5.内分泌・骨・代謝系

スーグラ(イプラグリフロジン)の作用機序と副作用【糖尿病】

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スーグラ錠20mg、同錠50mg(一般名:イプラグリフロジン)の効能効果に「1型糖尿病」の適応を追加することが2018年12月21日に承認されました!

製薬会社

  • 製造販売:アステラス製薬(株)
  • 販売提携:寿製薬(株)

 

スーグラは2014年に初のSGLT2阻害薬として「2型糖尿病」を効能・効果として承認されました。

今回、1型糖尿病の適応はSGLT2阻害薬としては初となります!

 

今回は、糖尿病とスーグラ(イプラグリフロジン)の作用機序についてご紹介します。

 

糖尿病とは

平成29年の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は約328万人超であり、前回の調査から12万人以上増加しています。

厚生労働省平成29年(2017)患者調査の概況

 

糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。

 

健康診断等で

  • 空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • HbA1cが6.5%以上

の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。

 

糖尿病にはその原因や病態によって

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病

に分類されています。

 

日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。

  • インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
  • インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

2型糖尿病の発症要因

主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)

 

 

一方、1型糖尿病遺伝因子自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下

従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。

 

木元 貴祥
1型・2型、いずれも遺伝因子が関与していますが、その関与の程度は1型糖尿病の方が強いと言われています。

 

スーグラはこれまで2型糖尿病のみに使用可能でしたが、1型糖尿病に対しても使用可能となりました!

 

糖尿病の治療:1型と2型

2型糖尿病治療

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

を基本としますが、最も大切なのは食事療法運動療法です。

食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。

 

一方、1型糖尿病ではインスリンの補充療法が中心的です。

インスリン補充療法によって基本的にはコントロール可能ですが、

  • 低血糖症のリスク
  • コントロール不良な場合の治療法
  • 体重増加

などが課題として懸念されています。

 

今回ご紹介するスーグラはインスリン補充療法でコントロール不良な場合に併用して用います。

添付文書にも以下の注意喚起が記載されています。1)

本剤の適用はあらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合に限ること。

 

2型糖尿病の薬物療法

糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。

まずは経口血糖降下薬の少量から開始されることが多いです。

 

経口血糖降下薬には以下の種類があり、糖尿病の原因(インスリン分泌低下、抵抗性増大)によって使い分けられます。

 

<インスリン分泌低下を改善>

  • スルホニル尿素(SU)薬:インスリン分泌促進
  • グリニド薬:より速やかなインスリン分泌促進
  • DPP-4阻害薬:インクレチン分解抑制によるインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制

 

<インスリン抵抗性を改善>

  • ビグアナイド薬:糖新生の抑制
  • チアゾリジン薬:インスリンの感受性を向上

 

加えて、ブドウ糖の吸収を抑制する「α-グルコシダーゼ阻害薬」や、ブドウ糖の排泄を促進する「SGLT2阻害薬」等も使用されます。

 

それでは、SGLT2阻害薬の作用機序についてご紹介します。

 

SGLT2阻害薬の作用機序

通常、血中のブドウ糖は尿中に排泄されません。

その理由として、腎臓の糸球体でろ過された原尿には、血漿と同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。

 

ようするに、一旦はブドウ糖は糸球体で原尿へ濾過されるももの、そのほとんどが再吸収されて体内(血中)に戻ってきてしまいます。

この原尿中のブドウ糖再吸収を行うトランスポーターは「SGLT2(Sodium-Glucose Transporter 2)」と呼ばれています。

 

SGLT2阻害薬はブドウ糖再吸収に関与するトランスポーターのSGLT2を阻害することで、ブドウ糖の再吸収を抑制する薬剤です。

つまり、SGLT2阻害剤は糖の再吸収を抑える(=糖の排泄を促進する)ことで血糖を低下させるといった作用機序を有しています。

 

このようにSGLT2阻害薬はインスリン作用を介さないため、低血糖や体重増加・肥満といった副作用が発現しにくいといわれています。

 

スーグラ錠(SGLT2阻害薬)の副作用

代表的な副作用には頻尿、口渇、便秘、体重減少などがあります。

 

その他、特に注意が必要な副作用には以下があります。

  • 低血糖
  • 脱水
  • 尿路・性器感染症
  • 正常血糖のケトアシドーシス
  • サルコペニア

 

高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れて重症化する恐れもありますので特に注意が必要です!

 

また1型糖尿病でインスリン製剤と併用する場合、ケトアシドーシスのリスク増加が報告されているため、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」が改訂されています。

日本糖尿病学会|「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」からSGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation

 

スーグラ錠の用法・用量

イプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与します。

なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg 1日1回まで増量することができます。

 

1型糖尿病に使用する際には「インスリン製剤との併用において」と限定が付きますので単剤で使用することはできません。

その他にも用法及び用量に関連する使用上の注意として以下の記載があります。1)

  • 本剤はインスリン製剤の代替薬ではない。インスリン製剤の投与を中止すると急激な高血糖やケトアシドーシスが起こるおそれがあるので、本剤の投与にあたってはインスリン製剤を中止しないこと。(「重要な基本的注意(9)」及び「副作用」の項参照)
  • 本剤とインスリン製剤の併用にあたっては、低血糖リスクを軽減するためにインスリン製剤の減量を検討すること。ただし、過度な減量はケトアシドーシスのリスクを高めるので注意すること。なお、臨床試験では、インスリン製剤の1日投与量は15%減量することが推奨された。

低血糖のリスクがあるため、インスリン製剤は減量して投与した方が良さそうですね。目安は15%でしょうか。

 

まとめ・あとがき

スーグラはこんな薬

  • 国内初のSGLT2阻害薬
  • SGLT2を阻害することでブドウ糖の排泄を促進する
  • インスリン作用を介さないため、低血糖や肥満のリスクが少ない
  • 初の1型糖尿病に使用できるSGLT2阻害薬(インスリンと併用して使用する)

 

現在までに承認されているSGLT2阻害薬の一覧については、単剤/配合剤含めて以下の記事にまとめています。

【糖尿病】SGLT2阻害薬の作用機序・副作用と一覧まとめ(単剤と配合剤)

続きを見る

 

同様の作用機序を有するフォシーガ錠(一般名:ダパグリフロジン)についても2019年に1型糖尿病の適応が追加されていますね。

フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序【糖尿病・心不全】

続きを見る

 

以上、今回は糖尿病とスーグラ(イプラグリフロジンL-プロリン)の作用機序についてご紹介しました!

 

引用文献・資料等

  1. スーグラ錠 添付文書

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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