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ミネブロ(エサキセレノン)の作用機序・特徴:セララとの違い【高血圧】

更新日:

厚労省の薬食審医薬品第一部会は2018年12月3日、「高血圧症」を効能・効果とするミネブロ錠1.25mg、同錠2.5mg、同錠5mg(一般名:エサキセレノン)の承認を了承しました!

現時点では未承認のためご注意ください。

製薬会社

製造販売元(仮):第一三共(株)

 

ミネブロはアルドステロン拮抗薬に分類されており、特にミネラルコルチコイド(MR)受容体に対して選択的な遮断作用を有しています。

類薬にはアルダクトンA(スピロノラクトン)セララ(エプレレノン)があります。

 

今回は高血圧症とミネブロ(エサキセレノン)の作用機序・特徴についてご紹介します。

 

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高血圧症とは

高血圧はよく聞く疾患だと思います。

健康診断等で引っかかった方も多いのではないでしょうか?

血圧とは血管内の圧力のことで、通常は動脈圧を意味しています。

 

血圧は心臓が収縮するとき(血液を全身に送り出す時)に最も高くなり、これが「収縮期血圧」(上の血圧)と呼ばれています。

また、心臓が拡張するとき(血液を心臓に取り込んでいる時)には最低となり、これが「拡張期血圧」(下の血圧)と呼ばれています。

 

血圧の正常値は、

  • 収縮期血圧:140mmHg未満
  • 拡張期血圧:90mmHg未満

で、どちらかがこれ以上であれば高血圧症と診断されます。

 

ただし、一度の血圧測定で診断するのではなく、繰り返し、色々な場面で測定を行って、最終的に診断されます。

 

高血圧の症状

通常、高血圧になったとしても自覚症状はありません

しかしながら、放置してしまうと、脳出血・脳梗塞、心筋梗塞・心不全、不整脈、腎不全、大動脈瘤、脈硬化症といった多くの合併症を引き起こす原因となります。

 

従って、早期から治療を開始することが望ましいとされています。

 

高血圧症の治療

高血圧の治療の基本は「生活習慣の改善」です。

 

生活習慣の改善項目は以下の6項目があります。

  1. 食塩制限
  2. 野菜や果物の摂取とコレステロール・飽和脂肪酸の制限
  3. 適正体重の維持
  4. 運動療法
  5. アルコール制限
  6. 禁煙

これら生活習慣の改善を行っても高血圧が改善しない場合、薬物療法が行われます。

 

高血圧の治療薬(薬物療法)

高血圧治療薬の種類としては、以下のものがあります。

  • カルシウム(Ca)拮抗薬
  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬)
  • ACE阻害薬
  • 利尿薬
  • β遮断薬
  • アルドステロン拮抗薬

 

第一選択薬としては以下の積極的適応1)を考慮して選択されます。

Ca拮抗薬ARB/
ACE阻害薬
サイアザイド系
利尿薬
β遮断薬
左心肥大
心不全*1*1
頻脈
(非ジヒドロピリミジン系)
狭心症*2
心筋梗塞後
CKD(蛋白尿-)
CKD(蛋白尿+)
脳血管障害慢性期
糖尿病/
メタボリックシンドローム
骨粗鬆症
誤嚥性肺炎
(ACE阻害薬)

*1:少量から開始し、注意深く漸増する。
*2:冠攣縮性狭心症には注意。

 

患者さんの合併症や状態に合わせて上記の薬剤の単剤治療から治療が開始されます。

単剤治療で効果が認められない場合、増量もしくは2種類以上の薬剤を適宜併用して治療を継続します。

 

よく用いられる薬剤としては、ARBもしくはCa拮抗薬の単剤もしくはそれらの併用療法だと思います。

 

今回ご紹介するミネブロはアルドステロン拮抗薬に分類されていますが、第一選択からはなかなか使用されない薬剤で、治療抵抗性高血圧や低レニン性高血圧に対して有用とされています。1)

 

それではミネブロの関与するレニン-アンジオテンシン系とアルドステロンについて説明します。

 

1)高血圧治療ガイドライン2014

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レニン-アンジオテンシン系とアルドステロン

体内には、血圧や体液バランスを保つために「レニン-アンジオテンシン系」と呼ばれる調節機構があります。

 

腎臓の糸球体の壁には傍糸球体装置と呼ばれる部位があり、血圧を感知して、レニンと呼ばれる物質の分泌を調節しています。

 

分泌されたレニンは、肝臓で合成された「アンジオテンシノーゲン」を「アンジオテンシンⅠ(ATⅠ)」に変換します。

その後、ATⅠは血管内皮細胞膜にあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)により「アンジオテンシンⅡ(ATⅡ)」に変換されます。

 

ATⅡが結合がAT1受容体に結合することで強力な血管収縮作用に伴う血圧上昇を引き起こします。

その他、ATⅡが副腎に作用することでアルドステロンの分泌が促進されます。

 

アルドステロンは腎臓の遠位尿細管に存在しているミネラルコルチコイド(MR)受容体に作用し、水の再吸収を促進させます。

 

その結果、体液が貯留し、高血圧を促進させると考えられています。

 

ミネブロ(エサキセレノン)の作用機序

ミネブロはアルドステロンの作用するミネラルコルチコイド(MR)受容体を選択的に遮断する薬剤です。

 

水の再吸収が阻害され、水は尿から体外へと排出されます。その結果、体液量が減少して血圧低下作用を示すと考えられています。

 

エビデンス紹介:ESAX-HTN試験

根拠となった臨床試験は国内第Ⅲ相試験のESAX-HTN試験があります。2)

現時点では学会発表しかありません。論文未公開です。

 

本態性高血圧症患者さんを対象にセララ(一般名:エプレレノン)に対するミネブロ(2.5mg/日 or 5.0mg/日)の降圧効果を比較した試験です。

 

主要評価項目は「12週時の座位血圧(収縮期及び拡張期)のベースラインからの変化量」で、セララに対するミネブロ2.5mgの非劣性が検証されました。

その他、ミネブロ2.5mgに対するミネブロ5.0mgの優越性も検証しています。

試験群セララ群ミネブロ
2.5mg群
ミネブロ
5.0mg群
座位血圧のベースラインからの変化量
(収縮期/拡張期)
−12.1/−6.1mmHg−13.7/−6.8mmHg−16.9/−8.4mmHg
セララに対するミネブロ2.5mgの非劣性非劣性が証明-
ミネブロ2.5mgに対するミネブロ5.0mgの優越性-優越性が証明

 

このようにミネブロ2.5mgではセララと同程度の降圧効果が得られています。

また、ミネブロを5.0mgに増量することでより降圧効果が高まることが示されました。

 

2)ESAX-HTN試験:Journal of Hypertension: June 2018 - Volume 36 - Issue - p e239 doi: 10.1097/01.hjh.0000539672.65099.dd

 

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ミネブロ錠の用法・用量

2.5mgを1日1回経口投与します。

なお、効果不十分な場合は、5mgまで増量することができます。

 

ミネブロ錠の副作用

後日更新予定です。

アルドステロン拮抗薬に共通する副作用としては高カリウム血症があります。

 

ミネブロ錠の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

ミネブロの特徴と類薬(アルダクトン、セララ)との違い

同様の作用機序(アルドステロン拮抗薬)としてはアルダクトンA(スピロノラクトン)セララ(エプレレノン)があります。

 

第一世代のアルダクトンはMR受容体への選択性が低く、性ホルモン受容体等にも作用してしまうため、男性の女性化乳房、陰萎、月経痛などの副作用が懸念されていました。

その後、MR受容体選択性を高めた第二世代のセララが登場し、上記の副作用が少なくなりました。

 

ミネブロはMR受容体選択性が高く、かつ非ステロイド型の薬剤です。

現時点ではステロイドか非ステロイドかの差は不明瞭ですが、もしかすると副作用等に違いがみられるかもしれません。

製品名アルダクトンAセララミネブロ
一般名スピロノラクトンエプレレノンエサキセレノン
高血圧症の用法分割経口投与1日1回1日1回
MR受容体選択性低い高い高い
ステロイド骨格有り有り無し
(非ステロイド型)

 

まとめ・あとがき

ミネブロはこんな薬

  • アルドステロン拮抗薬として初の非ステロイド型
  • ミネラルコルチコイド受容体選択的遮断作用
  • セララと同程度の降圧効果(2.5mgの場合)
  • 5.0mgに増量することで降圧効果が高まる

 

アルドステロン拮抗薬は高血圧症の第一選択薬としてはあまり使用されていませんし、降圧作用もARBやCa拮抗薬より弱いと言われています。

 

ミネブロ5.0mgはセララと比較して降圧作用が強力と考えられますが、やはりARBやCa拮抗薬等に抵抗性となった場合に使用が考慮されますので、今後の検討が期待されるところかと感じました。

 

以上、今回は高血圧症とミネブロ錠(エサキセレノン)の作用機序と特徴についてご紹介しました!

 

ARBの作用機序や一覧表については以下の記事をご覧ください☆

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。FP資格あり。

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