5.内分泌・骨・代謝系

クリースビータ皮下注(ブロスマブ)の作用機序【くる病/骨軟化症】

投稿日:

2019年9月20日、「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」を対象疾患とするクリースビータ皮下注(ブロスマブ)が承認されました!

協和キリン|ニュースリリース

基本情報

製品名クリースビータ皮下注10mg/20mg/30mg
一般名ブロスマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来
製造販売協和キリン(株)
効能・効果FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
用法・用量成人:4週毎
小児:2週毎
収載時の薬価薬価未収載

 

クリースビータは日本初の抗FGF23抗体薬に分類されていて、新規作用機序を有する薬剤ですね!

 

木元 貴祥
ちなみに、海外では製品名「Crysvita」として既に承認・販売されています。

 

今回はくる病・骨軟化症とクリースビータ(ブロスマブ)の作用機序について解説していきます。

 


くる病・骨軟化症の分類・症状

くる病・骨軟化症は骨石灰化障害を特徴とする疾患の総称で、成長軟骨帯閉鎖以前のものを「くる病」、それ以降のものを「骨軟化症」と呼んでいます。

 

木元 貴祥
子供はくる病、大人は骨軟化症、といったイメージですね。

 

くる病・骨軟化症は大きく以下の2種類に分類されいて、いずれも難病に指定されています。

  1. ビタミンD依存性くる病・骨軟化症1)
  2. ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症2)

 

ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症は、別名「低リン血症性くる病・骨軟化症」と呼ばれていて、慢性的な低リン血症状態によって引き起こされると考えられています。

 

ビタミンD抵抗性くる病の主な症状としては、

  • 骨変形
  • 成長障害
  • 脊柱の湾曲
  • 関節腫脹

などがあり、しっかりと治療を開始しないと成長障害によって低身長となってしまうこともあります。

 

また、ビタミンD抵抗性骨軟化症では、筋力低下や骨痛が主な症状ですが、こちらも適切な治療を行わないと、最悪寝たきり状態になってしまいます。

 

特に最近、ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症の多くは「繊維芽細胞増殖因子23(FGF23:fibroblast growth factor23)」の過剰産生によるものだとされています。

低リン状態かつ血中FGF23濃度が30pg/ml未満の場合に診断3)

 

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は更にその原因(遺伝的要因や腫瘍性要因)によって細分化されていますが、主なものとしては以下があります。3)

  • X染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLHR)
  • 腫瘍性くる病・骨軟化症(TIO)

 

木元 貴祥
今回ご紹介するクリースビータはFGF23に関連していますね!

 

ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症の治療

根本的な治療法はありませんので、対処療法として以下の薬物療法が中心です。

  • リン製剤
  • 活性型ビタミンD3製剤

 

従って、新たな治療選択肢が望まれていました。

 

木元 貴祥
それではクリースビータに関連するFGF23とリンについて解説します!

 

FGF23とリン濃度調節

通常、体内のリン濃度は、

  • 小腸からの吸収
  • 腎臓からの排泄
  • 骨形成と骨吸収
  • 細胞のリンプール

によって一定に保たれています。

リンの体内動態と活性型ビタミンD3

 

また、活性化ビタミンD3も小腸からのカルシウムとリンの吸収促進作用、腎臓からのカルシウムとリンの再吸収促進(排泄抑制)という大切な役割を担っています。(カルシウムとリンの調整)

同時に活性化ビタミンD3は骨形成を促進させることによって、カルシウムやリンを骨にコーティング(石灰化)し、骨を強くしていきます。

 

木元 貴祥
このように骨の強度を保ったり、骨代謝の中心的な役割を担っているのがビタミンD3やカルシウム・リンですね。

 

そして最近になって、もう一つリンを調整している因子が発見されました。それが「繊維芽細胞増殖因子23(FGF23:fibroblast growth factor23)」と呼ばれるものです。

 

通常、FGF23は骨中の成熟骨細胞で産生された後に血中に分泌され、腎臓に作用して以下の働きをします。

  • 腎臓でのリンの再吸収抑制(排泄促進)
  • ビタミンD3の活性化抑制(1α位の水酸化抑制)

 

補足:ビタミンDは、肝臓で25位の水酸化 ⇒ 腎臓で1α位の水酸化 によって活性型ビタミンD3に変換されます。

FGF23(繊維芽細胞増殖因子23)の作用・働き:リンの再吸収抑制と活性型ビタミンD3の産生抑制

 

正常な場合には、リンが高くなりすぎないようにFGF23が適度に産生されてリン濃度を調節しています。

 

しかし、遺伝的な要因や腫瘍によってFGF23が過剰に産生されると、過剰に働いてしまい、極度な低リン状態になってしまいます。

これが慢性的に生じることでくる病・骨軟化症を発症すると考えられています。

 

クリースビータ(ブロスマブ)の作用機序

クリースビータは抗FGF23完全ヒト抗体製剤で、FGF23の働きを特異的に阻害します。

 

FGF23の働きが阻害されることで

  • リンの再吸収促進
  • 活性型ビタミンD3の産生促進

によって血中リン濃度が増加すると考えられます。

クリースビータ(ブロスマブ)の作用機序

 

リン濃度が増加する結果、くる病・骨軟化症の症状改善に繋がります。

 

木元 貴祥
このようにFGF23に関連したくる病・骨軟化症に対してクリースビータが期待されますね!

 

エビデンス紹介:成人・小児

根拠となった臨床試験をご紹介します。

 

成人のX染色体優性低リン血症性骨軟化症(XLH)患者さんを対象に、クリースビータ(4週毎の皮下注)もしくはプラセボを比較した国際共同第Ⅲ相試験(日本人含む)が行われました。4)

 

本試験の主要評価項目は「投与開始後24週間の血清リン濃度平均値が正常な患者の割合」とされ、結果は以下の通りでした。

試験群クリースビータ群プラセボ群
血清リン濃度平均値が
正常な患者の割合
94.1%7.6%
p<0.001
運動機能
(WOMAC*)
-3.11(改善)+1.79(悪化)
p=0.048
関節のこわばり
(WOMAC*)
-7.87(改善)+0.25(悪化)
p=0.012

*WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index):膝関節症や変形性、股関節に特異的なQOLの尺度

 

また、小児のX染色体優性低リン血症性骨軟化症(XLH)患者さんを対象にした同様の臨床試験5)においてもクリースビータの有効性が確認されています。

 

木元 貴祥
いずれの臨床試験においてもリン濃度の向上、症状の改善が認められていますね!

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

適応症と対象(成人・小児)で異なっていますので下表にまとめてみました。いずれも皮下注です。

 

適応症対象投与間隔1回投与あたりの
基本の投与量
FGF23関連低リン血症性
くる病・骨軟化症
成人4週毎1mg/kg*
小児2週毎0.8mg/kg
(最高用量:2mg/kg)*
腫瘍性骨軟化症成人4週毎0.3mg/kg
(最高用量:2mg/kg)

*1回投与量は90mgを超えないこと

 

収載時の薬価

現時点では薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

クリースビータはこんな薬

  • 国内初の抗FGF23完全ヒト抗体製剤
  • FGF23を阻害することで血中リン濃度を増加させ、症状を改善する

 

これまでFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は対症療法以外に有効な治療薬がありませんでした。

クリースビータは新たな治療選択肢になり得ることから患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

木元 貴祥
今後もFGF23関連の疾患等に適応拡大されることを期待したいと思います。

 

以上、今回はくる病・骨軟化症の概要と国内初の抗FGF23完全ヒト抗体製剤であるクリースビータ皮下注(ブロスマブ)の作用機序・エビデンスについて解説しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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