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2018年3月23日、厚労省はタフィンラーカプセル50m、同75mg(一般名:ダブラフェニブメシル酸塩)の効能・効果に「BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を追加することを承認しました。
タフィンラーは既に「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に適応を有していますが、上記効能・効果が追加されました。
また、タフィンラーを肺がんに使用する際にはメキニスト錠0.5mg、同2mg(一般名:トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物)と併用して用いることになります。
メキニストの効能・効果追加についても同日に承認されました。
今回は非小細胞肺がん治療とタフィンラー(ダブラフェニブ)についてご紹介します。
非小細胞肺がんと治療について
肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。
早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。
非小細胞肺がんの初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。
- EGFR遺伝子変異陽性の場合:イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)、タルセバ(一般名:エルロチニブ)、ジオトリフ(一般名:アファチニブ)
- ALK融合遺伝子陽性の場合:アレセンサ(一般名:アレクチニブ)、ジカディア(一般名:セリチニブ)、ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)
- ROS1融合遺伝子陽性の場合:ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)
- BRAF遺伝子変異陽性の場合:タフィンラー(一般名:ダブラフェニブ)+メキニスト(一般名:トラメチニブ)併用療法
- PD-L1陽性の場合:キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)
- 上記遺伝子等がすべて陰性の場合:抗がん剤(シスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ペメトレキセドなど)とアバスチンなどの分子標的薬を組み合わせた治療、もしくはこれらに免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダもしくはテセントリク)を併用
上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。
EGFR遺伝子変異陽性に使用できるイレッサ(一般名:ゲフィチニブ)については以下の記事をご参照ください。
今回ご紹介するタフィンラーが関与するBRAF遺伝子変異は、約1~2%に認められると言われています。
BRAF遺伝子変異陽性の肺がん
がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞はしばしば「EGFR」と呼ばれるタンパク質を発現していることあります。
因子であるEGFが、がん細胞のEGFRに結合すると、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。
このシグナル伝達の中継点として「BRAF(“ビーラフ”と読みます)」や「MEK(“メック”と読みます)」が存在することが知られており、BRAFに伝わったシグナルはMEKに届けられ、核内まで届けられます。
核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。
ただし、因子であるEGFが存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。
非小細胞肺がんの約1%の患者さんではBRAFの遺伝子に変異のあることが知られています。
これを「BRAF遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」と呼んでいます。
BRAF遺伝子変異陽性の場合、因子であるEGFが存在しないにも関わらず、恒常的にBRAFから下流のシグナル伝達が核へと伝達されています。そのため、MEKも間接的に活性化していると考えられます。
このようにBRAF遺伝子に変異があると、常にがん細胞の増殖が活性化されています。
タフィンラー(一般名:ダブラフェニブ)の作用機序
タフィンラーは、BRAF遺伝子変異のあるBRAFを特異的に阻害する薬剤です!
変異したBRAFを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。
また、間接的にMEKも活性化しているため、MEKを特異的に阻害するメキニスト(一般名:トラメチニブ)を併用して用いることでシグナル伝達をより強固に阻害することが可能となります。
タフィンラーカプセルの用法・用量
メキニスト(トラメチニブ)との併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与します。
あとがき
既に適応を有しているBRAF変異の悪性黒色腫についてもタフィンラーとメキニストを併用することで治療効果が認められています。
肺がんのBRAF変異は約1%と少数ではありますが、BRAF変異があると非常に予後が悪いため、このような患者さんにタフィンラーとメキニストが貢献できることを期待します。
メキニストも同日、BRAF変異の非小細胞肺がんの効能・効果追加について承認されました。
以上、今回はBRAF変異の非小細胞肺がんとタフィンラー(一般名:ダブラフェニブ)の作用機序についてご紹介しました。
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