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アーリーダ(アパルタミド)の作用機序と副作用【前立腺がん】

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アーリーダ錠(一般名:アパルタミド)とは、2019年3月に「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果として承認された新薬で、アンドロゲン受容体の阻害作用やシグナル伝達阻害作用を有しています。

その後、2019年5月31日に「遠隔転移を有する去勢感受性前立腺がん」に関する適応拡大承認申請が行われました。

現時点では「遠隔転移を有する去勢感受性前立腺がん」は未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名アーリーダ錠
一般名アパルタミド
製品名の由来特になし
製薬会社製造販売:ヤンセンファーマ(株)
コ・プロモーション:日本新薬(株)
効能・効果○遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん
○(仮)遠隔転移を有する去勢感受性前立腺がん
用法・用量通常、成人にはアパルタミドとして1日1回240mgを経口投与する
収載時の薬価60mg:2,281.90円(1日薬価:9,127.40円)

 

木元 貴祥
これまでは「転移無しかつホルモン抵抗性」のみでしたが、「転移有りかつホルモン感受性」にも使用可能になっていく見込みですね。

 

今回は前立腺がんアーリーダ(アパルタミド)の作用機序についてご紹介します。

 

前立腺がんとは

前立腺は男性のみにある臓器で、膀胱から続く尿道の周りを取り囲むように存在しています。

 

この前立腺が腫瘍化(がん化)したものが前立腺がんです。

基本的には進行が緩やかながんで、早期に発見できれば治癒も期待できます。

 

自覚症状としては、尿が出づらい、頻尿、などがありますが、早期にはほとんど症状が出ません。進行すると、血尿や腰痛等が発現することがあります。

 

前立腺がんの発生・増殖メカニズム

前立腺がんの発生や成長には男性ホルモンが大きく関与することが知られています。

 

男性ホルモンにはいくつかの種類がありますが、総称して「アンドロゲン」と呼ばれており、約95%が精巣で分泌されています。その他にも副腎前立腺がんからも分泌されます。

 

前立腺がんはアンドロゲンが結合する「アンドロゲン受容体」を持ち、ここにアンドロゲンが結合することでがん細胞の増殖が促進されます。

 

それではアンドロゲン受容体とがんの増殖機構についてもう少し詳しく解説します。

 

アンドロゲン受容体とがんの増殖機構

アンドロゲン受容体は、がん細胞の細胞質内に存在しています。

 

アンドロゲン受容体にアンドロゲンが結合して活性化すると、核内に移動していきます。

 

活性化したアンドロゲン受容体は、核内のDNAと結合することで、がん細胞の増殖が促進・活性化されると考えられています。

 

前立腺がんの治療

早期の前立腺がん(限局性、局所進行)の場合、

  • 手術
  • 放射線療法
  • ホルモン療法

などを単独もしくは適宜組み合わせた治療が行われます。

 

中心的に用いられるのホルモン療法で、前立腺がんはアンドロゲンによって増殖するため、アンドロゲンを除去する治療(androgen deprivation therapy:ADT)を行います。

昔はADTとして精巣を物理的に摘出する「外科的去勢術」が行われていました。

 

しかし、患者さんによっては精巣がなくなることへの抵抗感が強いため、現在のADTは薬による内科的去勢術」としてホルモン療法が行われます。

 

現在、初回のホルモン療法としては、

などが行われます。

 

しかしながら、ホルモン療法によるADTを行っていても抵抗性を示して、がんの増殖が抑えられないこともあります。

このような状態を去勢抵抗性前立腺がん(CRPC:castration resistant prostate cancer)と呼んでいます。

他の臓器に転移の無いCRPCでは、その後、約90%の患者さんが骨転移を経験してしまい、予後が不良となります。従って、なるべく転移を遅らせることが重要です。

 

今回ご紹介するアーリーダは、他の臓器に転移の無いハイリスクのCRPCに使用できる薬剤です。

 

 

また、診断時に他の臓器に転移のある場合も基本的にはホルモン感受性のためホルモン療法が行われます。

アーリーダは他の臓器に転移のあり、かつホルモン感受性の場合、ホルモン療法と併用して使用することも可能となる見込みです。

こちらは現時点では未承認!

 

アーリーダ(一般名:アパルタミド)の作用機序

アーリーダは、前述のがん増殖機構のうち、以下を阻害する薬剤です。

  1. アンドロゲン受容体への結合を阻害
  2. アンドロゲン受容体の核内への移動を阻害
  3. アンドロゲン受容体のDNAへの結合を阻害

アーリーダ(アパルタミド)の作用機序

上記の作用機序により、アンドロゲンによるがん増殖のシグナル伝達が阻害される結果、がん細胞の増殖抑制効果が発揮されると考えられています。

 

作用機序としては、イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)と同様ですね。

イクスタンジ(エンザルタミド)の作用機序と副作用【前立腺がん】

続きを見る

 

エビデンス紹介①:転移の無いCRPC(SPARTAN試験)

転移の無い去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の根拠となった臨床試験はSPARTAN試験です。1)

本試験は、PSA(前立腺特異抗原)倍加時間が10か月以下で他の臓器に転移の無いCRPC患者さんに対して、ADTのみを行う群と、アーリーダとADTを併用する群を直接比較した第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目の無転移生存期間は、アーリーダとADTを併用する群で有意に延長していました。

ADTのみADT+
アーリーダ
無転移生存期間中央値16.2か月40.5か月
HR=0.28, p<0.001
全生存期間中央値39.0か月未到達
HR=0.70, p=0.07

 

無転移生存期間の中央値で見ると2倍以上延長していますね。またハザード比(HR)も0.28と非常に治療効果が期待できそうです。

生存期間については今後のフォローアップ解析にも注目したいと思います。

 

エビデンス紹介②:転移のある去勢感受性(TITAN試験)

遠隔転移のあるホルモン感受性(去勢感受性)の根拠となった臨床試験はTITAN試験です。2)

本試験は、遠隔転移を有する去勢感受性前立腺がんの患者さんに対して、ADT+プラセボを行う群と、アーリーダとADTを併用する群を直接比較した第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目の「画像学的な無増悪生存期間」は、アーリーダとADTを併用する群で有意に延長していました。

ADT+
プラセボ
ADT+
アーリーダ
画像学的な無増悪生存期間22.1か月未到達
HR=0.48, p<0.001
24か月時点の
全生存率
73.5%82.4%
HR=0.67, p=0.005

 

木元 貴祥
このようにホルモン療法(ADT)にアーリーダを併用することでがんの増悪抑制と、生存期間の延長が期待されていますね。

現時点では未承認

 

用法・用量

通常、成人にはアパルタミドとして1日1回240mgを経口投与します。

なお、患者さんの状態により適宜減量します。

 

副作用

主な副作用として、疲労(22.5%)、皮疹(15.3%)、甲状腺機能低下症(4.7%)、そう痒症(4.1%)、体重減少(3.4%)などが報告されています。3)

 

薬価

収載時(2019年5月22日)の薬価は以下の通りです。

 

  • アーリーダ錠60mg:2,281.90円(1日薬価:9,127.40円)

 

算定方式等については以下の記事をご確認ください。

>>【新薬:薬価収載】11製品+再生医療等製品(2019年5月22日)

 

まとめ・あとがき

アーリーダはこんな薬

  • 他の臓器に転移の無いCRPCに使用する
  • 他の臓器に転移の有る去勢感受性前立腺がんにも適応拡大予定(未承認)
  • アンドロゲン受容体の各ステップを阻害する

 

これまで、他の臓器に転移の無いCRPCに有効な薬剤はほとんどありませんでしたのでアーリーダは期待されています。

 

また、転移の有るホルモン感受性の前立腺がんについてはザイティガ(一般名:アビラテロン)が使用可能ですので、アーリーダとの使い分け等が気になるところですね。

ザイティガ(アビラテロン)の作用機序と副作用【前立腺がん初回ホルモン治療】

続きを見る

 

以上、今回は前立腺がんとアーリーダの作用機序についてご紹介しました。

 

2020年には新規経口アンドロゲン受容体阻害薬のニュベクオ(一般名:ダロルタミド)も登場予定です。以下の記事で各薬剤の違いや特徴について解説しています。

ニュベクオ(ダロルタミド)の作用機序・類薬との違い【前立腺がん】

続きを見る

 

引用文献・資料等

  1. SPARTAN試験:N Engl J Med. 2018 Apr 12;378(15):1408-1418.
  2. TITAN試:N Engl J Med 2019; 381:13-24
  3. アーリーダ錠 添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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