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エルプラット(オキサリプラチン)の作用機序と副作用【膵臓がんFOLFIRINOX】

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2013年12月20日、厚労省は「治癒切除不能な膵臓がん」を対象としたエルプラット点滴静注液50mg/100mg/200mg(一般名:オキサリプラチン)を承認しました。

 

膵臓がんに対しては以下の薬剤を併用した「FOLFIRINOX療法」として使用が想定されるため、同日以下の薬剤も承認されています。

  • エルプラット(一般名:オキサリプラチン)
  • カンプト(一般名:イリノテカン)
  • 5-FU
  • アイソボリン(一般名:レボホリナート)

 

今回は膵臓がんの治療とエルプラット(オキサリプラチン)の作用機序・特徴についてご紹介します。

 

膵臓の働きと膵臓がん

膵臓は胃の後ろにある細長い臓器で、主な役割としては以下の2つです。

  • 食物の消化酵素の分泌(外分泌)
  • インスリン等のホルモンの産生(内分泌)

 

膵臓がんは膵臓にできる悪性腫瘍(がん)のことで、極めて予後の悪い代表的ながんです。

膵臓がんの初期には症状はあまり出ません。

しかし進行すると、腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腰背部痛、糖尿病といった症状が現れてきます。

 

膵臓がんの治療

進行具合に応じて治療が行われますが、早期の場合は手術によってがんを取り除く治療が原則です。

手術の後には再発を抑えるために抗がん剤治療(TS-1やジェムザール)が行われます。

 

しかし、発見時に他の臓器に転移のある場合、もしくは再発の場合は抗がん剤治療が原則です。

現在、膵臓がんの初回に使用できる治療法としては以下があります。

  • ジェムザール(一般名:ゲムシタビン)単剤
  • ジェムザール(一般名:ゲムシタビン)+アブラキサン
  • ジェムザール(一般名:ゲムシタビン)+タルセバ(一般名:エルロチニブ)
  • FOLFIRINOX療法(エルプラット+カンプト+5-FU+アイソボリン併用療法)
  • TS-1(一般名:S-1)
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今回ご紹介するエルプラットはFOLFIRINOX療法として使用します。

 

エルプラット(一般名:オキサリプラチン)の作用機序

がん細胞が増殖する際、まずDNAの複製が行われます。

二本鎖DNAが解かれて一本鎖DNAになり、その後ポリメラーゼ等によって複製が行われて二本鎖DNAが完成します。

 

エルプラットは、白金製剤(プラチナ製剤)に分類されている抗がん剤です。

がん細胞の二本鎖DNAに結合して架橋構造を形成することで、一本鎖DNAになることを阻害し、その後の複製反応をストップさせます。

その結果、がん細胞死(アポトーシス)を引き起こし、がん細胞の増殖が抑制できると考えられています。

 

エルプラット(FOLFIRINOX)の副作用

主な副作用には好中球減少、血小板減少、末梢神経障害、食欲不振、悪心・嘔吐などがあります。

特にFOLFIRINOX療法として使用する場合、4つの抗がん剤を併用していることから好中球減少が高頻度で発現します。従って、適切な減量や休薬を行う必要があります。

 

また、発熱性好中球減少症を発現する恐れもあるため、場合によってはG-CSF製剤(ジーラスタ)の予防的投与も考慮されます。

ジーラスタ(ペグフィルグラスチム)の作用機序と副作用【G-CSF製剤】

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その他、エルプラットに特異的な副作用として末梢神経障害があります。遷延することもあり、患者さんのQOL低下を招く副作用のため、十分に注意する必要があります。

 

エビデンス紹介(ACCORD11試験)

根拠となった臨床試験(ACCORD11試験)をご紹介します。1)

本試験は、遠隔臓器に転移のある膵臓がん患者さんの初回治療としてジェムザールとFOLFIRINOXを直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。

 

本試験の主要評価項目は「全生存期間」でした。

臨床試験名ACCORD11試験1)
試験群ジェムザールFOLFIRINOX
PFS中央値3.3か月6.4か月
HR=0.47, P<0.001
全生存期間中央値6.8か月11.1か月
HR=0.57, P<0.001
奏効率9.4%31.6%
P<0.001

PFS(無増悪生存期間):薬を投与してから、がんが大きく(増大)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

このように、無増悪生存期間、全生存期間、奏効率は全てジェムザールよりもFOLFIRINOXで良好な結果が得られています。

 

1)ACCORD11試験:N Engl J Med. 2011 May 12;364(19):1817-25.

 

エルプラットを用いた治療レジメン

エルプラットは単剤では使用することができない薬剤です。

 

従って、様々な薬剤と併用して用いられます。

このように、様々な薬剤と併用する治療を「レジメン」と呼んでいます。

 

主なレジメンには以下のようなものがあります。

膵臓がんではFOLFIRINOX療法として使用されます。

 

あとがき

切除不能な膵臓がん治療の選択肢としては、ジェムザール単剤、TS-1単剤、ジェムザール+アブラキサン、ジェムザール+タルセバ、FOLFIRINOX療法があります。

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今後は患者さんの状態や各薬剤の副作用に沿った使い分けが明示されれば良いなと思います。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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