10.皮膚・骨格筋 12.悪性腫瘍

腫瘍溶解性ウイルス(Canerpaturev:C-REV/HF10)の作用機序【悪性黒色腫】

更新日:

既治療の切除不能な悪性黒色腫を対象疾患とするCanerpaturev(開発コード:C-REVまたはHF10)の製造販売承認申請が2019年3月に行われました!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名未定
一般名Canerpaturev
製薬会社製造販売:タカラバイオ(株)
販売:大塚製薬(株)?
効能・効果未定
用法・用量未定
収載時の薬価未収載

 

Canerpaturevは国内初となる「腫瘍溶解性ウイルス」で、再生医療等製品に分類されています。

 

新薬情報
腫瘍溶解性ウイルスはユニークな作用機序を有していることから、近年様々な製品の開発が進行していますよ。

 

今回は悪性黒色腫と腫瘍溶解性ウイルスであるCanerpaturev(C-REV)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 


悪性黒色腫とは

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの1つであり、ほくろのような黒色のがんができることからこのような名前が付けられています。

発生部位は足底(足のうら)が最も多く、体幹、顔面、爪が続きます。

 

悪性黒色腫は早期発見できれば手術で取り除くことができますが、発見時に他臓器に転移のあるような進行した場合は手術の適応とならず、抗がん剤や分子標的治療薬による治療が行われます。

 

初回治療(一次治療)として使用される薬剤には、遺伝子変異(BRAF遺伝子変異)の有無によって以下の選択肢があります。

参考BRAFの読み方は「ビーラフ」です。

 

 

上記のような一次治療を行っても残念ながらがん細胞が増悪してしまうことがあり、その後の治療選択肢は限られていました。

今回ご紹介するCanerpaturev(C-REV)は悪性黒色腫の二次治療としてヤーボイ(イピリムマブ)と併用して使用される見込みです。

 

新薬情報
それではCanerpaturevが関与する腫瘍溶解性ウイルスについて解説します。

 

腫瘍溶解性ウイルスとは

がん細胞に感染してがん細胞を死滅させるウイルスを総称して「腫瘍溶解性ウイルス」と呼んでいます。

アデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルスを用いた開発が進んでいますが、今回ご紹介するCanerpaturevは単純ヘルペスウイルスを用いたものです。

 

単純ヘルペスウイルスには以下の2種類が知られており、CanerpaturevはHSV-1を弱毒化したものです。

  • 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
  • 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)

 

新薬情報
“ヘルペス”と聞くと、口唇ヘルペスやヘルペス髄膜炎を思い浮かべてしまいますが、これががん細胞に効くというのは不思議ですね。

 

もし通常のヘルペスについて学びたい方は以下の記事で解説していますよ。

 

Canerpaturevの作用機序と特徴

Canerpaturevはがん細胞に直接注射して投与します(局所投与)。

 

投与されたCanerpaturevはがん細胞に感染し、がん細胞内でどんどん増殖していきます。最終的には増殖したCanerpaturevによってがん細胞が破壊(腫瘍溶解)され、周囲にCanerpaturevが拡散されていきます。

Canerpaturevの作用機序:腫瘍溶解性ウイルスの作用機序

 

拡散したCanerpaturevは別のがん細胞に次々に感染していき、腫瘍溶解を引き起こし続けることでがん細胞を死滅させていくといった作用機序です(直接的な作用)。

 

一方、Canerpaturevは正常細胞に感染しても増殖能力を発揮しないため、正常細胞にはほとんど影響を及ぼさないといった特徴もあります。

 

その他、死滅したがん細胞からは抗原が多量に提示されることから、体内の免疫系が活性化することも知られています。そのため、免疫チェックポイント阻害薬等の免疫に関与している薬剤と併用することで全身のがん細胞を攻撃できるといった作用も期待されています!(間接的な作用)

 

また、Canerpaturevは遺伝子工学的改変を一切行っていない自然変異型のウイルスですので、遺伝子組換え生物等の使用等に関する規制の対象となりません。1)

 

新薬情報
直接的な作用(がんに感染して破壊させる)と間接的な作用(体内の免疫系を活性化させる)によって抗腫瘍効果を発揮するのが腫瘍溶解性ウイルスの特徴ですね。

 

エビデンス紹介:国内第Ⅱ相試験

根拠となった国内第Ⅱ相臨床試験をご紹介します。2)

本試験は一次治療で既治療(90%の患者さんは抗PD-1抗体薬既治療)の悪性黒色腫患者さん28例を対象に、Canerpaturevとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法を検討した臨床試験です。

 

主要評価項目の「24週時点の最良抗腫瘍効果(irRC)」は7.4%という結果でした。また、1年生存割合は45.7%、生存期間中央値は318日と良好な結果が得られています。

 

副作用

後日更新予定です。

前述の臨床試験2)では低ナトリウム血症や腎障害などが報告されていました。

 

用法・用量

後日更新予定です。

前述の臨床試験2)では1週間隔で4回投与し、その後3週間隔で2回投与していました(計6回)。

 

薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

再生医療等製品の保険適用は、医薬品(薬価)医療機器(材料価格)か、個別に判断されます。

<平成 26 年 11 月5日 中医協総-2-1(抜粋)>

1.保険適用に係る今後の対応について

○ 再生医療等製品の保険適用に関する当面の間の対応
・薬事法改正後に承認(条件・期限付承認を含む。)された再生医療等製品については、保険適用の希望のあった個別の製品の特性を踏まえ、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、薬事承認の結果を踏まえて判断

 

※引用:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第285回) 議事次第

 

新薬情報
Canerpaturevが今後医薬品か医療機器か、どちらで保険適用されるかは中医協等で検討されていくと思います。

 

まとめ・あとがき

Canerpaturevはこんな薬

  • 国内初の腫瘍溶解性ウイルス製品となる予定
  • がん細胞に特異的に感染し、正常細胞には影響を及ぼさない
  • 直接的な作用(がんに感染して破壊させる)と間接的な作用(体内の免疫系を活性化させる)によって抗腫瘍効果を発揮する

 

腫瘍溶解性ウイルスはユニークな作用機序で、正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。

現在、様々ながんで様々な腫瘍溶解性ウイルスの開発が進んでいますし、既存製品との併用療法の検討も行われています。

 

新薬情報
膠芽腫を対象とした腫瘍溶解性ウイルスの「S-1647(G47△)」も2019年内には申請予定とのことですので、引き続き注視していきたいと思っています。

 

以上、今回は腫瘍溶解性ウイルスであるCanerpaturevの作用機序やエビデンスについて解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. タカラバイオ(株):Canerpaturev (C-REV)のページ
  2. 悪性黒色腫の国内第Ⅱ相臨床試験:2018年ESMO#1267P

薬剤師副業解禁!実体験してみたおすすめの働き方4選を解説

1日限定の単発・スポット派遣薬剤師で効率よく収入UP!?







★おススメの関連記事


薬剤師さんに自信を持っておススメできます!

\ 業務に活かせる /

こんな情報を配信!

  • 薬局で使える行動心理学を紹介
  • マネジメントスキルの解説
  • 役立つセミナー情報の配信
  • 成功している薬剤師・薬局さんのインタビュー

服薬指導、接客、職場の人間関係のヒントになる無料のメールマガジンです。

私も拝読していますが、なかなか普段の業務では知れない内容が多くて面白いですよ(特に行動心理学)。是非薬剤師のあなたも覗いてみてくださいね。|ω・`)

現場薬剤師のための課外授業

  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
薬剤師資格の確認

Twitter(フォロワー2,000人超)とFacebook(フォロワー14,000人超)でも配信中!

-10.皮膚・骨格筋, 12.悪性腫瘍
-, ,

Copyright© 新薬情報オンライン , 2019 All Rights Reserved.