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リンヴォーク(ウパダシチニブ)の作用機序:類薬との違い・比較【関節リウマチ】

更新日:

リンヴォーク(ウパダシチニブ)とは、2019年2月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を予定効能・効果として承認申請が行われた新規のJAK阻害薬です!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名リンヴォーク?(海外では“RINVOQ”)
一般名ウパダシチニブ
製品名の由来未定
製造販売アッヴィ合同会社
効能・効果未定:既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)?
用法・用量未定:1日1回経口投与?
収載時の薬価(予定)薬価未収載

 

木元 貴祥
リンヴォークはJAK阻害薬に分類されていますが、特にJAK1を選択的に阻害するようです。

 

関節リウマチに使用するJAK阻害薬としては以下に次いで4製品目となる予定ですね。

 

米国ではRINVOQという製品名で2019年8月に承認されています。

 

本日は関節リウマチとリンヴォーク(ウパダシチニブ)の作用機序とエビデンス、そして上記3製品との違いや比較についてご紹介します☆

 


関節リウマチとは

一般に、骨や関節、筋肉などが全身的な炎症を伴って侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。

 

このうち、関節に炎症が続いて、関節が徐々に破壊され、やがて機能障害を起こす疾患のことを「関節リウマチ」と呼んでいます。

 

関節リウマチの特徴的な症状は「関節の腫れ」で、最も発現しやすい部位は、手首や手足の指の関節です。

また、関節リウマチの症状は「対称性」といって、左右両側の関節に発現することが多いのが特徴です。

 

木元 貴祥
“関節”と聞くと、関節だけに発症しそうなイメージですが、全身に症状が現れることもあります。

 

全身症状としては、貧血症状、倦怠感(体がだるい)、微熱等があり、これが現れると症状が悪化していくと言われています。1)

 

関節リウマチの原因

関節リウマチの明確な発症原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

免疫系が異常に活動する結果として、関節滑膜組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球がでてきます。

このリンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応が引き起こされると考えられています。

 

特に、IL-6は関節リウマチ患者の血清中および滑液中に最も多く認められるサイトカインで、IL-6のレベルは疾患活動性および関節破壊と相関すると言われています。

関節リウマチとIL-6、TNF

 

関節リウマチの治療

治療には通常、痛みを抑えるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド抗リウマチ薬(DMARD:“ディーマード”と読みます)が使用されます。2)

これらの薬剤を使用しても進行が抑えられない場合、生物化学的製剤や今回ご紹介するウパダシチニブが使用されます。

 

生物学的製剤は細胞の外で作用するのに対し、リンヴォークは細胞の中(細胞内)で作用する薬剤です。

 

生物学的製剤についてはまとめ記事をご参考ください。

【関節リウマチ】生物学的製剤の作用機序・副作用・特徴のまとめ

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リンヴォーク(ウパダシチニブ)の作用機序

炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、IL-2等が炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。

 

各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAK:“ジャック”)」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。

 

核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、関節リウマチが進行してしまいます。

 

JAKにはJAK1~3までありますが、特にTNFαやIL-6の作用する受容体はJAK-1が関与していることが知られています。

 

リンヴォークはJAKの中でもJAK1を選択的に阻害する薬剤です。

 

JAK1を阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、関節リウマチの進行を抑制すると考えられています。

リンヴォーク(ウパダシチニブ)の作用機序

 

エビデンス紹介:SELECT試験

根拠となった臨床試験にはいくつかの第Ⅲ相臨床試験があります。

  • SELECT-NEXT試験(国際共同)3):DMARDsで効果不十分な関節リウマチ患者さんに対するリンヴォークとプラセボの比較試験(DMARDs併用)
  • SELECT-BEYOND試験(国際共同)4):DMARDsで効果不十分な中等度~重度の関節リウマチ患者さんに対するリンヴォークとプラセボの比較試験(DMARDs併用もしくは非併用)
  • SELECT-MONOTHERAPY試験(国際共同で日本を含む5):メトトレキサート(MTX)で効果不十分な関節リウマチ患者さんに対するリンヴォークとMTX継続群の比較試験(単剤

 

木元 貴祥
他にも日本人に限定して行われた第Ⅱa/Ⅲ相試験のSELECT-SUNRISE試験などもあるようです。すごい数の臨床試験ですね^^;

 

今回は代表例としてSELECT-MONOTHERAPY試験をご紹介します。本試験はMTXで効果不十分な関節リウマチ患者さんに対して、リンヴォーク15mg群または30mg群MTX継続群を直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目は投与14週時点の「ACR20%改善率*」および「DAS28-CRP≦3.2の達成率」でした。

MTX継続群リンヴォーク
15mg群
リンヴォーク
30mg群
投与14週時点の
ACR20%改善率
41%68%71%
-MTX継続群と
リンヴォーク両用量群の差:p<0.0001
投与14週時点の
DAS28-CRP≦3.2の達成率
19%45%53%
-MTX継続群と
リンヴォーク両用量群の差:p<0.0001
何らかの有害事象47%47%49%

*米国リウマチ学会の関節リウマチの診断基準で、20%以上改善した割合
†DAS(Disease Activity Score:読み方は“ダス”)-CRP:疾患活動性の指標で、28関節の腫れ具合とC反応性蛋白(CRP)値を用いて計算される

 

木元 貴祥
リンヴォークはいずれの用量でもMTX継続投与に対して単剤で優越性が示されていますね。また有害事象についてはMTXと差は無さそうです。

 

MTXで効果不十分な場合、JAK阻害薬は他のDMARDsと併用されることが多いと思いますが、何等かの理由で単剤で使用することもあるため参考になる試験だと思います。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定です。

臨床試験では1日1回経口投与されていました。3-5)

 

副作用

後日更新予定です。

 

JAK阻害薬では稀に結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症が発現する可能性もあるため、特に注意が必要です。

 

リンヴォークとスマイラフ/ゼルヤンツ/オルミエントとの違い・比較

JAKが関与する代表的なサイトカインの受容体としては以下が知られています。6)

サイトカイン関与するJAK
IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15JAK1、JAK3
IL-6JAK1、JAK2
IFN-αJAK1
IFN-γJAK1、JAK2
G-SCFJAK1、JAK2

 

各JAKへの選択性として、

を選択的に阻害することが知られています。7-8)

 

木元 貴祥
作用機序の違いが有効性や安全性にどう影響するのかは明らかではありませんので、今後の検討が必要かと考えます。

 

その他、効能・効果や用法・用量にも少し違いがありますので、以下に比較表としてまとめてみました☆

JAK阻害薬の一覧・比較表:ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォークの違い

 

適応が多いのは一番最初に登場したJAK阻害薬のゼルヤンツですね。しかし、関節リウマチに使用する場合には1日2回投与である点、併用注意薬が多い点が少し残念です。

 

木元 貴祥
リンヴォークの正式承認後に更新予定です。

 

薬価

現時点では未承認・薬価未収載です。

 

まとめ

リンヴォークはこんな薬

  • JAK1を選択的に阻害するJAK阻害薬
  • 1日1回の経口投与
  • 類薬にはゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフがある
  • 重篤な感染症には注意が必要

 

DMARDsで効果不十分な関節リウマチではこれらJAK阻害薬もしくは生物学的製剤の使用が検討されますが、優先順位等は明確に定められていません。

 

今後は生物学的製剤を含め、JAK阻害薬同士の使い分け等も検討されれば興味深いと感じますね。

 

以上、今回は関節リウマチに使用する新規のJAK阻害薬のリンヴォーク(ウパダシチニブ)と類薬の違い・比較についてご紹介しました!

 

生物学的製剤のまとも記事も是非ご覧ください。

【関節リウマチ】生物学的製剤の作用機序・副作用・特徴のまとめ

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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