5.内分泌・骨・代謝系 12.悪性腫瘍

ランマーク(デノスマブ)の作用機序と副作用【がんの骨転移】

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今回はランマーク皮下注120mg(一般名:デノスマブ(遺伝子組換え))についてご紹介します。

ランマークは以下の効能・効果を有している薬剤で、主に悪性腫瘍(がん)に対して使用されている薬剤です。

  1. 多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変
  2. 骨巨細胞腫

 

今回は上記1.の「がんの骨転移」とランマーク(デノスマブ)の作用機序についてご紹介します。

 


骨の代謝(リモデリング)

骨には大きく以下の2つの役割があります。

  • 体の骨格維持
  • 電解質バランス(特にカルシウム)の維持

 

これらの役割を果たすために、骨は「リモデリング」と呼ばれる代謝を繰り返して、常に丈夫な骨が保たれています。

リモデリングに関わる細胞には、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」が知られています。

破骨細胞が古くなった骨を壊し(“骨吸収”と呼びます)、壊された部分に骨芽細胞が新しい骨を作ります(“骨形成”と呼びます)。

 

このようなリモデリングがバランス良く行われることで、約2年で全身の骨が作り替えられと言われています。

 

破骨細胞とRANKL

正常な状態では骨のリモデリングに関わる骨吸収と骨形成がバランスよく存在しています。

しかし、がん細胞が骨転移を引き起こす場合骨吸収骨形成のバランスが崩れ、骨吸収が優勢になってしまっています。

骨吸収に関わる破骨細胞は、生体内の「RANKL(“ランクル”と読みます)」と呼ばれるサイトカインによって分化(活性化)することが知られています。

 

がんの骨転移とメカニズム

がんは血液やリンパ液に乗って、全身の様々な臓器(肝臓、肺、脳、骨、など)に転移します。

骨に転移しやすいがんとして、肺がん、前立腺がん、乳がんが知られています。

通常、骨は固い骨膜で覆われていますので、がん細胞は侵入することができません。

 

そこでがん細胞は「破骨細胞」を活性化するRANKLの生成を間接的に促進させます。

RANKLによって活性化した破骨細胞は骨吸収を促進させ、骨を壊していきます。

壊れた部位はポッカリと穴が開いた状態になりますので、そこにがん細胞が移動して骨転移が完成します。

 

ランマーク皮下注(デノスマブ)の作用機序

ランマークは、破骨細胞の活性化に関与するRANKLを特異的に阻害するヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤です。

RANKLを阻害することで破骨細胞の働きを抑制し、がん細胞の骨転移を抑制するといった作用機序です。

 

ランマークによって骨転移は抑制することができますが、全身に存在しているがん細胞は抑制することができません。

全身のがん細胞に対しては抗がん剤治療が基本ですので、ランマークは通常の抗がん剤治療と併用して使用されます。

 

ランマーク皮下注の副作用

主な副作用として頭痛、疲労、悪心、低リン酸血症、低カルシウム血症などが報告されています。

特に重篤な低カルシウム血症は生命の危機にもなりますので、常に血中のカルシウム濃度は注意して観察する必要があります。

 

稀に重大な副作用として顎骨壊死(がっこつえし)の報告もあります。

これは顎の骨が壊死していく副作用で、重篤な場合は手術する必要もあるため、早めの発見が重要です。

 

あとがき

がんの骨転移に対しては既にゾメタ(一般名:ゾレドロン酸)が販売されています。

 

が、ランマークの方が骨転移に対する効果が高い印象です。

ただし、ランマークは低カルシウム血症による死亡例も報告されていますので、副作用にはゾメタ以上に注意する必要があると思います。

 

ちなみに、
有効成分のデノスマブは、骨粗鬆症関節リウマチにはプラリア皮下注(一般名:デノスマブ)として使用されています。

 

ランマーク皮下注(一般名:デノスマブ)は腫瘍(がん)に関連した疾患に使用し、用法・用量も異なりますので、区別されています。

骨巨細胞腫については以下の記事をご参照ください。

 

以上、今回はがんの骨転移とランマーク(デノスマブ)の作用機序についてご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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