5.内分泌・骨・代謝系

パーサビブ(エテルカルセチド)の作用機序と副作用【副甲状腺機能亢進症】

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厚労省は2016年12月19日、「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のパーサビブ静注透析用2.5mg、同5mg、同10mg(一般名:エテルカルセチド塩酸塩)を承認しました。

今回は二次性副甲状腺機能亢進症とパーサビブ(エテルカルセチド)の作用機序についてご紹介します。

 

副甲状腺とPTH

二次性副甲状腺機能亢進症の説明の前に、副甲状腺と「副甲状腺ホルモン(PTH:パラソルモン)」の働きについて説明します。

喉の近くにある甲状腺の裏側には、米粒大の「副甲状腺」という臓器が存在しています。

 

副甲状腺から分泌されるPTHは、

  • 腸管からのカルシウム吸収促進
  • 尿からのカルシウム排泄抑制
  • 骨のカルシウムを血中に放出(骨吸収)

などの作用によって、血中のカルシウム濃度を上昇させる働きがあるホルモンです。

その他にも、リンの尿中排泄を促進する働き(血中のリン濃度低下作用)もあります。

 

血中のカルシウム濃度が上昇すると副甲状腺の「カルシウム受容体」がそれを感知し、PTHの分泌を抑制します。

逆に、
血中のカルシウム濃度が低下するとカルシウム受容体が感知して、PTHの分泌を促進させます。

このように、
血中のカルシウムやリンの濃度を一定に保つために働いているホルモンがPTHです。

 

腎臓の働きとカルシウム濃度

腎臓の働きの一つに「活性型ビタミンD3の産生」があります。

活性型ビタミンD3は、
ビタミンDが肝臓と腎臓を経て産生される物質で、腸管からのカルシウム吸収を促進して血中カルシウム濃度を上昇させます。

その他、リンの排泄にも腎臓が大きく関わっています。

 

慢性腎不全(透析患者さん)と二次性副甲状腺機能亢進症

透析を行っている患者さんでは腎機能が低下しています(慢性腎不全)。

そのため、活性型ビタミンD3の産生が低下し、腸管からのカルシウム吸収が悪くなってしまっています。(→低カルシウム血症

また、リンの排泄もできなくなってしまい、体内にリンが蓄積されてしまいます。(→高リン血症

 

このような低カルシウム血症高リン血症の状態が長期間持続してしまうと、低下したカルシウム濃度を上昇させるために、副甲状腺からPTHが過剰に分泌されます。

この状態になると、カルシウム濃度に関係なく常にPTHが過剰分泌されてしまい、血中のカルシウム濃度が異常に上昇してしまいます。

このような疾患を「二次性副甲状腺機能亢進症」と呼んでいます。

 

二次性副甲状腺機能亢進症の症状

PTHの過剰分泌によって、骨からカルシウムが放出(骨吸収)されてしまいます。

そのため、骨が脆くなってしまい、骨折を引き起こすことがあります。

また、血中のカルシウム等が骨以外の場所(関節、皮下、眼、血管)に沈着する「異所性石灰化」がみられることもあります。

血管に異所性石灰化がみられると、動脈硬化などの心血管系障害の発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼす可能性もあります。

 

二次性副甲状腺機能亢進症の治療

二次性副甲状腺機能亢進症の治療の基本は、薬物療法です。

主に用いられる薬物療法には、以下があります。

  • 活性型ビタミンD3製剤
  • カルシウム受容体作動薬

 

薬物療法で効果が不十分な場合は、手術が行われることもあります。

今回ご紹介するパーサビブは「カルシウム受容体作動薬」に分類されている薬剤です。

 

パーサビブ(一般名:エテルカルセチド)の作用機序

パーサビブは、血中カルシウム濃度のセンサーである副甲状腺のカルシウム受容体を直接刺激するカルシウム受容体作動薬です。

カルシウム受容体を刺激することで過剰なPTHの分泌が抑制され、血中のPTH濃度を低下させるといった作用機序を有しています。

その結果、血中のカルシウム濃度やリン濃度が正常になり、二次性副甲状腺機能亢進症の症状緩和が得られると考えられます。

 

パーサビブ静注透析用の特徴(類薬のレグパラ錠との違い)

同様の作用機序(カルシウム受容体作動薬)を有する類薬には、レグパラ錠(一般名:シナカルセト)があります。

レグパラ錠は経口投与する必要がありますが、パーサビブは透析ルートからの投与が可能です。

そのため、確実な投与が可能となり、透析患者さんの服薬の負担を軽減することが期待されます。

 

パーサビブ静注透析用の副作用

主な副作用には血中カルシウム減少、嘔吐、低カルシウム血症、味覚異常、下痢などが報告されています。

 

類薬とあとがき

同様の作用機序(カルシウム受容体作動薬)をもつ薬剤としてオルケディア(一般名:エボカルセト)も登場しました。

 

今後は使い分け等が検討されれば興味深いと考えます。

以上、今回は二次性副甲状腺機能亢進症とパーサビブ(一般名:エテルカルセチド)の作用機序についてご紹介しました。

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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