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ロキサデュスタットの作用機序・特徴【CKD・腎性貧血】

更新日:

2018年10月、「透析期の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血」の治療薬として、ロキサデュスタットの製造販売承認申請が行われました。

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名
一般名ロキサデュスタット
製品名の由来
製薬会社製造販売(仮):アステラス製薬(株)
効能・効果透析期の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血
用法・用量
収載時の薬価薬価未収載

 

ロキサデュスタットは初のHIF活性化薬(HIF-PH阻害薬)に分類されていて、エリスロポエチン(EPO)製剤であるネスプ(一般名:ダルベポエチン アルファ)等に次ぐ製品として期待されています。

 

新薬情報
ですので「ポストEPO製剤」とも呼ばれています!

 

今回は慢性腎臓病(CKD)と腎性貧血、そしてロキサデュスタットの作用機序についてご紹介します。

 

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慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)は、腎障害が慢性的に持続する疾患の全体を意味するものです。

以下の場合、CKDと確定診断されます。

  • 尿異常(蛋白尿)、画像診断・血液所見・病理所見等で腎障害の存在が明らか
  • GFRが60(mL/分/1.73㎡)未満

※GFR:「糸球体ろ過量」のことで、腎機能の指標です。

 

CKDのリスク因子としては、以下が知られています。

 

また、CKDは初期にはほとんど無症状のため徐々に腎機能が低下していきます。

腎臓は老廃物の排泄骨代謝造血器機能調節といった様々な役割を担っています。

 

そのためCKDによって腎機能低下が進行してしまうと、

といった様々な症状が現れます。

従って、早期からリスク因子である原疾患の治療、症状に対する対処療法と共に、生活習慣改善が行われます。

 

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腎性貧血とは

CKDの症状の一つである腎性貧血について解説します。

体の中で“はたらく細胞”の一つに「赤血球」が知られており、主に酸素の運搬二酸化炭素の回収を担っている細胞です。

 

赤血球は造血幹細胞⇒赤芽球を経て産生されますが、そこに関与する物質として「エリスロポエチン(EPO)」があります。

EPOは腎臓で産生され、造血幹細胞の「エリスロポエチン受容体」に作用することで赤芽球への成熟・分化を促進させます。

エリスロポエチンの作用

 

また、赤血球の内部には酸素運搬に関与するヘモグロビンが存在していますが、これはを中心に含んだタンパク質です。

 

鉄が食事等で体内に吸収されると、一部は血中でトランスフェリンと呼ばれるタンパク質と結合して存在します(血清鉄)。

赤血球の成熟過程では、血中のトランスフェリン(血清鉄)を取り込むことでヘモグロビンを構成していきます。

 

しかし、CKDでは腎臓の機能が低下しているためEPOの産生も低下しています。

そのため造血幹細胞から赤芽球への分化が低下し、結果的に赤血球の数が減少してしまい、貧血の症状が現れます。

腎不全(CKD)によるEPO低下

 

即ち、腎臓が原因で貧血を生じますので「腎性貧血」と呼んでいます。

 

ではここからロキサデュスタットが関与するHIFについてご紹介します☆

 

HIF(低酸素誘導因子)とは

アンデス高地に住んでいる人々は、標高が高いため酸素濃度の低い生活環境で暮らしていますが、この地方の健常成人男性のヘモグロビン値は19.2g/dLと、我々日本人(成人男性で15g/dL前後)と比較しても高値であることが知られています1)

これは、酸素がより少ない状況下でも、全身の細胞に何とか酸素を行き渡らせようとするメカニズムが働いているためです。

 

このメカニズムを担っているのがHIFです。

HIF(低酸素誘導因子:hypoxia inducible factor)は、細胞の酸素供給が低下した場合(低酸素状態)に誘導・活性化されるといった特徴を有したタンパク質(転写因子)です。

HIFの読み方は「ヒフ」です。

 

HIFにはαとβがあり、通常の酸素状態でも産生されています。

しかし、通常の酸素状態ではすぐに「HIF-PH(HIFプロリン水酸化酵素:HIF-Prolyl Hydroxylase)」によって速やかに分解されてしまうため、活性化することはありません。

 

一方、高地で酸素濃度の薄い場所や、出血などで細胞が低酸素状態になった場合、HIF-PFの働きが抑制されるため、HIFは分解されなくなります。

その後、HIF-αはHIF-βと複合体を形成してDNAの転写を活性化させます。

 

HIFによって転写が活性化されると、

  • エリスロポエチン(EPO)の産生促進
  • 鉄の吸収促進
  • 赤血球へのトランスフェリンの取り込み促進

によって赤血球の分化・成熟が促進されます。

低酸素状態とHIF

 

このように低酸素状態であっても生体の恒常性を維持(ホメオスタシス)するメカニズムの一つがHIFですね。

 

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ロキサデュスタットの作用機序・特徴:HIF活性化

ロキサデュスタットは初のHIF活性化薬(HIF-PH阻害薬)に分類されている薬剤です。

HIF-PHを選択的に阻害することでHIFの活性を促します。

 

その結果、EPOの産生促進、鉄の吸収促進、トランスフェリンの取り込み促進等によって赤血球の成熟・分化が促進されると考えられます。

ロキサデュスタットの作用機序

 

このように通常の酸素状態であってもHIFが活性化することで赤血球の数が回復する結果、貧血の症状軽減に繋がります。

 

エビデンス紹介

日本で実施された透析期のCKD患者さんを対象とした4つの第Ⅲ相試験を元に承認申請が行われていますが、論文では未公表のため、後日更新予定です。2)

 

副作用

後日更新予定です。

HIFはVEGF(血血管内皮細胞増殖因子)の活性化にも関与しているため、眼関係の副作用(例:黄斑変性)が気になるところですね。

 

1517-CL-0307試験ではメーカーのニュースリリース記事に以下の記載がありました。3)

ダルベポエチン アルファ群と比較して、ロキサデュスタット群で網膜出血などの眼科的異常のリスク増加は認められませんでした

 

用法・用量

経口投与ですが、正式承認後に更新予定です。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

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まとめ・あとがき

ロキサデュスタットはこんな薬

  • 初のHIF活性化薬(HIF-PH阻害薬)
  • 経口投与で治療が可能

 

これまで腎性貧血に対しては、注射のエリスロポエチン(EPO)製剤である

等が主流で使用されていました。

 

ロキサデュスタットは経口投与可能なHIF活性化薬(HIF-PH阻害薬)といった新規作用機序を有していることから、利便性の向上やEPO製剤で効果不十分だった患者さん等に対して期待されています。

 

新薬情報
現在、様々なHIF活性化薬の開発が進行中ですので、腎性貧血以外の疾患に対しても期待されるところですね。

 

以上、今回はCKDと腎性貧血、そしてロキサデュスタットの作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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