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スキリージ皮下注(リサンキズマブ)の作用機序と特徴【乾癬】

更新日:

スキリージ皮下注(一般名:リサンキズマブ)とは、2019年3月26日に「乾癬」を対象疾患として承認された新薬で、インターロイキン(IL)-23を選択的に阻害するモノクローナル抗体製剤に分類されています。

アッヴィ|ニュースリリース

基本情報

製品名スキリージ皮下注75mgシリンジ0.83mL
一般名リサンキズマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来特になし
製造販売アッヴィ合同会社
効能・効果既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症膿疱性乾癬
用法・用量リサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与する。
なお、患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる。
収載時の薬価75mgシリンジ:239,374円円(1日薬価:5,699円)

 

スキリージの維持投与期間中は12週毎の投与と類薬のステラーラ(一般名:ウステキヌマブ)と同じく最大の投与間隔で治療が可能です!

 

今回は乾癬とスキリージ(リサンキズマブ)の作用機序・特徴、そしてエビデンスについてご紹介します。

 


皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

 

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

ターンオーバーの仕組み

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

 

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。

 

乾癬の原因

明確な原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。

IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。

 

乾癬の重症度と治療

乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。

 

重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。

  • 外用療法(塗り薬)
  • 光線療法(紫外線照射)
  • 内服療法(経口薬)
  • 生物学的製剤治療(注射薬)

 

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。

内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬やPDE4阻害薬のオテズラ(一般名:アプレミラスト)が重症度に応じて使用されます。

 

そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。1)

  • 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
  • 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
  • 乾癬性紅皮症膿疱性乾癬等の重症な患者さん

 

また、生物学的製剤治療は日本皮膚科学会で定められた病院でのみ治療ができます。1)

今回ご紹介するスキリージも生物学的製剤に分類されています。

 

スキリージ(リサンキズマブ)の作用機序と特徴

IL-23はp40サブユニットとp19サブユニットと呼ばれるタンパク質から構成されています。

スキリージは、マクロファージ等の産生するIL-23のp19サブユニットを特異的に阻害する抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤です!

スキリージはIL-23のp19サブユニットを特異的に阻害する

 

IL-23の作用が阻害されることでIL-23の下流にあるTh17へのシグナル伝達を抑制します。

その結果、Th17関連の炎症反応が抑制され、乾癬の症状緩和が得られると考えられます。

スキリージ(リサンキズマブ)の作用機序

 

同様の作用機序(IL-23のp19サブユニットを阻害)を有する生物学的製剤としてはトレムフィア皮下注(一般名:グセルクマブ)があります。

トレムフィアは8週間毎の投与ですが、スキリージは12週毎の投与と、乾癬に使用する生物学的製剤としては最も投与頻度が少ないといった特徴があります!

 

他の生物学的製剤との違い

乾癬に用いる他の生物学的製剤には以下の種類があり、それぞれ作用機序が異なります。

  • レミケード(一般名:インフリキシマブ):TNFα阻害
  • ヒュミラ(一般名:アダリムマブ):TNFα阻害
  • ステラーラ(一般名:ウステキヌマブ):IL-12とIL-23阻害
  • トレムフィア(一般名:グセルクマブ):IL-23阻害(p19サブユニットを阻害)
  • コセンティクス(一般名:セクキヌマブ):IL-17A阻害
  • トルツ(一般名:イキセキズマブ):IL-17A阻害
  • ルミセフ(一般名:ブロダルマブ):IL-17受容体A阻害

 

新薬情報
スキリージの作用機序はトレムフィアと同じですね。

 

投与間隔や自己注射について詳しくは以下の記事にまとめていますのでご参照ください。

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序、特徴のまとめ

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エビデンス紹介:ultIMMa-1試験・ultIMMa-2試験

根拠となった臨床試験はいくつかありますが、その中でもスキリージとステラーラ(一般名:ウステキヌマブ)を直接比較した第Ⅲ相臨床試験(ultIMMa-1試験およびultIMMa-2試験)をご紹介します。2)

 

両試験共、スキリージ群、ステラーラ群、プラセボ群の3群を比較した試験で、主要評価項目は以下とされました。

  • 16週時点におけるPASI 90の達成率*
  • 16週時点におけるsPGA 0/1の達成率
試験群ultIMMa-1試験ultIMMa-2試験
PASI 90の達成率sPGA 0/1の達成率PASI 90の達成率sPGA 0/1の達成率
スキリージ群75.3%87.8%74.8%83.7%
ステラーラ群42.0%63.0%47.5%61.6%
プラセボ群4.9%7.8%2.0%5.1%

※スキリージ vs. ステラーラおよびプラセボのp<0.0001

*PASI(Psoriasis Area and Severity Index):乾癬の面積と重症度の指標でPASI 90は「90%以上の改善」と定義される
†sPGA(医師による静的総合評価):sPGA 0/1とは、スコア0「消失」とスコア1「ほぼ消失」の達成と定義される

 

新薬情報
このように両試験共、スキリージがプラセボやステラーラと比較して有意に主要評価項目を達成したことが示されています。

 

副作用

主な副作用として上咽頭炎(4.2%)、咽頭炎(1.8%)などが報告されています(国内の尋常性乾癬、関節症性乾癬の試験より)。3)

 

また稀に重篤な副作用として重篤な感染症(敗血症、髄膜炎、腎盂腎炎、細菌性髄膜炎等)(0.7%)や重篤な過敏症(アナフィラキシー等)(0.1%)の発現が認められることがありますので、投与中は経過観察を十分に行う必要があります。3)

 

用法・用量、自己注射

リサンキズマブとして、1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与します。

なお、患者さんの状態に応じて1回75mgとすることができます。

 

現時点では自己注射は不可です。

 

薬価

収載時(2019年5月22日)の薬価は以下の通りです。

 

  • スキリージ皮下注75mgシリンジ:239,374円円(1日薬価:5,699円)

 

算定方式等については以下の記事をご確認ください。

>>【新薬:薬価収載】11製品+再生医療等製品(2019年5月22日)

 

まとめ・あとがき

スキリージはこんな薬

  • IL-23(p19サブユニット)を阻害する生物学的製剤(抗体製剤)
  • 12週毎の投与(維持投与期間中)
  • ステラーラよりも治療効果が高い可能性がある
  • 重篤な副作用として結核・肺炎・敗血症を含む重篤な感染症の発現の危険性がある

 

新薬情報
生物学的製剤の中ではステラーラと同じく12週毎の投与のため、簡便ですね。

またステラーラとの直接比較試験が報告されているのもポイントです。

 

乾癬領域では近年では相次いで新規の生物学的製剤が登場しています。

乾癬の生物学的製剤のまとめ記事もありますので、ご参考にしてもらえれば嬉しいです。

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序、特徴のまとめ

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以上、今回は乾癬とスキリージの作用機序・特徴についてご紹介しました。

 

引用文献・資料等

  1. 日本皮膚科学会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2018年版)
  2. ultIMMa-1試験・ultIMMa-2試験:Lancet. 2018 Aug 25;392(10148):650-661.
  3. スキリージ皮下注 添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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