新薬承認・薬価収載

【第二部会:期待の新薬】3製品+6製品(2020年9月4日)

2020年9月4日、厚労省の薬食審・医薬品第二部部会は新薬として3製品を審議し、全て承認を了承しました!

その他、報告のみで承認了承された6製品もありますね。

 

注目は、世界初の光免疫療法と呼ばれる治療概念のアキャルックス(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)でしょうか!

 

木元 貴祥
なかなか面白い作用機序ですので、今後の開発動向も注目したいですね。

 

今回は一覧としてご紹介します。

 

審議品目:3製品

●ジセレカ錠100mg、同錠200mg(一般名:フィルゴチニブマレイン酸塩)
:「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ジセレカ(フィルゴチニブ)の作用機序【関節リウマチ/潰瘍性大腸炎】

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関節リウマチに使用するJAK阻害薬としては5製品目の登場ですね!

 

木元 貴祥
上記記事で5製品の違いについて簡単に解説しています。

 

●ゼジューラカプセル100mg(一般名:ニラパリブトシル酸塩水和物)
:「卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ゼジューラ(ニラパリブ)の作用機序【卵巣がん】

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PARP阻害薬としてはリムパーザ(一般名:オラパリブ)に次いで2製品目ですね。リムパーザは乳がんにも適応を有していますが、ゼジューラは卵巣がんのみです。

リムパーザ(オラパリブ)の作用機序【卵巣/乳/膵/前立腺がん】

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ただ、卵巣がんの適応の幅としてはゼジューラの方が広いですね。

 

●アキャルックス点滴静注250mg(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え))
:「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アキャルックス(セツキシマブ サロタロカン)の作用機序・光免疫療法【頭頸部】

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光免疫療法と呼ばれる新たな治療概念です。

 

専用のレーザ照射システム「BioBladeレーザシステム」も9月2日に承認されていますね。

 

報告品目:6製品

●ヤーボイ点滴静注液50mg(一般名:イピリムマブ(遺伝子組換え))
:「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品

●オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え)):全適応症で用法・用量を追加する新用量医薬品。

オプジーボとヤーボイ併用療法の作用機序【悪性黒色腫/腎/大腸/肺/食道がん】

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MSI-Highを有する結腸・直腸がんについて、これまではオプジーボ単剤しか適応がありませんでしたが、今後はオプジーボ+ヤーボイ併用療法も選択肢に加わります!

 

併せて、オプジーボは全効能・効果に対して、1回480mgを4週間間隔投与できる用法・用量が追加されます。

これまでは1回240mgの2週間間隔でしたので、来院頻度の低下が見込めますね!

 

ただ、類薬のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)は6週間間隔で投与できます。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【消化器がん/MSI-High固形がん】

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●テセントリク点滴静注1200mg(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え))
:「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん/肝がん】

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肝細胞がんで初の免疫チェックポイント阻害薬ですね!アバスチン(一般名:ベバシズマブ)と併用で使用します。

 

●アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同点滴静注用400mg/16mL(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え))
:「切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

アバスチン(ベバシズマブ)の作用機序とバイオシミラー【大腸がん】

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●エンハーツ点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))
:「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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HER2陽性胃がんの三次治療以降として使用します!抗体に抗がん剤を結合させたADCと呼ばれる治療概念ですね。

 

●トルツ皮下注80mgシリンジ、同皮下注80mgオートインジェクター(一般名:イキセキズマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分なX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

トルツ(イキセキズマブ)の作用機序【乾癬・強直性脊椎炎】

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トルツと同様の作用機序(IL-17A阻害)を有するコセンティクス(一般名:セクキヌマブ)も同様の適応が2020年8月に追加されています。

コセンティクス(セクキヌマブ)の作用機序【乾癬/強直性脊椎炎】

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あとがき

今回は光免疫療法と呼ばれる新たな治療概念であるアキャルックスが注目ですね!

アキャルックス(セツキシマブ サロタロカン)の作用機序・光免疫療法【頭頸部】

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その他、肝細胞がん初の免疫チェックポイント阻害薬のテセントリク、MSI-High大腸がんのオプジーボ+ヤーボイ併用療法なども期待したいと思います。

 

以上、今回は2020年9月4日の厚労省薬食審第二部会で承認了承された薬剤について簡単にご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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