1.中枢神経系

オンジェンティス(オピカポン)の作用機序:コムタンとの違い【パーキンソン病】

投稿日:

2019年2月、「パーキンソン病」を対象疾患とするオンジェンティス(オピカポン)の製造販売承認申請が行われました。

小野薬品工業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名オンジェンティス
一般名オピカポン
製品名の由来不明
製造販売小野薬品工業(株)
効能・効果不明:
海外では「DCI併用療法で症状が安定しないwearing-off現象が認められるパーキンソン病」
用法・用量不明:1日1回投与?
収載時の薬価薬価未収載

 

オンジェンティスは新規のCOMT阻害薬に分類されていますので、類薬にはコムタン(一般名:エンタカポン)がありますね。

 

木元 貴祥
コムタンでは1日に数回の投与が必要でしたが、オンジェンティスは1日1回の投与で治療可能といった特徴があります!

 

今回はパーキンソン病オンジェンティス(オピカポン)の作用機序についてご紹介します。

 

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳内の「黒質」という部分のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患で、難病に指定されています。1)

 

特徴的な症状としては、

  • 安静時の振戦(手足が震える)
  • 筋固縮(筋肉が固くなる)
  • 無動(動きが遅くなる)
  • 姿勢反射障害(体のバランスが悪くなる)

などがあります。

 

発症年齢は50~65歳に多いとされており、高齢になるほど発病率が増加する疾患です。

 

パーキンソン病の原因

現時点では原因不明とされていますが、何らかの遺伝子異常や環境因子が影響していると言われています。

パーキンソン病の各症状は、脳内(中枢)の神経細胞から分泌されるドパミン量が減少することで発現します。

パーキンソン病とドパミン量

 

パーキンソン病の治療

治療の基本は薬による薬物治療です。2)

 

薬物治療にはいくつかの種類がありますが、最も基本となるのが

  • L-ドパの補充

です。

 

ドパミンは、チロシン→L-ドパを経由して脳(中枢)の神経細胞内で合成されます。

直接ドパミンを補充したとしても、ドパミンは血液脳関門を通過できないため脳内に入ることが出来ません

 

そのため、ドパミンの前駆物質であるL-ドパ(血液脳関門を通過できる)を補充することでドパミンの合成を促します。

しかし、L-ドパは末梢血において、DDC(ドパ脱炭酸酵素)によって約70%が代謝され、ドパミンに変換されてしまいます。

 

木元 貴祥
末梢にドパミンが増えたとしても血液脳関門を通過できないので意味ないですよね・・・。副作用が増えるだけです。

 

その他、10%はCOMTと呼ばれる酵素によって3-OMDに代謝され、血液脳関門を通過することができます。しかし3-OMDが多くなると血液脳関門通過時にL-ドパと競合してしまうため、中枢のL-ドパ量が減少するといわれています。

L-ドパ(レボドパ)のDDCとCOMTによる代謝

 

そこでL-ドパ治療時にはDDC(ドパ脱炭酸酵素)を選択的に阻害する「ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)」が併用されることが多いです。

最近ではL-ドパとDCIの配合剤も登場していますので、基本は配合剤が使用されていますね。

  • ネオドパストン配合錠/メネシット配合錠:DCIのカルビドパ配合
  • イーシー・ドパール配合錠/マドパー配合錠:DCIのベンセラジド

 

L-ドパの補充の他、ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体刺激薬)が使用されることもあります。

ハルロピテープ(ロピニロール)の作用機序:ニュープロパッチとの違い【パーキンソン病】

続きを見る

 

L-ドパ治療とウェアリング・オフ現象

L-ドパは投与すると比較的速やかに代謝され、体内から消失してしまいます。

 

パーキンソン病の初期では、神経細胞内にドパミンが貯蓄されていますので、L-ドパの効果も長期間続き(オン状態)、症状もコントロールできます。

しかし、パーキンソン病が進行すると、貯蓄されていたドパミンが消費されていきますので、L-ドパで補充しても、効果が長続きしなくなってしまいます。

 

このため、L-ドパの効果が無くなる時間(オフ状態)が生じてしまい、次のL-ドパを補充する前にパーキンソン病の症状が発現してしまいます。

パーキンソン病とウェアリング・オフ現象

 

木元 貴祥
このように効果があるオン状態と効果が無くなるオフ状態を繰り返す現象を「ウェアリング・オフ(Wearing off)現象」と呼びます。

 

L-ドパ+DCIを投与していても上記の現象が起こってしまう場合、末梢でのCOMTが優位になっていて、3-OMDが増加していると考えられています。3-OMDはL-ドパの中枢への移行を阻害しますので、中枢でのL-ドパの量が減っているというわけですね。

 

この場合、L-ドパ+DCIに加えてCOMT阻害薬を併用して治療を行っていきます。これまでCOMT阻害薬にはコムタン(一般名:エンタカポン)しかありませんでしたが、ここに新たにオンジェンティスが加わります!!

 

ちなみに、L-ドパ+DCI+コムタンの配合錠(スタレボ配合錠)も承認・販売されていますね。

 

ウェアリング・オフ(Wearing off)現象を伴う場合、MAO-B阻害薬(エクフィナ、アジレクト、エフピー)が使用されることもあります。以下の記事で3剤の比較についても考察していますので是非ご覧くださいませ~。

エクフィナ(サフィナミド)の作用機序:アジレクト/エフピーとの違い【パーキンソン病】

続きを見る

 

オンジェンティス(オピカポン)の作用機序・特徴

オンジェンティスはウェアリング・オフ現象を伴う場合に、L-ドパ+DCIと併用して使用します。

末梢のCOMTを選択的阻害することで末梢での3-OMDの産生を抑制し、効率よく中枢にL-ドパを移行させることが可能になります。

オンジェンティス(オピカポン)の作用機序:COMT阻害薬

 

木元 貴祥
中枢でのL-ドパ量が回復することでウェアリング・オフ現象のオフ時間を短縮できると考えれていますね。

 

ちなみにCOMT阻害薬としては「第三世代」で、長時間作用型といった特徴があります!

 

エビデンス紹介:海外第Ⅲ相試験

根拠となった海外臨床試験を一つご紹介します。

本試験はL-ドパ+DCIで症状が安定しておらず、ウェアリング・オフ現象を有するパーキンソン病患者さんを対象に、プラセボ群コムタン群(L-ドパと同時に200mg投与)オンジェンティス群(5mg、25mg、50mgの1日1回投与)を比較した海外第Ⅲ相臨床試験です。3)

 

主要評価項目は「ベースラインからのオフ時間の変化量」とされ、プラセボに対するオンジェンティス各投与量群の優越性を検証し、優越性が示された投与量においてコムタンとの非劣性が検証されます。

オフ時間の変化量は以下の結果でした。

  • プラセボ群:-56分
  • コムタン群:-96.3分(プラセボとの差:p=0.014
  • オンジェンティス5mg群:-91.3分(プラセボとの差:p=0.056
  • オンジェンティス25mg群:-85.9分(プラセボとの差:p=0.080
  • オンジェンティス50mg群:-116.8分(プラセボとの差:p=0.0015

 

コムタン群とオンジェンティス50mg群はプラセボと比較して有意にオフ時間を短縮し、非劣性検定を行った結果、コムタン群に対するオンジェンティス50mg群の非劣性が認められています(非劣性のp=0.0051)。

 

木元 貴祥
残念ながら5mg/25mg投与群ではプラセボとの差がありませんでしたので、使用するなら50mgでしょうか?日本での試験の結果も気になるところです。

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

後日更新予定です。臨床試験では1日1回経口投与で行われていました。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

オンジェンティスとコムタンの比較・違い

後日更新予定です。

オンジェンティスもコムタンも同じCOMT阻害薬に分類されていますが、半減期等が異なっていると思われます。

 

木元 貴祥
正式承認後に比較表等を作成して考察したいと思います!

 

まとめ・あとがき

オンジェンティスはこんな薬

  • COMTを阻害することでL-ドパの3-OMDへの代謝を抑制し、中枢のL-ドパ量を回復させる
  • 1日1回の経口投与が可能
  • 類薬にはコムタン(エンタカポン)がある

 

パーキンソン病は未だ根治治療がなく、症状をいかにコントロールできるかが大切です。

オンジェンティスはウェアリング・オフ現象の改善が期待できることから、パーキンソン病患者さんの症状改善に寄与できると考えます。

 

コムタンは半減期が短く、L-ドパと同時に服用する必要がありますが、今ではL-ドパ+DCI+コムタンの配合錠(スタレボ配合錠)も使用できますので、オンジェンティスとどう使い分けられていくのか興味深いと感じますね。

 

以上、今回は新規COMT阻害薬のオンジェンティス(オピカポン)の作用機序・特徴・エビデンス等についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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