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キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序と副作用【肺がん】

更新日:

厚労省の薬食審医薬品第二部会は2018年11月29日キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))に関する以下の適応追加の承認を了承しました!

  1. 切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(非扁平上皮)の一次治療としてペメトレキセドおよびプラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法
  2. 切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(扁平上皮)の一次治療としてカルボプラチンおよびパクリタキセル(またはアブラキサン)併用療法

現時点では未承認のためご注意ください。

製薬会社

  • 製造販売元:MSD(株)
  • 販売提携:大鵬薬品工業(株)

 

キイトルーダは既に「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として非小細胞肺がんの一次治療で「単剤」として使用できます。

今回新たに抗がん剤と「併用」して用いる場合、PD-L1が陰性でも使用可能です!

 

抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用は、同時期に肺がんの一次治療として承認了承されたテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)とキイトルーダが初です!

 

今回は非小細胞肺がんとキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

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非小細胞肺がんと治療について

肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

また非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。

  1. 非扁平上皮がん
  2. 扁平上皮がん

非扁平上皮肺がん初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。

 

 

 

 

 

  • PD-L1陽性(50%以上)の場合:キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)単剤

 

  • 上記遺伝子等が全て陰性の場合:ゲムシタビン、パクリタキセル、ペメトレキセドなどと、白金製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)を併用し、適宜アバスチン(一般名:ベバシズマブ)を組み合わせて使用。

 

これまで、遺伝子等が全て陰性の場合、従来は抗がん剤しか選択肢がありませんでしたが、ここにキイトルーダ+アリムタ(一般名:ペメトレキセド)+白金製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)併用療法が使用可能となる見込みです。

 

また、同時に承認了承されたテセントリクもアバスチン+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法として使用可能となる見込みです。

 

一方、扁平上皮肺がんの一次治療としてキイトルーダを化学療法と併用して使用する場合、カルボプラチンおよびパクリタキセル(またはアブラキサン)併用療法として使用します。

 

がんと免疫チェックポイント

通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。

その一つに、がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1(ピーディーエルワン)」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。

 

PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。

 

本来、PD-L1やPD-1はT細胞が自己を攻撃しない(自己免疫抑制作用)のために体内に存在していますが、がん細胞はそれを逆手に取っています。

これを“免疫チェックポイント”と呼んでいます。

 

キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の作用機序

今回紹介するキイトルーダは、「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体薬」と呼ばれる、がん免疫療法薬です。

 

キイトルーダはT細胞の「PD-1」を特異的に抑制することで、がん細胞からのブレーキを解除させ、ヒト本来の免疫反応を活性化させます。

その結果、T細胞が、がん細胞を攻撃することでがん細胞を死に導く、といった作用機序を有しています☆

 

T細胞が活性化され、ヒト本来の免疫力によってがん細胞を攻撃しますので、従来の抗がん剤と比較して副作用が比較的少ないと言われています。

 

非扁平上皮肺がん一次治療のエビデンス紹介(単剤/併用)

非扁平上皮肺がんのエビデンスについて紹介します。

 

PD-L1陽性(50%以上)キイトルーダ単剤を使用する場合、根拠となった臨床試験は「KEYNOTE-024試験1)」です。

KEYNOTE-024試験は、PD-L1陽性(50%以上)、扁平/非扁平上皮がんの患者さんを対象に、キイトルーダ単剤群と抗がん剤治療群を比較する第Ⅲ相臨床試験です。

主要評価項目の無増悪生存期間(がんが大きくなるまでの期間)中央値は、キイトルーダ群で10.3か月、抗がん剤治療群で6.0か月と、有意にキイトルーダ群で延長していました(HR=0.50, P<0.001)。

 

一方、PD-L1の陽性/陰性によらず、キイトルーダ+アリムタ(一般名:ペメトレキセド)+白金製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)併用療法の根拠となった臨床試験は「KEYNOTE-189試験2)」です。

KEYNOTE-189試験は、PD-L1陽性/陰性、非扁平上皮がんの患者さんを対象に、キイトルーダ+アリムタ+白金製剤とアリムタ+白金製剤を比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

主要評価項目の全生存期間と無増悪生存期間は共にキイトルーダ併用群で有意に延長していました。

アリムタ+白金製剤キイトルーダ+
アリムタ+白金製剤
全生存期間中央値11.3か月未到達
HR=0.49, P<0.001
無増悪生存期間中央値4.9か月8.8か月
HR=0.52, P<0.001

 

 

※今回は割愛しましたが、扁平上皮肺がんにキイトルーダと抗がん剤を併用する根拠となった試験は「KEYNOTE-407試験」です。3)

 

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キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の副作用

単剤で使用する場合、抗がん剤よりは副作用が低いものの、免疫活性化に伴い自己免疫疾患(例:甲状腺機能異常、腸炎、一型糖尿病、肝炎、肺炎)等の発現が認められていますので注意が必要となります。

特に間質性肺炎では死亡例も報告されているため特に注意が必要です。

 

キイトルーダを抗がん剤と併用する場合、下痢、発疹、急性腎障害の発現頻度が高まる可能性がありますのでより注意が必要ですね。(KEYNOTE-189試験より)2)

 

まとめ・あとがき

キイトルーダはこんな薬

  • T細胞のPD-1を阻害する免疫チェックポイント阻害薬
  • 肺がんの一次治療として抗がん剤(化学療法)と併用して使用可能

 

肺がんに対しては既にオプジーボ(一般名:ニボルマブ)が承認されていましたが、初回からは使用できず、抗がん剤等に抵抗となった患者さんにしか使用できませんでした。

今回紹介したキイトルーダは初回治療(一次治療)から単剤の使用が可能で、今後は抗がん剤との併用でも使用が可能となる見込みです。

 

同時に承認了承されたテセントリク(一般名:アテゾリズマブ)も抗がん剤と併用が可能ですので、今後は両剤の使い分け等が検討されていくと思われます。

 

以上、今回は非小細胞肺がんとキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【薬剤師・講師】大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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