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コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

更新日:

2019年10月25日、厚労省の薬食審・医薬品第一部会にて「アトピー性皮膚炎」を対象疾患するコレクチム軟膏0.5%(デルゴシチニブ)の承認が了承されました!

日本たばこ産業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名コレクチム軟膏0.5%
一般名デルゴシチニブ
製品名の由来不明
製薬会社製造販売:日本たばこ産業(株)
販売:鳥居薬品(株)
効能・効果アトピー性皮膚炎
用法・用量通常、成人には、1日2回、適量を患部に塗布する。
なお、1回あたりの塗布量は5gまでとする。
収載時の薬価薬価未収載

 

コレクチム軟膏はアトピー性皮膚炎の初のJAK阻害薬ですね!

 

木元 貴祥
関節リウマチの領域では既に経口剤のJAK阻害薬が承認・販売されていますが、外用薬は初です。
スマイラフ(ペフィシチニブ)の作用機序・類薬との違い【関節リウマチ】

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今回はアトピー性皮膚炎とコレクチム軟膏の作用機序・エビデンス等についてご紹介します。

 

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う疾患です。

 

主な症状は「湿疹」と「かゆみ」で、良くなったり悪くなったりを繰り返し、なかなか治らなく、慢性的であるのとが特徴です。

具体的には、赤みがある、じゅくじゅくして引っかくと液体が出てくる、ささくれだって皮がむける、長引くとごわごわ硬くなって盛り上がる、などがあります。

 

部位としては、おでこ、目のまわり、口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出やすいとされており、左右対称に発現することもあります。

 

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状の状態によって、軽微、軽症、中等症、重症の4段階に分けられており、それぞれによって治療法が異なります。

 

治療の基本は以下の3つがありますが、最も中心となるのは薬物療法です。1)

  1. 薬物療法:ステロイド外用薬を中心とした治療
  2. スキンケア:日頃から皮膚を清潔に保ち、保湿状態を保つ
  3. 原因・悪化因子の除去:炎症の原因となる物質・因子を取り除く

 

ステロイド外用薬は「最強」「とても強い」「強い」「弱め(ミディアム)」「弱い」という5段階がありますが、アトピー性皮膚炎の重症度に応じて、それぞれ使い分けられています。

その他には、かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服することもあります。

 

木元 貴祥
今回ご紹介するコレクチム軟膏は新たな外用薬として期待されている薬剤ですね!

 

一方で、外用薬等では改善が認められないこともしばしばあり、ステロイド薬の内服や免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服の他、抗IL-4受容体α(IL-4Rα)抗体薬のデュピクセント(一般名:デュピルマブ)が行われることもあります。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序・類薬との比較【アトピー性皮膚炎/気管支喘息】

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アトピー性皮膚炎の原因:マクロファージやTh2細胞による炎症

アトピー性皮膚炎の明確な発症原因は不明確ですが、

  • 家族歴・既往歴
  • 外的要因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、炎症反応が引き起こされることで発症すると考えられています。

 

様々な原因によって、マクロファージやTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)からTNFα、IL-4、IL-6、IL-13、IL-22などのサイトカイン・ケモカインや化学伝達物質が放出され、これが作用することで痒みを誘発すると考えられています。1)

 

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序

炎症性サイトカインであるTNFαやIL-4、IL-6、IL-13、IL-22などが炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。

 

各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAKジャック」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。

JAKには結合するサイトカインの受容体に応じてJAK1・JAK2・JAK3が知られている。

 

核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、アトピー性皮膚炎が進行してしまいます。

 

コレクチム軟膏はアトピー性皮膚炎の発症部位に塗ることで、細胞内のJAK1~3を選択的に阻害する薬剤です。2)

 

JAKが阻害されることで、サイトカインによる刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、アトピー性皮膚炎の進行を抑制すると考えられています。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序:JAK1~3を阻害する

 

木元 貴祥
外用薬のため、全身性の作用がなく、副作用の軽減も期待できると考えます!

 

エビデンス紹介:16歳以上を対象とした国内第Ⅲ相試験

根拠となった臨床試験を一つご紹介します。3)

本試験は16歳以上の日本人のアトピー性皮膚炎患者さんを対象に、デルゴシチニブ軟膏0.5%の4週間投与とプラセボ軟膏を比較した第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「mEASIスコア*の変化率」とされ、結果は以下の通りでした。

試験群デルゴシチニブ軟膏プラセボ
mEASIスコアの変化率-44.29%1.74%
p<0.001

* mEASI(modified EASI)スコア:形態的変化の重症度と広がりから重症度を簡便に評価するEASIスコアから「頭頸部スコアを除いた」もの

 

木元 貴祥
このようにプラセボと比較して有意に改善していますが、ステロイド外用薬との比較が気になるところですね。

 

また2~15歳を対象にした国内第Ⅱ相臨床試験4)でも同様の効果が認められていますので、今後の適応拡大も期待したいと思います!

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

関節リウマチに使用される経口のJAK阻害薬では、稀に結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症が発現する可能性もあります。

 

コレクチム軟膏は外用のJAK阻害薬ですので、全身性の感染症等の発現率は低いのではないかと予想しています。前述の臨床試験3)でも重篤な有害事象の発現はなかったとされていますね。

 

用法・用量

通常、成人には、1日2回、適量を患部に塗布します(1回あたりの塗布量は5gまで)。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

コレクチム軟膏はこんな薬

  • アトピー性皮膚炎に対する初のJAK阻害薬
  • JAK阻害薬の外用薬も国内初
  • 炎症性サイトカインの伝達を抑制し、症状を緩和する

 

アトピー性皮膚炎ではこれまでステロイド外用薬が中心でしたが、コレクチム軟膏は新たな治療選択肢になり得ると期待しています。

 

一方で、ステロイド外用薬がよいのか、コレクチム軟膏がよいのか、については今後の検討課題かと思います。

 

木元 貴祥
それぞれが適した患者さんの検討が進めば興味深いですね!

 

以上、今回はアトピー性皮膚炎と新規の外用JAK阻害薬のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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