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ハーボニー配合錠(レジパスビル/ソホスブビル)の作用機序【C型肝炎】

厚労省は2015年7月3日、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合薬のハーボニー配合錠(一般名:レジパスビル・ソホスブビル配合剤)を承認しました!

その後、2018年2月16日に「セログループ2(ジェノタイプ2)」に関しても適応拡大されています。

 

今回はC型肝炎とハーボニーの作用機序についてご紹介します。

 

C型肝炎とは

C型肝炎は「C型肝炎ウイルス(HCV)」に感染することで引き起こされます。

一度HCVに感染すると約70%の方はが持続感染者となり、そのまま自覚症状のないまま病気が進行していきます。

放っておくと、
慢性肝炎→肝硬変→肝がん、
と進行してしまうため、HCVに感染した場合、症状が無い状態から治療を開始することが望ましいです。

 

現在では国内に約100万人のHCV感染者の方がいると推定されています。

 

C型肝炎の症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、ちょっとやそっとの病気では症状が現れません。

HCV感染でも慢性肝炎の状態ではなかなか症状が現れにくく、肝硬変になってだんだんと症状が現れます。

 

肝硬変の主な症状は以下があります。

  • 手掌紅斑:手のひらが赤くなる
  • 黄疸
  • 浮腫(腹水貯留)
  • 出血傾向(鼻血など)

 

肝硬変でも上記のような症状がいずれもみられない場合を「代償性肝硬変」、いずれかの症状がみられる場合を「非代償性肝硬変」と分類しています。

 

C型肝炎ウイルスの増殖

C型肝炎ウイルスは自分自身の力で増殖することはできません

 

そこで、ウイルスは宿主(ヒトの細胞)の力を借りて、増殖を行います。

ヒトの細胞にC型肝炎ウイルスが侵入(感染)すると、ウイルス由来の遺伝子(RNA)を放出します。

その後、ウイルス由来RNAは、ヒト細胞内のタンパク質や因子等を勝手に使用してRNAの複製を行います。

この複製過程では、まず「HCV複製複合体」と呼ばれる工場のようなものを形成します。

 

この工場(HCV複製複合体)の中でRNAの複製が行われますが、複製には「NS5Bポリメラーゼ」と呼ばれるタンパク質が関与しています。

 

C型肝炎ウイルスの治療

C型肝炎ウイルスは変異が起こりやすいく、多くの遺伝子変異が確認されています。

そのため、C型肝炎ウイルスは遺伝子型(ジェノタイプ)によって細かく分けられます。

 

その中でも、日本人では

  • ジェノタイプ1b型(約70%)
  • ジェノタイプ2a型(約20%)
  • ジェノタイプ2b型(約10%)
    の3種類が多いとされておりますが、その他にも極めて稀なジェノタイプ3~6型も存在しています。

昔はインターフェロンを用いた治療が基本でしたが、最近ではインターフェロンを用いない治療法である直接作用型抗ウイルス剤(DAA)によって治癒が見込める時代となってきました。

 

C型肝炎治療ガイドライン(第7版)1)で推奨されている主なDAAは以下の通りです。

 

<慢性肝炎(DAAの治療歴なし)>

ジェノタイプ1型
ジェノタイプ2型

 

<代償性肝硬変(DAAの治療歴なし)>

ジェノタイプ1型
ジェノタイプ2型

なお、慢性肝炎・代償性肝硬変、いずれも1型と2型の混合型では、全ての型に効果が期待できるマヴィレット配合錠が推奨されています。

 

このようにハーボニー配合錠は慢性肝炎・代償性肝硬変の標準治療の一つとして位置づけられています。

 

ただし、ハーボニー配合錠は「重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者」に対しては投与禁忌ですので、注意が必要です。

 

ハーボニー配合錠(レジパスビル・ソホスブビル)の作用機序

レジパスビルは、ウイルスRNAの複製に関わる「HCV複製複合体」の中でも、「NS5A複製複合体」を阻害する薬剤です。

一方、ソホスブビルは、RNA複製過程に関与する「NS5Bポリメラーゼ」を阻害する薬剤です。

 

 

このように、HCVの複製に関わるNS5A複製複合体NS5Bポリメラーゼを共に阻害することでウイルスの増殖抑制効果を発揮すると考えられています。

 

ハーボニー配合錠の用法・用量

通常、成人には1日1回1錠を経口投与し、投与期間は12週間です。

 

まとめ・あとがき

ハーボニーはこんな薬

  • NS5A複製複合体とNS5Bポリメラーゼを阻害する
  • 1日1回経口投与を12週間継続する
  • ジェノタイプ1と2に使用可能

 

ハーボニー配合錠はジェノタイプ1に関する国内第Ⅲ相臨床試験において、終了後12週時の持続的ウイルス学的著効率(SVR12)は100%という結果が得られています。2)

また、ジェノタイプ2に関する国内第Ⅲ相臨床試験においてもソバルディ錠+リバビリンに対して非劣性が確認されています。2)

 

つまり、飲みさえすれば、ほぼ確実に治るということです。

凄い時代になりましたね!

インターフェロンを用いない経口剤のみの治療ですので、副作用の軽減も期待されています。

 

以上、今回はC型肝炎ウイルスとハーボニー配合錠の作用機序についてご紹介しました。

 

2017年には全ジェノタイプに使用できるマヴィレット配合錠も登場しましたので、併せてご確認くださいませ☆

マヴィレット(ピブレンタスビル/グレカプレビル)の作用機序【C型肝炎】

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引用文献・資料等

  1. C型肝炎治療ガイドライン(第7版)2019年6月
  2. ハーボニー配合錠 添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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