1.中枢神経系

トレリーフ(ゾニサミド)の作用機序と副作用【レビー小体型認知症に伴うパーキソニズム】

トレリーフ錠25mg、同OD錠25mg(一般名:ゾニサミド)の「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム(レボドパ含有製剤を併用してもパーキンソニズムが残存する場合)」の適応追加が2018年7月2日に承認されました。

製薬会社

  • 製造販売元:大日本住友製薬(株)

 

トレリーフは既に「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)」の効能・効果を有していますが、上記が追加されました。

「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」を効能・効果とする世界初の薬剤となります。

 

今回はレビー小体型認知症とパーキンソン症状、そしてトレリーフ(ゾニサミド)の作用機序とエビデンスについてご紹介します。

 

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物忘れと認知症(レビー小体型認知症)

物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。

加齢によるものは、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、ヒントがあれば思い出すことができます。

本人にも自覚はありますが、進行することはなく、日常生活にも支障は無いと言われています。

 

一方、認知症は、脳の神経細胞の急激な破壊により起こり、物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントがあっても思い出すことができません

本人に自覚はないことが一般的で、進行性かつ日常生活に支障をきたします。

 

このような認知症の中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の約6割を占めています。

一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方も多いと思いますが、認知症の中には、脳血管障害によって発現するものや、レビー小体と呼ばれるタンパク質が脳内の神経に蓄積することによって発現するもの、等もあります。

 

レビー小体型認知症は、
アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症に続いて多いタイプで、認知症全体の約20%を占め、推定患者数は30~60万人程度といわれています。

 

レビー小体型認知症の症状とパーキソニズム

レビー小体型認知症にみられる特徴的な症状としては、

  • 認知機能の動揺
  • 繰り返し現れる幻視
  • レム睡眠行動障害
  • パーキンソン症状(パーキンソニズム)

が知られています。

 

通常の疾患としてのパーキンソン病は、脳内の「黒質」という部分のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患で、難病に指定されています。

 

レビー小体型認知症に伴うパーキンソン症状は、レビー小体が黒質のドパミン神経細胞を障害・変性させることで発現すると考えられています。

 

このようなパーキンソン症状に対しては、これまで適応外でパーキンソン病の治療薬が用いられていましたが、「レビー小体型認知症に伴うパーキンソン症状」に適応を有する薬剤はありませんでした。

 

パーキンソン症状の原因

正常な状態では、
ドパミンはチロシン→L-ドパを経由して脳の神経細胞内で合成されています。

 

チロシンからL-ドパへの変換を促す酵素として「チロシン水酸化酵素」が知られています。

また、分泌されたドパミンを分解する酵素として「モノアミン酸化酵素B(MAO-B)」が知られています。

 

レビー小体型認知症に伴うパーキンソン症状は、レビー小体が神経細胞を障害し、脳内の神経細胞から分泌されるドパミン量が減少することで発現すると考えられています。

 

トレリーフ(一般名:ゾニサミド)の作用機序

トレリーフの作用機序は完全に明確ではありませんが、以下が考えられています。

  1. チロシン水酸化酵素の活性化
  2. MAO-Bの阻害

 

チロシン水酸化酵素を活性化することでチロシンからL-ドパへの変換が促され、結果的にドパミン量が増加します。

また、分泌されたドパミンを分解する酵素であるMAO-Bを阻害することで、分解が抑制され、ドパミン量が回復すると考えられます。

 

以上の作用機序によって体内のドパミン量が増加し、パーキンソン症状の改善効果が得られると考えられます。

 

エビデンス紹介(国内の第Ⅲ相試験)

根拠となった国内の臨床試験をご紹介します。1)

本試験はレビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムと診断された患者さんを対象に、トレリーフ(25mg or 50mg)とプラセボを直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

投与期間は12週間とされています。

 

主要評価項目は12週時点の「UPDRS*のPartⅢ合計スコアのベースラインからの変化量」です。

12週時点の各結果は以下の通りでした。

試験群トレリーフ
25mg
トレリーフ
50mg
プラセボ
UPDRS*のPartⅢの
変化量
-4.1±0.6
(P=0.005)
-4.0±0.7
(P=0.005)
-1.4±0.6
MMSEの変化量-0.3±0.3-0.8±0.30.0±0.3
NPI-10の変化量-0.2±0.6-0.1±0.60.6±0.6

*UPDRS:パーキンソン病の各種症状の有無や重症度を数値化して示す指標
※MMSE:認知症診断用の質問を数値化したもの
†NPI-10:介護者の精神症状を評価するための指標

 

以上より、トレリーフはレビー小体型認知症に伴うパーキンソン症状の改善効果が示されています。

 

トレリーフ錠の用法・用量

レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムに使用する場合、通常、成人にゾニサミドとして1日1回25mgを経口投与します。

 

トレリーフには25mgと50mgの規格がありますが、50mg規格にはレビー小体型認知症に伴うパーキソニズムの適用はないのでご注意ください。

 

トレリーフ錠の副作用

主な副作用として、体重減少、眠気、食欲不振、発疹、幻覚、精神症状の悪化、転倒などが報告されています。

 

あとがき

これまでレビー小体型認知症に伴うパーキソニズムには、パーキンソン病治療薬が適応外で投与されることがありました。

トレリーフは世界初のレビー小体型認知症に伴うパーキソニズム治療薬です!

 

通常のパーキンソン病と治療薬については以下の記事をご参照ください。

 

また、レビー小体型認知症の認知機能改善にはアリセプトが使用されています。

 

以上、今回はトレリーフ(ゾニサミド)の作用機序についてご紹介しました。

 

引用文献・資料等

  1. 国内第Ⅲ相試験:審査報告書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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