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アフィニトール(エベロリムス)の作用機序と副作用【結節性硬化症】

更新日:

2019年8月1日の厚労省薬食審・医薬品第一部会にてアフィニトール(エベロリムス)が「結節性硬化症」全体への適応拡大について承認了承されました!

 

アフィニトールは既に

  • 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫
  • 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫

に適応を有しており、結節性硬化症に伴う他の症状等には使用することができませんでした。

 

木元 貴祥
適応拡大が承認されれば結節性硬化症全体に使用できる見込みです!

 

今回は結節性硬化症とアフィニトール(エベロリムス)の作用機序についてご紹介します。

 


結節性硬化症とは

結節性硬化症(TSC:tuberous sclerosis complex)は、脳、腎臓、肺、皮膚、心臓など、ほぼ全身の臓器に「過誤腫」と呼ばれる良性の腫瘍が生じる疾患です。1)

発症には遺伝的要素が強い(常染色体優性遺伝性疾患)とされており、厚労省の難病指定に認定されている疾患です。別名「プリングル病」とも呼ばれます。

 

日本における結節性硬化症の発症率は人口10,000人に約1人の割合とされており、日本全国で約1万5千人の患者さんがいらっしゃると推察されています。

症状は年齢や個人によって様々で、症状がほぼ出ない方もいらっしゃるため、実際には1万5千人以上の患者さんがいるのではないかと推定されています。

 

結節性硬化症の症状と治療

結節性硬化症は症状の発現や重症度の個人差が大きい疾患です。また年齢によって、出やすい症状も異なっています。

結節性硬化症と診断されても必ず症状が発現するとは限らず、何も問題なく一生を過ごせる場合もあります。

 

全身に過誤腫が発生することから、症状は全身の様々な臓器で発現します。

 

代表的な症状・病状には以下のものがあります。

  • てんかん:最も多く80%に発現する
  • 心横紋筋腫
  • 上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)
  • 腎血管筋脂肪腫(腎AML)
  • 肺リンパ脈管筋腫症(肺LAM)
  • 皮膚病変:白斑、血管線維腫、シャグリンパッチ
  • 網膜過誤腫

 

今回ご紹介するアフィニトールはこれまでSEGAと腎AMLに対してしか使用することができませんでしたが、今後はてんかん等、全体に使用できるようになる見込みです!

 

皮膚病変については塗り薬のラパリムスゲル(一般名:シロリムス)が承認・販売されていますので是非ご確認ください。

ラパリムスゲル(シロリムス)の作用機序と副作用【結節性硬化症】

「結節性硬化症に伴う皮膚病変」を効能・効果とする新投与経路医薬品のラパリムスゲル0.2%(一般名:シロリムス)が2018年3月23日に承認されました。 新薬情報オンライン【新薬承認+効能効果追加】21 ...

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結節性硬化症の原因

通常、正常な細胞が増殖する際に、様々な因子・遺伝子によって増殖の度合いがコントロールされています。

 

正常細胞に増殖因子が作用すると、細胞内では刺激が伝達(“シグナル伝達”と言います)され、途中、「mTOR(“エムトール”と読みます)」を経由して核に伝わります。

刺激が核に伝わると、細胞の増殖が活性化されます。

 

また、このmTORの働きをコントロールしている遺伝子に「TSC1遺伝子」と「TSC2遺伝子」が知られています。

これらの遺伝子は、mTORが過剰に活性化しないようにブレーキのような役割を担っています。

 

そのため、正常細胞では過剰な増殖は起きず、必要な分だけ増殖するようにコントロールされています。

 

結節性硬化症では過誤腫のTSC1遺伝子またはTSC2遺伝子が変異してしまっているため、mTORのブレーキがかからなくなってしまっています。

そのため、mTORが常に活性化している状態になり、過誤腫の増殖が活性化されることで様々な症状の発現・結節性硬化症の進行が引き起こされます。

 

アフィニトール(エベロリムス)の作用機序

アフィニトールはmTORを選択的に阻害する薬剤です。

 

過誤腫で過剰に活性化しているmTORの働きを抑制することで、過誤腫の増殖が抑制され、結節性硬化症の症状緩和につながると考えられます。

 

副作用

主な副作用は、口内炎、感染症、高コレステロール血症、ざ瘡、疲労などが報告されています。

また、重篤な副作用として間質性肺疾患重度の感染症がありますので注意が必要です。

 

あとがき

アフィニトールはがん領域でもよく使用されている薬剤です。

有効成分のエベロリムスは移植時の拒絶反応を抑える薬剤としてサーティカン錠という名前でも販売されています。

サーティカン(エベロリムス)の作用機序【移植の拒絶反応】

厚労省は2018年2月23日、「肝移植における拒絶反応の抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品のサーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg、同錠0.75mg(一般名:エベロリムス)を承認した ...

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結節性硬化症に伴う皮膚病変については、ラパリムスゲル(一般名:シロリムス)が2018年に登場し、塗り薬のため全身性の副作用が少なく使いやすいと思われます。

ラパリムスゲル(シロリムス)の作用機序と副作用【結節性硬化症】

「結節性硬化症に伴う皮膚病変」を効能・効果とする新投与経路医薬品のラパリムスゲル0.2%(一般名:シロリムス)が2018年3月23日に承認されました。 新薬情報オンライン【新薬承認+効能効果追加】21 ...

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木元 貴祥
結節性硬化症のてんかん症状に対してはこれまで有効な治療薬がありませんでしたので、適応拡大によってアフィニトールが使用できるのは朗報ですね!

 

以上、今回は結節性硬化症とアフィニトール(一般名:エベロリムス)の作用機序についてご紹介しました。

 

引用文献・資料等

  1. 難病情報センター|結節性硬化症(指定難病158)

薬剤師副業解禁!実体験してみたおすすめの働き方4選を解説

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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