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テセルパツレブ(G47Δ:腫瘍溶解性ウイルス)の作用機序【悪性神経膠腫】

2021年1月5日、悪性神経膠腫を対象疾患とするがん治療用ウイルスのテセルパツレブ(G47Δ)の製造販売承認申請が行われました!

第一三共|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名未定
一般名テセルパツレブ
(開発コード:G47Δ)
製造販売第一三共(株)
効能・効果未定
用法・用量未定
収載時の薬価未収載

 

テセルパツレブ(G47Δ)は国内初となる「腫瘍溶解性ウイルス」で、再生医療等製品に分類されています。

ちなみにテセルパツレブより以前に、腫瘍溶解性ウイルスのCanerpaturev(開発コード:C-REV)が悪性黒色腫を対象に承認申請されていましたが、その後、申請が取り下げられました。(参考:タカラバイオのニュースリリース

 

木元 貴祥
腫瘍溶解性ウイルスはユニークな作用機序を有していることから、近年様々な製品の開発が進行していますよ。

 

今回は悪性神経膠腫こうしゅと腫瘍溶解性ウイルスであるテセルパツレブ(G47Δ)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 

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悪性神経膠腫と治療

脳内には神経細胞が多数存在していますが、その中でも栄養供給や神経伝達物質の伝達などを担う神経膠細胞こうさいぼう(別名:グリア細胞)が存在しています。

神経膠腫はこのグリア細胞が腫瘍化することで引き起こされる疾患で、グリオーマとも呼ばれてています。

 

神経膠腫はその悪性度によってグレード1~4に分類されていますが、グレード1は良性腫瘍です(基本、手術のみで完治)。そして、悪性度の高くなる2~4の治療は以下が一般的に行われています。1)

  • グレード2:手術±放射線療法±薬物療法
  • グレード3:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミドなど)
  • グレード4:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミド±ベバシズマブなど)

 

特にグレード4は最も悪性度が高く、膠芽腫こうがしゅ(グリオブラストーマ)とも呼ばれ、治療成績も満足のいくものではありませんでした。

 

今回ご紹介するテセルパツレブ(G47Δ)は悪性神経膠腫の中でも、グレード4の膠芽腫に対して治療効果が期待されています!

 

木元 貴祥
これまで治療選択肢が少なかったため、朗報ではないでしょうか。

 

さて、それではテセルパツレブの特徴である腫瘍溶解性ウイルスと特徴ついて解説していきます。

 

腫瘍溶解性ウイルスとは?

がん細胞に感染してがん細胞を死滅させるウイルスを総称して「腫瘍溶解性ウイルス」と呼んでいます。

アデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルスを用いた開発が進んでいますが、今回ご紹介するテセルパツレブは単純ヘルペスウイルスを用いたものです。

 

単純ヘルペスウイルスには以下の2種類が知られていますが、テセルパツレブはHSV-1の遺伝子を改変して作製された世界初のがん治療用遺伝子組換えヘルペスウイルス製剤です!

  • 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
  • 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)

 

木元 貴祥
“ヘルペス”と聞くと、口唇ヘルペスやヘルペス髄膜炎を思い浮かべてしまいますが、これががん細胞に効くというのは不思議ですね。

 

もし通常のヘルペスについて学びたい方は以下の記事で解説していますよ。

ファムビル(ファムシクロビル)の作用機序・特徴【再発型の単純疱疹】

続きを見る

 

単純ヘルペスウイルス1型は基本的には弱毒性であり、健常人でしたら7割が免疫を獲得しています。テセルパツレブはがん細胞内でのみ増殖することが可能ですので、正常細胞に感染することはありません。

また、予期せぬ副作用が出たとしても、抗ヘルペス薬を投与することで簡単に増殖をストップさせることができるのも特徴かと思います!

 

テセルパツレブ(G47Δ)の作用機序と特徴

テセルパツレブはがん細胞に直接注射して投与します(局所投与)。悪性神経膠腫は脳のがんのため、定位脳手術(局所麻酔)を行って投与する必要があります。

 

投与されたテセルパツレブはがん細胞に感染し、がん細胞内でどんどん増殖していきます。最終的には増殖したテセルパツレブによってがん細胞が破壊(腫瘍溶解)され、周囲にテセルパツレブが拡散されていきます。

テセルパツレブ(G47Δ)の作用機序と特徴:腫瘍溶解性ウイルス

 

拡散したテセルパツレブは別のがん細胞に次々に感染していき、腫瘍溶解を引き起こし続けることでがん細胞を死滅させていくといった作用機序です(直接的な作用)。

 

一方、テセルパツレブは正常細胞に感染しても増殖能力を発揮しないため、正常細胞にはほとんど影響を及ぼさないといった特徴もあります。

 

その他、死滅したがん細胞からは抗原が多量に提示されることから、体内の免疫系が活性化することも知られています。そのため、免疫チェックポイント阻害薬等の免疫に関与している薬剤と併用することで全身のがん細胞を攻撃できるといった作用も期待されています!(間接的な作用)

 

木元 貴祥
直接的な作用(がんに感染して破壊させる)と間接的な作用(体内の免疫系を活性化させる)によって抗腫瘍効果を発揮するのが腫瘍溶解性ウイルスの特徴ですね。

 

エビデンス紹介:国内第Ⅱ相試験

根拠となった国内第Ⅱ相臨床試験をご紹介します。2)

本試験は初期治療後に残存または再発した膠芽腫病変を有する膠芽腫患者さんを対象に、標準治療(手術+放射線療法+テモゾロミド)にテセルパツレブを上乗せした場合の生存期間について検討されました。

テセルパツレブは定位脳手術による腫瘍内投与(最大6回までの繰り返し投与。1回目と2回目は5~14日の間隔、3回目以降は4週間の間隔で投与)

 

主要評価項目である「1年生存割合」は中間解析時点で92.3%という結果でした。

 

木元 貴祥
論文等では未公表のため、後日更新したいと思います。

 

副作用

後日更新予定です。

前述の臨床試験2)では発熱(93.8%)、嘔吐(50.0%)、リンパ球数減少(50.0%)、悪心(43.8%)などが報告されています。

 

用法・用量

後日更新予定です。

前述の臨床試験2)では定位脳手術による腫瘍内投与が行われ、最大6回までの繰り返し投与(1回目と2回目は5~14日の間隔、3回目以降は4週間の間隔で投与)とされていました。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

テセルパツレブはこんな薬

  • 世界初の腫瘍溶解性ウイルス製品
  • がん細胞に特異的に感染し、正常細胞には影響を及ぼさない
  • 直接的な作用(がんに感染して破壊させる)と間接的な作用(体内の免疫系を活性化させる)によって抗腫瘍効果を発揮する

 

腫瘍溶解性ウイルスはユニークな作用機序で、正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。

 

木元 貴祥
現在、様々ながんで様々な腫瘍溶解性ウイルスの開発が進んでいますし、今後も期待できる治療概念ではないでしょうか。

 

以上、今回は腫瘍溶解性ウイルスであるテセルパツレブの作用機序やエビデンスについて解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. がん情報サービス|神経膠腫(グリオーマ)
  2. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構|脳腫瘍に対するウイルス療法の医師主導治験で高い治療効果を確認

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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