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「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断されていたエルプラット点滴静注液50mg/100mg/200mg(一般名:オキサリプラチン)の「小腸がん」への適応追加が2018年9月21日に承認されました。
製薬会社
- 製造販売元:(株)ヤクルト本社
小腸がんに対しては「FOLFOX療法(エルプラット+5-FU+アイソボリン)」として使用されるため、同日以下の薬剤も承認されています。
- 5-FU
- アイソボリン(一般名:レボホリナート)
なお、国内では初の小腸がんの効能・効果となりました!
今回は小腸がんとエルプラット(オキサリプラチン)の作用機序についてご紹介します。
小腸がんとは
小腸は十二指腸・空腸・回腸から構成されている臓器です。
小腸がんはその名の通り、小腸から発生する悪性腫瘍(がん)で、頻度としてはがん全体のうち約0.5%と非常に稀な疾患です。
早期の小腸がんでは症状がほとんどありません。
進行すると、出血や小腸の閉塞、貧血、黄疸などの症状がみられることがあります。
小腸がんの治療
小腸がんは非常に稀な疾患のため、標準治療が存在していません。
他の消化器がんを参考に、早期の小腸がんでは、手術によってがんを取り除く治療が一般的に行われています。
発見時に転移がある小腸がんでは、他の消化器がんと同様に抗がん剤による治療が一般的ですが、国内で承認されている薬剤は存在していませんでした。
海外では、小腸がんは大腸がんと同義として考えられているため、大腸がんに準じた抗がん剤治療(例:FOLFOX療法やXELOX療法)が行われています。
今回ご紹介するエルプラットは、転移のある小腸がんに対してFOLFOX療法(エルプラット+5-FU+アイソボリン)として使用されます!
エルプラット(一般名:オキサリプラチン)の作用機序
がん細胞が増殖する際、まずDNAの複製が行われます。
二本鎖DNAが解かれて一本鎖DNAになり、その後ポリメラーゼ等によって複製が行われて二本鎖DNAが完成します。
エルプラットは、白金製剤(プラチナ製剤)に分類されている抗がん剤です。
がん細胞の二本鎖DNAに結合して架橋構造を形成することで、一本鎖DNAになることを阻害し、その後の複製反応をストップさせます。
その結果、がん細胞死(アポトーシス)を引き起こし、がん細胞の増殖が抑制できると考えられています。
エルプラットの副作用
主な副作用には好中球減少、血小板減少、末梢神経障害、食欲不振、悪心・嘔吐などがあります。
特に末梢神経障害は遷延することもあり、患者さんのQOL低下を招く副作用のため、十分に注意する必要があります。
エルプラットを用いた治療レジメン
エルプラットは単剤では使用することができない薬剤です。
従って、様々な薬剤と併用して用いられます。
このように、様々な薬剤と併用する治療を「レジメン」と呼んでいます。
主なレジメンには以下のようなものがあります。
- FOLFOX療法:エルプラット+5-FU+アイソボリン(一般名:レボホリナート)
- XELOX療法:エルプラット+ゼローダ(一般名:カペシタビン)
- SOX療法:エルプラット+TS-1(一般名:S-1)
- FOLFIRINOX療法:エルプラット+カンプト(一般名:イリノテカン)+5-FU+アイソボリン(一般名:レボホリナート)
小腸がんにはFOLFOX療法として使用されます。
併用する5-FUの作用機序については以下の記事をご覧ください。
類薬(ランダ/ブリプラチン)との違い
エルプラットと同様の白金製剤としては、
- ランダ/ブリプラチン(一般名:シスプラチン):第一世代
- アクプラ(一般名:ネダプラチン):第二世代
- パラプラチン(一般名:カルボプラチン):第二世代
などがあります。
なお、エルプラットは第三世代の白金製剤に分類されています。
ランダ/ブリプラチンとアクプラは腎毒性が強く、投与時には大量の輸液投与(ハイドレーション)が必要なため基本的に入院で行います。
一方、エルプラットでは腎毒性が軽減されているため、ハイドレーションが不要です。そのため、入院が不要で外来で投与ができるといったメリットがあります。
あとがき
エルプラットは元々、大腸がん、膵臓がん、胃がんに適応を有していましたが、今回小腸がんが追加されました。
既に公知申請が了承されていたため、2018年4月頃より保険償還が可能だったようです。
稀な疾患ではありますが、これまで治療法が無かったので、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。
以上、今回は小腸がんとエルプラット(オキサリプラチン)の作用機序についてご紹介しました。
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