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タグリッソ(オシメルチニブ)の作用機序と副作用【肺がん】

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タグリッソ錠(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)の「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」の適応において、一次治療からの使用を可能とする適応拡大2018年8月21日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:アストラゼネカ(株)

 

これまでタグリッソは「EGFR阻害薬抵抗性」かつ「EGFR T790M変異陽性」にしか使用できませんでしたが、今後は一次治療からの使用が可能となりました。

 

今回は非小細胞肺がんとタグリッソ(オシメルチニブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

非小細胞肺がんと治療について

肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合(StageⅣ)や再発してしまった場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

非小細胞肺がん初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。

 

 

 

 

 

 

  • 上記遺伝子等がすべて陰性の場合:抗がん剤(シスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ペメトレキセドなど)とアバスチンなどの分子標的薬を組み合わせた治療、もしくはこれらに免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダもしくはテセントリク)を併用

 

上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。

 

EGFR遺伝子変異陽性の肺がんと治療薬

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞はしばしば「EGFR」と呼ばれるタンパク質を発現していることあります。

 

因子であるEGFが、がん細胞のEGFRに結合すると、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

 

ただし、因子であるEGFが存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。

 

非小細胞肺がんの約半数の患者さんではEGFRの遺伝子に変異のあることが知られています。

これを「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」と呼んでいます。

 

EGFR遺伝子変異陽性の場合、因子であるEGFが存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。

そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。

 

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療では、これまで下記のいずれかのEGFR阻害薬が使用されていました。

 

今回ご紹介するタグリッソは「第三世代」に分類されるEGFR阻害薬で、これまで二次治療しか使用できませんでしたが、一次治療から使用可能となります!

 

EGFR阻害薬の耐性

第一世代と第二世代のEGFR阻害薬の登場によって、EGFR遺伝子変異の非小細胞肺がんの生存期間は延長しましたが、奏効しても、ほとんどの患者さんは1年程度で耐性化し病状が進行してしまいます。

 

また、この耐性化した患者さんの過半数にEGFR遺伝子の“T790M変異”がみられるということがあり、T790M変異がある場合、EGFRに第一/第二世代のEGFR阻害薬が結合できなくなってしまいます

 

その結果、がん細胞のシグナル伝達が回復し、再度、がんの増殖が活性化されてしまいます。

 

タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)の作用機序

今回ご紹介するタグリッソ錠は、

  • EGFR遺伝子変異のあるEGFR
  • T790Mが変異したEGFR

を共に不可逆的に阻害する薬剤です!

 

EGFRを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。

 

特に、T790Mが変異したがん細胞のEGFRでも阻害することができるため、一次治療で耐性のあった患者さんに対しても効果が期待できます。

 

エビデンス紹介(一次治療):FLAURA試験

一次治療の根拠となった臨床試験をご紹介します。

本試験はEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんの一次治療において、第一世代のEGFR阻害薬(イレッサもしくはタルセバ)とタグリッソを直接比較する第Ⅲ相試験です。

 

主要評価項目は「無増悪生存期間(PFS)」で、結果は以下の通りでした。

臨床試験名FLAURA試験1)
試験群イレッサ or タルセバタグリッソ
PFS中央値10.2か月18.9か月
HR=0.46, p<0.001
奏効率76%80%
p=0.24
18か月時点の生存率71%83%
HR=0.63, p=0.007
Grade 3以上の有害事象発現率45%34%

※PFS(無増悪生存期間):薬を投与してから、がんが大きく(増大)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

このようにタグリッソ群では有意なPFSの延長と、生存率の改善が認められています。

また、Grade 3以上の有害事象の発現頻度もタグリッソ群で低い結果でした。

 

タグリッソ錠の副作用

主な副作用として、発疹・ざ瘡等、下痢、皮膚乾燥・湿疹等、爪の障害などが報告されています。

皮膚や爪の副作用が多い印象ですね。

 

あとがき

これまで一次治療のEGFR阻害薬同士の臨床試験は無く、使い分けが困難でした。

上記の臨床試験によって、第一世代のEGFR阻害薬よりもタグリッソの方が成績が優れていたことから、今後はタグリッソが一次治療から広く使用されていくと予想されます。

 

また、第一/第二世代のEGFR阻害薬でEGFR遺伝子の“T790M変異”が出現した場合、その後の治療選択肢は限られていたことから、ここにもタグリッソは使用可能です。

既に、T790M変異の有無を検出可能なコンパニオン診断薬の「コバス EGFR変異検出キットv2.0」が承認・保険適用されています。

 

以上、本日は非小細胞肺がんに対する新たな治療選択肢としてタグリッソ錠をご紹介いたしました♪

 

引用文献・資料等

  1. FLAURA試験:N Engl J Med. 2018 Jan 11;378(2):113-125.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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