12.悪性腫瘍

エヌトレクチニブの作用機序【NTRK融合遺伝子陽性の固形がん/ROS1陽性の肺がん】

投稿日:

新規のROS1/TRK阻害剤であるエヌトレクチニブの製造販売承認申請が以下の疾患を対象に行われました!

  • NTRK融合遺伝子陽性の固形がん:2018年12月申請
  • ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん:2019年3月申請

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名
一般名エヌトレクチニブ
製品名の由来
製薬会社製造販売(仮):中外製薬(株)
効能・効果(予定)NTRK融合遺伝子陽性の固形がん
ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん
用法・用量
収載時の薬価薬価未収載

 

NTRK融合遺伝子陽性に関しては臓器を限定せずに臓器横断的(臓器非特異的)な承認となる見込みです!

 

新薬情報
臓器横断的な承認はMSI-Highの固形がんを対象にしたキイトルーダが初ですが、エヌトレクチニブはそれに次ぐ承認となる予定ですね。

 

またエヌトレクチニブは「先駆け審査指定制度」の対象品目でもあります。

 

今回はNTRK融合遺伝子やROS1融合遺伝子、エヌトレクチニブの作用機序やエビデンスについて解説しています。

 


NTRK遺伝子とTRKについて

新薬情報
ちょっとマニアックな話になってしまいますが、簡単に紹介しますね。

 

神経系細胞の増殖や記憶の定着等を担う受容体としてTRK(トロポミオシン受容体キナーゼ:tropomyosin receptor kinase)A/B/Cと呼ばれるタンパク質が知られており、これに増殖因子が結合することで神経系細胞の増殖が促されます。1)

 

TRKはNTRK(神経栄養受容体チロシンキナーゼ:neurotrophic tyrosine kinase)と呼ばれる遺伝子が転写・翻訳されることで合成されます。1)

 

参考

  • 転写:遺伝子(DNA)からmRNAを合成する過程
  • 翻訳:mRNAからタンパク質を合成する過程

 

またNTRK遺伝子とTRKには以下の3種類が存在しています。

  • NTRK1遺伝子⇒TRKA
  • NTRK2遺伝子⇒TRKB
  • NTRK3遺伝子⇒TRKC

NTRK遺伝子とTRKとは

 

新薬情報
このように神経系の細胞増殖に関与しているのがNTRK遺伝子とTRKですね。

 

NTRK融合遺伝子とは?

では続いて、NTRK遺伝子が異常になってしまう「NTRK融合遺伝子」について解説します。

 

何らかの原因でNTRK遺伝子とその他の遺伝子が転座(ひっくり返ってくっつく)してしまうことがあり、この結果、融合してできる異常な遺伝子を「NTRK融合遺伝子」と呼んでいます。

 

NTRK融合遺伝子から転写・翻訳して合成される異常なTRK融合タンパクは発がんの原因になったり、増殖因子がなくてもがんの増殖活性を促したりします。2)

NTRK融合遺伝子とがんの増殖機構

 

NTRK1融合遺伝子からはTRKA融合タンパク、NTRK2融合遺伝子からはTRKB融合タンパク、NTRK3融合遺伝子からはTRKC融合タンパクがそれぞれ合成されます。

 

NTRK融合遺伝子が関与するがん

NTRK融合遺伝子は全がんの1%程とされていますので、非常に稀ですが、主ながんの種類には以下があります。2)

  • 虫垂がん
  • 乳がん
  • 胆管がん
  • 大腸がん
  • 消化管間質腫瘍(GIST)
  • 乳児型線維肉腫
  • 肺がん
  • 悪性黒色腫
  • 膵臓がん
  • 甲状腺がん

 

新薬情報
今回ご紹介するエヌトレクチニブはNTRK融合遺伝子を認める切除不能な固形がんに対して承認が見込まれています。

 

ROS1融合遺伝子陽性の肺がん

少し話が変わりますが、非小細胞肺がんの1%程で「ROS1融合遺伝子」が認められることがあります。

 

先ほどのNTRK融合遺伝子と同じく、ROS1遺伝子と別の遺伝子が転座して融合してできる遺伝子で、これを元に合成されるのが「ROS1融合タンパク」です。

ROS1融合遺伝子とROS1融合タンパク

 

切除不能な非小細胞肺がんでROS1融合遺伝子が陽性の場合、基本的にはザーコリ(一般名:クリゾチニブ)が使用されます。3)

 

新薬情報
エヌトレクチニブはROS1融合タンパクの阻害作用も有することからザーコリと同様、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにも期待されています。

 

エヌトレクチニブの作用機序:ROS1/TRK阻害

エヌトレクチニブはROS1融合タンパクおよびTRK(TRKA/TRKB/TRKC)融合タンパクを選択的に阻害する新規の薬剤です!4-5)

 

下図のようにTRK融合タンパクやROS1融合タンパクを阻害することでがん細胞の増殖を抑制すると考えられています。

エヌトレクチニブの作用機序:TRK阻害とROS1阻害作用

 

エビデンス紹介

後日更新予定です。

 

根拠となった臨床試験には以下があります。

  • STARTRK-NG試験:海外第Ⅰ相
  • STARTRK-1試験:海外第Ⅰ相
  • ALKA-372-001試験:海外第Ⅰ相
  • STARTRK-2試験:国際共同第Ⅱ相(日本人を含む)

 

STARTRK-1試験とALKA-372-001試験については既に論文等で報告6)されていますが、その他の試験については論文未公表です。

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

後日更新予定です。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

エヌトレクチニブはこんな薬

  • ROS1融合タンパクおよびTRK(TRKA/TRKB/TRKC)融合タンパクを選択的に阻害する
  • NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対して臓器横断的な承認が見込まれる

 

臓器横断的な承認はMSI-Highの固形がんを対象にしたキイトルーダが初ですが、エヌトレクチニブはそれに次ぐ承認となる予定です。

MSI-Highの固形がんとキイトルーダについては以下の記事で解説しています☆

 

新薬情報
エヌトレクチニブはALK融合タンパク阻害作用4)もあるそうですので、今後はALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん等でも期待できるかもしれませんね。

 

以上、今回は少しマニアックな内容でしたが、NTRK融合遺伝子やROS1融合遺伝子、エヌトレクチニブの作用機序やエビデンスについて解説しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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