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ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の作用機序と副作用【急性リンパ性白血病】

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再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を効能・効果とするビーリンサイト点滴静注用35μg(一般名:ブリナツモマブ(遺伝子組換え)2018年9月21日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売元:アムジェン(株)
  • 発売:アステラス製薬(株)

 

ビーリンサイトは二重特異性抗体(BiTE抗体)に分類される新規の抗体薬で、米国では「BLINCYTO」という製品名で既に承認されています。

今回はB細胞性急性リンパ性白血病ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

急性リンパ性白血病(ALL)

白血病は「血液のがん」です。

血液細胞には、白血球、赤血球、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気が白血病です。

急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphocytic Leukemia)は、白血球の中でも「リンパ球」が腫瘍化する疾患で、予後は不良とされています。

 

また、腫瘍化するリンパ球によっていくつか分類されており、B細胞が腫瘍化した急性リンパ性白血病のことを「B細胞性急性リンパ性白血病」と呼んでいます。

この腫瘍化したB細胞のことを「白血病細胞」と呼んでおり、白血病細胞の表面にはしばしば「CD19」と呼ばれるタンパク質が発現していることが知られています。

 

急性リンパ性白血病の治療

基本的な治療は、抗がん剤の多剤併用療法(化学療法)です。

1カ月程の化学療法(導入化学療法)によって8割以上の患者さんでは「完全寛解」が得られ、その後も1~2年程、化学療法(地固め/維持化学療法)を継続していきます。

そしてその後も完全寛解が5年以上続けば、「治癒」に至ります。

 

ただし、最初の導入化学療法で1~2割の患者さんは抵抗性を示してしまいます。

また、一度完全寛解が得られたとしても、約半数の患者さんは再発してしまいます。

このような抵抗性・再発の患者さんに対して有望な治療法はありませんでした。

 

ビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ)の構造

体内の腫瘍細胞を除去する免疫細胞としてT細胞やNK細胞がありますが、T細胞は細胞膜表面に「CD3」と呼ばれるタンパク質を発現していることが知られています。

 

ビーリンサイトは白血病細胞のCD19を認識する抗CD19抗体と、T細胞のCD3を認識する抗CD3抗体可変領域(短鎖)を組み合わせた構造をもちます。

 

このようにビーリンサイトは白血病細胞のCD19とT細胞のCD3を共に認識することができるため、「二重特異性抗体(BiTE抗体)」と呼ばれています。

 

ビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ)の作用機序

T細胞は体内の白血病細胞を発見して除去してくれる免疫細胞ですが、白血病細胞はそれから逃れようとしています。

 

ビーリンサイトは白血病細胞のCD19T細胞のCD3を共に認識することで、白血病細胞とT細胞に架け橋を形成します。

白血病細胞とT細胞が連結することで、白血病細胞は逃げられなくなります。

 

白血病細胞とT細胞の橋渡しをするイメージですね。

 

その結果、白血病細胞に対するT細胞の攻撃が促進され、白血病細胞を除去できると考えられます。

 

ビーリンサイト点滴静注用の副作用

主な副作用として発熱、頭痛、浮腫、発熱性好中球減少症、悪心・嘔吐、発疹、振戦、便秘などが報告されています。

 

また、神経毒性(脳神経障害、脳症、痙攣発作、錯乱状態、失語症等)が発現することがあり、対応が遅れると重篤になる可能性もありますので特に注意が必要です。

 

ビーリンサイト点滴静注用の薬価

収載時(2018年11月20日)の薬価は以下の通りです。

  • ビーリンサイト点滴静注用35μg:281,345円(1日薬価:150,051円)

 

算定方法等については以下の記事をご覧ください。

>>【新薬:薬価収載】12製品(2018年11月20日)と市場拡大再算定

 

エビデンス紹介(TOWER試験)

承認の根拠となった臨床試験(TOWER試験)をご紹介します。1)

本試験は多種類の前治療歴のあるB前駆細胞性成人ALL患者さんを対象に、標準化学療法とビーリンサイトを直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「全生存期間」です。

試験名TOWER試験
試験群標準化学療法ビーリンサイト
全生存期間中央値4.0か月7.7か月
HR=0.71, P=0.01
6か月時点の
無イベント生存率
12%31%
HR=0.55, P<0.001
寛解期間中央値4.6か月7.3か月
Grade3以上の
有害事象発現率
92%87%

 

以上の結果より、標準化学療法と比較してビーリンサイトで治療効果が高かったことが示されています。

 

1)TOWER試験:N Engl J Med. 2017 Mar 2;376(9):836-847.

 

まとめ・あとがき

ビーリンサイトはこんな薬

  • 二重特異性抗体であり、白血病細胞のCD19とT細胞のCD3に結合する
  • 特徴的な副作用の神経毒性には注意が必要

 

通常、抗体薬は1種類の抗原(物質)としか結合することができません。

近年は2種類の抗原と結合できるような「二重特異性抗体」の開発が進んでいます。

血友病の領域も二重特異性抗体としてヘムライブラ(一般名:エミシズマブ)が承認されています。

 

B細胞性急性リンパ性白血病では、CD19の他にもCD20やCD22を発現していることがあります。

CD22を発現している場合、ベスポンサ(一般名:イノツズマブオゾガマイシン)を使用することもできます。

 

今後は各薬剤の使い分け等が検討されれば興味深いと感じます。

以上、今回はB細胞性急性リンパ性白血病ビーリンサイト(ブリナツモマブ)の作用機序についてご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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