを受け、今回薬価引き下げと判断されています。

※中医協:費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会(第19回)議事次第

 

その結果、2019年8月1日より、現在販売されているオプジーボの薬価は以下に減額されます(約1%の薬価引き下げ)。

  • 20mg 2mL 1瓶:35,766円 ⇒ 35,407円
  • 100mg 10mL 1瓶:173,768円 ⇒ 172,025円
  • 240mg 24mL 1瓶:410,580円 ⇒ 406,463円

 

オプジーボはこれまでも

  • 特例拡大再算定による引き下げ
  • 市場実勢価に基づく改定による引き下げ
  • 収載後外国平均価格調整による引き下げ
  • 費用対効果評価による引き下げ
  • 用法用量変化再算定による引き下げ(参考記事はこちら

と様々な引き下げが行われてきました。

 

木元 貴祥
高額な薬剤ですので仕方ないのですが、製薬企業にとっては少々気の毒な印象も受けてしまいます。 。

今後の新薬開発に支障を来さなければ良いのですが・・・。

 

あとがき

木元 貴祥
今回は加算ありの新薬が多かった印象ですね。

 

特にキムリアは画期的な作用機序ですが、重篤な副作用(サイトカイン放出症候群、神経毒性)の報告もありますので、非常に注意が必要です。

同日の中医協ではキムリアの最適使用推進ガイドライン(案)も発出されていますので、施設要件等を順守した使用が望まれますね。

 

また、キムリアと同日に承認された再生医療等製品のコラテジェン(ベペルミノゲン ペルプラスミド)や、鉄欠乏性貧血治療薬のフェインジェクトについては今回の薬価収載は見送られています。

 

木元 貴祥
次回は2019年8月頃に中医協が予定されていますので、そこで収載されるかどうか、注目ですね。

 

コラテジェンの作用機序やエビデンス、特徴等については以下の記事で解説しています。

 

フェインジェクトの作用機序については以下の記事で解説しています。

 

以上、今回は2019年5月22日に薬価収載された新薬一覧、そして再生医療等製品のキムリアや、オプジーボの薬価引き下げ等についてご紹介しました!

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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