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アバスチン(ベバシズマブ)の作用機序とバイオシミラー【大腸がん】

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2019年9月20日、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とするベバシズマブBS点滴静注用100mg/400mg「第一三共」(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続2])が承認されました。

 

先発品はアバスチンで、既にベバシズマブBS点滴静注用100mg/400mg「ファイザー」が2019年6月18日に承認されていますね。2製品目の登場です。

 

バイオ後続品とは、高分子タンパク製剤(抗体薬などのバイオ医薬品)の後発医薬品のことで、「バイオシミラー(BS)」とも呼ばれます。

 

先発品のアバスチンは肺がんや乳がんにも適応を有していますが、ベバシズマブBSは大腸がんのみの適応ですので注意が必要です。(適応の違いについては後述)

 

今回はバイオ後続品について、そしてアバスチン(ベバシズマブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

バイオ後続品(バイオシミラー)とは

通常、低分子医薬品の後発医薬品(ジェネリック医薬品)は主成分の構造式が全くの同一です。構造式が同一であれば、生体内の作用・副作用も先発医薬品と同一であるとみなされています。

ただし、先発医薬品とジェネリック医薬品では添加剤や製法等は異なることがあります。

 

一方、抗体薬に代表されるバイオ医薬品は、低分子の医薬品と比べて分子量が非常に大きく、また三次構造等の複雑な構造をしていることから、先発医薬品と主成分が全く同じであることを証明することが困難です。

従って、後発品のバイオ後続品(バイオシミラー)は、生体内の作用・副作用が先発医薬品と同一でない可能性があります。

 

木元 貴祥
そのため、バイオ後続品と先発医薬品の作用や副作用が同一かを検証するために、臨床試験を行って、同一性を証明する必要があります。

 

厚労省に提出する申請資料として、低分子のジェネリック医薬品では最大4種類ですが、バイオシミラーでは臨床試験成績を含む最大20種類(!!)必要となります。1)

 

最近では、抗体薬でも先発品と製法や構造が全く同一である「オーソライズド・バイオシミラー(または、バイオセイム)」と呼ばれるものも登場してきています。

ジェネリック医薬品とAG、バイオシミラーとバイオセイム

 

木元 貴祥
今回ご紹介するベバシズマブBSはバイオセイムではありませんが、もしバイオセイムが気になる方は以下の記事をご参照ください。
ネスプ(ダルベポエチン)の作用機序とバイオセイム・ABS【CKD・腎性貧血】

続きを見る

 

それではここからベバシズマブの作用機序に関与する、がんの血管新生について解説します。

 

がんと血管新生

がん全般的に言えることですが、がん細胞が大きくなるためには多くの栄養素や酸素が必要となります。

 

そこでがん細胞は、自分のところに血管を無理やり作らせようとし、それに関与する因子として、がん細胞はVEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、PIGFといった「血管増殖因子」を放出することが知られています。

この因子が、血管の受容体(VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3)に結合すると、がん細胞に対して異常な血管が作られ(これを“血管新生”といいます)、この血管を通じてがん細胞は大量の栄養と酸素を得ることができます。

がんと血管新生

 

木元 貴祥
このように、がんは血管新生を通じて増殖し、他の臓器への転移も引き起こされると考えられています。

 

アバスチン(ベバシズマブ)の作用機序

今回紹介するベバシズマブは、血管新生に関与するVEGF-Aと結合してその作用を特異的に阻害するモノクローナル抗体薬です。

 

VEGF-Aの作用を阻害することでがんの血管新生を抑制し、増殖や転移を抑制できるといった作用機序を有しています。

アバスチン(ベバシズマブ)の作用機序:血管新生を抑制する

 

大腸がんでの使用法

アバスチン(ベバシズマブ)は大腸がんのキードラッグとして広く使用されています。

初回発見時に手術ができない、もしくは再発してしまった大腸がんの場合、抗がん剤による治療が行われます。

 

このような大腸がんの初回治療(一次化学療法)では、抗がん剤+分子標的薬(ベバシズマブなど)を用いた以下のいずれかの治療法が行われます。2)

  • FOLFOX+アバスチン/ベクティビクス/アービタックス
  • FOLFIRI+アバスチン/ベクティビクス/アービタックス
  • CAPOX+アバスチン
  • SOX+アバスチン
  • IRIS+アバスチン

 

参考:使用薬剤

 

木元 貴祥
このように2~3剤の抗がん剤を組み合わせたもの(“レジメン”と呼びます)とアバスチンやベクティビクスなどの分子標的治療薬を併用した治療が行われます。

 

また、上記の治療に抵抗性を示した場合、二次治療が行われますが、アバスチンは二次治療でも広く使用されています。ちなみに大腸がんの二次治療では似たような作用機序を有したサイラムザ(ラムシルマブ)も使用されます。

サイラムザ(ラムシルマブ)の作用機序【胃/大腸/肝細胞がん】

続きを見る

 

先発品(アバスチン)との適応、用法・用量違い

先発品のアバスチンは以下の適応を有しています。

  • 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
  • 扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
  • 卵巣がん
  • 進行又は再発の子宮頸がん
  • 手術不能又は再発乳がん
  • 悪性神経膠腫

 

一方、ベバシズマブBS「ファイザー」や「第一三共」の適応は、

  • 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん

のみですので注意が必要です。今後は順次適応拡大していくものと思われます!

 

また、結腸・直腸がんに使用する場合、先発品のアバスチンは2週毎もしくは3週毎で治療できますが、ベバシズマブBSは2週毎のみしか使用できません。

 

木元 貴祥
効能・効果と用法・用量の違いについては一覧表としてまとめてみました!

 

効能・効果用法・用量アバスチンベバシズマブBS
「ファイザー」
「第一三共」
治癒切除不能な進行・再発の
結腸・直腸がん
2週毎
(5mg/kg or 10mg/kg)
3週毎
(7.5mg/kg)
×
扁平上皮がんを除く切除不能な
進行・再発の非小細胞肺がん
3週毎
(15mg/kg)
×
卵巣がん3週毎
(15mg/kg)
×
進行又は再発の子宮頸がん3週毎
(15mg/kg)
×
手術不能又は再発乳がん2週毎
(10mg/kg)
×
悪性神経膠腫2週毎
(10mg/kg)
×
3週毎
(15mg/kg)

 

大腸がんでは、2週間毎の治療法(FOLFOX、FOLFIRI)3週間毎の治療法(SOX、IRIS、XELOX)がありますが、ベバシズマブBSは2週間毎の治療法としか併用できない点に注意が必要ですね。

 

あとがき

近年では、相次いで抗体薬のバイオシミラーやバイオセイムが登場してきています。

 

ベバシズマブについはバイオセイムの開発は行われていないようですので、今後各社からバイオシミラーの登場が予想されます。

 

バイオセイムとして初の承認を取得したネスプによって、今後は抗体薬のバイオシミラー開発がどのようになっていくのか先行きが不透明です。

ネスプ(ダルベポエチン)の作用機序とバイオセイム・ABS【CKD・腎性貧血】

続きを見る

 

木元 貴祥
ベバシズマブBSはまずは大腸がんのみの適応ですが、順次適応拡大されていけばよいなと思います。

 

以上、今回はアバスチンの初のバイオシミラーであるベバシズマブBS「ファイザー」・「第一三共」とその作用機序等についてご紹介しました!

 

引用文献・資料等

  1. 薬食発第0304004号(平成21年3月4日):バイオ後続品の承認申請について
  2. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2019年版

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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