おススメ記事|薬剤師の稼げる副業3選
2019年11月、「視神経脊髄炎スペクトラム」を対象疾患とするサトラリズマブの製造販売承認申請が行われました!
中外製薬|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | 不明 |
一般名 | サトラリズマブ |
製品名の由来 | 不明 |
製造販売 | 中外製薬(株) |
効能・効果 | 視神経脊髄炎スペクトラム? |
用法・用量 | 不明 |
収載時の薬価 | 薬価未収載 |
通常、抗体薬は抗原と一度しか結合できませんが、サトラリズマブは国内初の「リサイクリング抗体」で、抗原と何度でも結合できるといった特徴があります!
作用機序的には抗IL-6受容体抗体で、アクテムラ(一般名:トシリズマブ)を改良して創薬されたそうです。
今回は視神経脊髄炎スペクトラムとサトラリズマブの作用機序・特徴について解説します!
視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)とは
中枢神経の神経線維が変性・脱落すること(脱髄)が原因で引き起こされる疾患を総称して「中枢神経系炎症性脱髄疾患」と呼んでいます。1)
この中で特に視神経や脊髄神経が脱髄して引き起こされる疾患が視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)と呼ばれるものです。
NMOSD:Neuromyelitis optica(NMO) spectrum disorder
国内では10万人に3.42人が発症する2)と言われていて、難病に指定されています。1)
視神経・脊髄神経の障害のため、症状としては
- 視覚障害(視力低下・視野欠損、失明など)
- 運動機能障害
などを発現し、重篤な場合、痙攣や意識混濁、片麻痺といった致死的になることもしばしばあります。
原因
NMOSDは抗アポクリン4抗体(AQP4抗体)がその発症に重要とされています。
マクロファージやTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)から放出されるサイトカインは様々ありますが、その中でもIL-6による炎症反応がAQP4抗体産生細胞を活性化させます。
その結果、AQP4抗体が体内で過剰に産生されてNMOSDを発症すると考えられています。
ただし、NMOSDの全例にAQP4抗体が産生されているわけではなく、一部、産生されていないNMOSDもあるようです。
治療
根本的な治療法はなく、ステロイドの大量投与(ステロイドパルス療法)や血液浄化療法といった対症療法が中心です。
ステロイドパルス療法で改善が認められても、何度も再発を繰り返してしまいます。そのため、免疫抑制薬などが投与されますが、再発後の治療法として有効なものはありませんでした。
2019年には再発予防としてソリリス点滴静注(一般名:エクリズマブ)の適応拡大が承認されていますね。
-
ソリリス(エクリズマブ)の作用機序【重症筋無力症】
続きを見る
今回ご紹介するサトラリズマはNMOSDの再発時や初発時に単剤もしくはステロイド±免疫抑制薬に追加することで治療効果が示されています!
サトラリズマの作用機序・特徴:リサイクリング抗体
サトラリズマブはNMOSDの発症に関与しているIL-6受容体を選択的に阻害するモノクローナル抗体薬です。
IL-6による炎症反応を抑制することでAQP4抗体産生細胞の活性が抑制され、AQP4の産生量が減るというメカニズムですね。
通常の抗体は抗原と結合すると、細胞内に取り込まれ、結合したままリソソームに移行し、抗体ごと分解されてしまいます。
しかし、抗原に結合していない抗体はリソソームに移行することなく再利用されるということが分かってきました。
その点に着目したのがサトラリズマブです!
サトラリズマブはIL-6受容体に結合後、細胞内に取り込まれますが、細胞内の酸性条件下で抗原(IL-6受容体)を遊離するように設計されています。
抗原を遊離したサトラリズマブはリソソームに移行することなく、細胞外に放出され、再度IL-6受容体に結合することが可能となります!
このように再利用可能な抗体技術のことを「リサイクリング抗体(SMART-Ig®)」と呼んでいるようです。
通常の抗体は一度抗原と結合するとそれで終わりですが、リサイクリング抗体は何度でも抗原と結合することができますので、より治療効果が期待できると思います!
エビデンス紹介:SAkuraSky試験
根拠となった臨床試験(SAkuraSky試験)を一つご紹介します。3)
本試験は、免疫抑制剤による治療(ベースライン治療)を受けているNMOSDの患者さんを対象に、サトラリズマブを上乗せする群と、プラセボを上乗せする群を比較する第Ⅲ相臨床試験です。
AQP4抗体の有無は問わず。
主要評価項目は「再発割合」とされ、結果は以下の通りでした。
ベースライン治療+ サトラリズマブ | ベースライン治療+ プラセボ | |
再発割合 | 20% | 43% |
HR=0.38(95%CI:0.16~0.88) p=0.02 | ||
AQP4抗体陽性例の 再発割合 | 11% | 43% |
HR=0.21(95%CI:0.06~0.75) | ||
AQP4抗体陰性例の 再発割合 | 36% | 43% |
HR=0.66(95%CI:0.20~2.24) |
ベースライン治療にサトラリズマブを併用することで有意に再発を抑えることが確認されていますね!
その他、サトラリズマブ単剤とプラセボ単剤を比較したSAkuraStar試験4)においてもサトラリズマブの有効性が確認されているようです。
副作用
後日更新予定です。
サトラリズマブはアクテムラ(一般名:トシリズマブ)の改良版ですが、副作用プロファイル等は似ていると予想されます。従って、敗血症、肺炎等の重篤な感染症には注意が必要かもしれません。
用法・用量
後日更新予定です。
臨床試験では0、2および4週目に皮下投与し、その後は4週間隔で皮下投与していました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
サトラリズマブはこんな薬
- IL-6受容体を選択的に阻害する抗IL-6受容体抗体
- アクテムラ(トシリズマブ)を改良したリサイクリング抗体で、再利用が可能
通常の抗体薬は一度抗原と結合すると遊離はしませんが、サトラリズマブは細胞内の酸性条件によって抗原と遊離できるユニークな特徴を有しています。
抗原と遊離することで再利用が可能となり、結果として長時間作用することも可能ですね。実際に臨床試験では月1回(4週毎)の投与で治療効果が認められています。すごい!
これまでNMOSDは治療選択肢が少なかったのですが、新たな治療選択肢に加わることが期待されますね。
以上、今回は視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)とサトラリズマブの作用機序・特徴について解説しました!
引用論文・資料等
- 難病情報センター|多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)
- 日本神経学会|多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017
- SAkuraSky試験:N Engl J Med 2019; 381:2114-2124
- SAkuraStar試験:中外製薬ニュースリリース
時給5千円・年収700万円以上!
-
看護師限定!看護専門学校の予備校講師を募集中【副業も可】
続きを見る
失敗しない薬剤師の転職とは?
数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト。
どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。
- 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
- 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
- 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!
上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!
-
薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較
続きを見る
★関連記事&広告★