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ゼルボラフ(ベムラフェニブ)の作用機序と副作用【悪性黒色腫】

   

厚労省は2014年12月26日、「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とするゼルボラフ錠(一般名:ベムラフェニブ)を承認したと発表がありました。

今回は悪性黒色腫とゼルボラフ(ベムラフェニブ)の作用機序についてご紹介します。

 

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悪性黒色腫とは

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの1つであり、ほくろのような黒色のがんができることからこのような名前が付けられています。

発生部位は足底(足のうら)が最も多く、体幹、顔面、爪が続きます。

悪性黒色腫は早期発見できれば手術で取り除くことができますが、進行した場合は手術の適応とならず、抗がん剤による治療が行われます。

このような進行した悪性黒色腫の患者さんの予後は極めて悪く、その予後を有意に改善する薬物療法がないことから、新たな治療薬の開発が期待されていました。

 

BRAF遺伝子変異陽性の悪性黒色腫

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞はしばしば「EGFR」と呼ばれるタンパク質を発現していることあります。

因子であるEGFが、がん細胞のEGFRに結合すると、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

このシグナル伝達の中継点として「BRAF(“ビーラフ”と読みます)」や「MEK(“メック”と読みます)」が存在することが知られており、BRAFに伝わったシグナルはMEKに届けられ、核内まで届けられます。

 

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

ただし、因子であるEGFが存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません

 

悪性黒色腫の約20~30%の患者さんではBRAFの遺伝子に変異のあることが知られています。

これを「BRAF遺伝子変異陽性の悪性黒色腫」と呼んでいます。

BRAF遺伝子変異陽性の場合、因子であるEGFが存在しないにも関わらず、恒常的にBRAFから下流のシグナル伝達が核へと伝達されています。そのため、MEKも間接的に活性化していると考えられます。

このようにBRAF遺伝子に変異があると、常にがん細胞の増殖が活性化されています。

この変異のある患者さんではがん細胞の増殖速度や転移が促進されており、更には薬剤が効きにくいことから予後不良とされていました。

 

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ゼルボラフ(一般名:ベムラフェニブ)の作用機序

ゼルボラフは、BRAF遺伝子変異のあるBRAFを特異的に阻害する薬剤です!

変異したBRAFを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。

 

ゼルボラフ錠の副作用

主な副作用としては関節痛、発疹、筋骨格痛、脱毛症、疲労などがあります。

重大な副作用としては有棘細胞癌の発生、QT間隔延長、急性腎不全等がありますので注意が必要です。

 

あとがき

BRAF変異は悪性黒色腫だけでなく、大腸がんや様々な癌でもみられる変異です。

今後は悪性黒色腫以外のがんに対しても期待される薬剤ではないでしょうか♪

以上、本日は初めてのBRAF変異に対する薬剤であるゼルボラフをご紹介しました^^

 

2018年5月追記:
新規の類薬(BRAF阻害薬、MEK阻害薬)も登場してきています。


 
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