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ビクタルビ配合錠(ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル)の作用機序【HIV】

投稿日:

2019年2月22日、厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤のビクタルビ配合錠(一般名:ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸)の承認を了承しました!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名ビクタルビ配合錠
一般名ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸
製品名の由来
製造販売ギリアド・サイエンシズ(株)
効能・効果HIV-1感染症
用法・用量通常、成人には1回1錠を1日1回経口投与する。
収載時の薬価薬価未収載

 

ビクタルビ配合錠は新規のインテグラーゼ阻害薬のビクテグラビル+以下の既存の核酸系逆転写酵素阻害剤の2剤を配合した薬剤です。

  • エムトリシタビン:核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
  • テノホビル アラフェナミドフマル酸:核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)

 

今回はHIV感染症とビクタルビ配合錠の作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 

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AIDSとHIV

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AIDS(エイズ)という言葉は一度は耳にしたことがあると思います。

 

正式名称は「後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency syndrome:AIDS)」と呼ばれ、体内の免疫細胞が破壊されて後天的に免疫不全を引き起こす疾患です。

 

AIDSを引き起こす原因とされているウイルスが「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」です。

HIVに感染して数年の潜伏期間(無症状)を経た後にAIDSが発症すると言われています。

 

AIDSを発症すると全身倦怠感、体重の急激な減少、咳、発熱、発疹、といった風邪のような症状を呈します。

その後、普通では感染しないような日和見感染症(例:ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫、サイトメガロウイルス感染症)を合併し、生命に危機を及ぼします。

 

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染と増殖メカニズム

HIVの感染経路には以下の3つが知られています。

  • 性的感染
  • 血液感染
  • 母子感染

 

HIVは一本鎖RNAを持つレトロウイルスで、単体では増殖できません。従って、ヒト等の動物の細胞内に感染して増殖を行います。

 

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それではここから増殖メカニズムについてご説明します。

 

HIVの構造と吸着・膜融合・脱殻

HIVはエンベロープと呼ばれる外膜の中にカプシドがあり、その中にRNAが封入された構造を有しています。

 

HIVがヒト細胞に感染すると、
吸着⇒膜融合⇒脱殻というプロセスを経てヒト細胞内にウイルスRNAが放出されます。

 

ウイルスRNAの逆転写

ヒトの細胞内に放出されたウイルスRNAは「逆転写酵素」と呼ばれるウイルス酵素によって二本鎖DNAが合成されます。

 

合成されたウイルス二本鎖DNAはヒト細胞の核内へと運ばれていきます。

 

ヒトDNAへの組み込み(インテグラーゼ)

核内に運ばれたウイルスDNAは、そのままでは複製や転写・翻訳ができません。

 

そのためウイルスDNAは「インテグラーゼ」と呼ばれるウイルス酵素によって、ヒトDNAの中にウイルスDNAを組み込みます

 

ウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれることで、HIVに感染したヒト細胞が増殖する際にはウイルスDNAも一緒に増殖していってしまいます。

 

そしてウイルスDNAの遺伝情報を元に、転写・翻訳が行われ、ウイルスに必要なタンパク質も勝手に合成されていってしまいます。

 

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以上がHIVの感染・増殖のメカニズムです。

 

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HIV感染症の治療

HIV感染症は早期に行うことで、AIDSの発症までの期間を延長することができます。

ただし、HIVを完治させることは現代医学では難しいとされています。

 

主に使用される薬剤には以下の種類があり、これらを適宜併用した多剤併用療法が基本です。1)

  • 核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
  • 非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
  • プロテアーゼ阻害剤(PI)
  • 膜融合阻害剤
  • インテグラーゼ阻害剤(INSTI)

 

初回治療の組み合わせとしては、以下のいずれかが患者さんの適正に併せて推奨されています。1)

  • NRTI×2剤+INSTI×1剤
  • NRTI×2剤+PI×1剤+リトナビル(PI)
  • NRTI×2剤+NNRTI×1剤

 

今回ご紹介するビクタルビ配合錠は上記の「NRTI×2剤+INSTI×1剤」として使用できる薬剤です。

これらの多剤併用療法を原則、一生涯行うことでAIDSで死亡することはほとんど無くなったと言われています。

 

ビクタルビ配合錠の作用機序

ビクタルビ配合錠は

  • 核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)のエムトリシタビンとテノホビル
  • インテグラーゼ阻害剤(INSTI)のビクテグラビル

の配合錠です。

 

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ここからNRTIとINSTIの作用機序について解説していきます。

 

核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)の作用機序

エムトリシタビンとテノホビルは前述のウイルスの逆転写酵素を阻害する薬剤です。その結果、二本鎖DNAが合成できなくなり、その後の反応が全てストップします。

 

インテグラーゼ阻害剤(INSTI):ビクテグラビルの作用機序

ビクテグラビルは前述のウイルスDNAがヒトDNAに組み込まれる際に関与している「インテグラーゼ」を特異的に阻害する薬剤です。

 

インテグラーゼが阻害されることで、ウイルスDNAをヒトDNAへ組み込むことができなくなり、その後の増殖プロセスが全てストップしてしまいます。

 

このようにビクタルビ配合錠は

  • 逆転写酵素の阻害
  • インテグラーゼの阻害剤

によってウイルスの増殖を抑制する薬剤ですね。

 

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エビデンス紹介:初回治療の第Ⅲ相臨床試験(1489試験)

根拠となった臨床試験を一つご紹介します。2)

本試験は初回治療としてのトリーメク配合錠(ドルテグラビル/アバカビル/ラミブジン)に対するビクタルビ配合錠の非劣性を検証した国際共同第Ⅲ相臨床試験です。

 

本試験の結果、トリーメク配合錠に対するビクタルビ配合錠の非劣性が証明されています。また、有害事象はトリーメク配合錠(40%)よりもビクタルビ配合錠(26%)で低い発現頻度であったと報告されていました。

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

1回1錠を1日1回経口投与します。

 

薬価

現時点では未承認・薬価未収載です。

 

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まとめとあとがき

ビクタルビ配合錠はこんな薬

  • インテグラーゼ阻害薬(INSTI)×1剤と核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)×2剤の配合錠
  • 1日1回経口投与で治療が可能

 

HIV治療薬は現在多数の配合錠が承認・販売されており、今後も開発が進んでいます。

 

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今後は使い分け等が検討されれば興味深いと感じます。

 

以上、今回はHIVとビクタルビ配合錠の作用機序についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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