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レミケード(インフリキシマブ)の作用機序とバイオ後続品【潰瘍性大腸炎】

2018年7月2日、厚労省インフリキシマブBS点滴静注用100mg「ファイザー」[インフリキシマブ後続3] を承認しました。

 

インフリキシマブBSは2014年に「NK」が初の承認を取得し、その後、以下の製品も承認されています。

  • インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」
  • インフリキシマブBS点滴静注用100mg「あゆみ」
  • インフリキシマブBS点滴静注用100mg「CTH」

 

いずれも2020年4月現在、以下の適応(一部略)を有しています。

 

今回はバイオ後続品について、そして潰瘍性大腸炎とレミケード(インフリキシマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

バイオ後続品(バイオシミラー)とは

通常、低分子医薬品の後発医薬品(ジェネリック医薬品)は主成分の構造式が全くの同一です。構造式が同一であれば、生体内の作用・副作用も先発医薬品と同一であるとみなされています。

ただし、先発医薬品とジェネリック医薬品では添加剤や製法等は異なることがあります。

最近では、先発医薬品と添加剤や製法等も全く同一の「オーソライズド・ジェネリック(AG)」も登場しています。

 

一方、抗体薬に代表されるバイオ医薬品は、低分子の医薬品と比べて分子量が非常に大きく、また三次構造等の複雑な構造をしていることから、先発医薬品と主成分が全く同じであることを証明することが困難です。

従って、生体内の作用・副作用も先発医薬品と同一でない可能性があります。

 

そのため、作用や副作用が先発医薬品と同一かを検証するために、臨床試験を行い、同一性を証明する必要があります。

厚労省に提出する申請資料として、低分子のジェネリック医薬品では最大4種類ですが、バイオシミラーでは臨床試験成績を含む最大20種類に上ります。

 

今回ご紹介するインフリキシマブBSは、臨床試験でも同一性が証明されたため、承認に至っています。

 

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患(炎症を伴う腸疾患)の1つであり、大腸の粘膜に炎症が起き、ただれたり、潰瘍が発生する疾患です。

好発年齢は10歳代後半~30代前半で、比較的若年者にみられます。

 

主な自覚症状としては、粘血便、下痢、腹痛などの症状が持続的かつ反復的にみられ、症状が悪化すると体重減少や発熱など、全身の症状が起こることもあるようです。

特に初期症状としては粘血便が多いとされています。

 

潰瘍性大腸炎の多くは、寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(症状が悪化している状態)を繰り返します。

長い経過のなかでは、徐々に病気が進行し、重大な合併症を引き起こすこともあり、さらに、長期間罹患していると、大腸がんの発現率も高くなると言われています!!

 

潰瘍性大腸炎の原因

明確な原因は未だ不明とされていますが、

  • 免疫異常等の遺伝因子
  • 食習慣等の環境因子
  • ストレス等の心理学的因子

が複雑に関与して発症すると考えられています。

 

何らかの自己免疫異常によって、免疫細胞(白血球)が自分自身の大腸粘膜を「異物」としてみなして攻撃してしまうことで大腸粘膜に炎症が引き起こされます。

このような持続的な自己免疫異常が潰瘍性大腸炎の発症と炎症の持続に関与すると言われています。

 

白血球(マクロファージ、顆粒球、T細胞)が大腸粘膜を攻撃する際、血中の白血球は以下のプロセスで大腸粘膜まで移動し、攻撃を行います。

  1. 血管内皮細胞に接着する
  2. 組織内に入る(浸潤
  3. 攻撃する部位(この場合、大腸粘膜)に移動する(“遊走”と呼びます)
  4. 大腸粘膜を攻撃し、炎症を引き起こす

 

また、マクロファージが粘膜を攻撃する際、TNFαやIL-12、IL-23などの炎症物質を過剰に分泌することで炎症を引き起こします。

 

潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎は、その病状により、「軽症」「中等症」「重症」に分類されております。

 

潰瘍性大腸炎は原因が不明であるため、腸管の炎症を抑えて症状を鎮め寛解に導くこと、そして炎症のない状態を維持(寛解状態)することが治療の主な目標になります。

治療は薬物療法が主体となりますが、薬物療法が有効でない場合や腸閉塞、穿孔などの合併症では外科治療血球成分除去療法などが行われることもあります。

 

初期に行う主な薬物療法は、以下の薬剤があり、重症度によって適宜併用して用います。

  • 5-ASA製剤:メサラジン、サラゾスルファピリジン
  • 副腎皮質ホルモン:ブレドニゾロン、ブデソニド
  • 免疫調整薬:アザチオプリン、6-メルカプトプリン

 

これらの薬剤を使用しても症状が改善しない場合、「難治」とされ、生物学的製剤(抗TNFα抗体製剤)の使用が検討されます。

このような難治性の中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対して使用できる薬剤がレミケードです。

レミケード(一般名:インフリキシマブ)の作用機序

レミケードはマクロファージ等が分泌する炎症物質の「TNFα」に結合してその働きを抑制するモノクローナル抗体製剤です。

 

 

TNFαの働きが抑制されることで炎症が抑えられ、潰瘍性大腸炎の症状が緩和するといった作用機序を有しています。

 

副作用として、結核・肺炎・敗血症等を含む重篤な感染症の発現を認めることがありますので、十分注意が必要です。

 

レミケード(一般名:インフリキシマブ)の類薬

同様の効能効果と作用機序(抗TNFαモノクローナル抗体薬)を有する抗体製剤には以下の2種類があります。

 

レミケードは点滴ですが、シンポニーとヒュミラは皮下注です。

 

あとがき

今後は類薬との使い分け等が検討されれば興味深いと感じます。

 

2018年には、リンパ球(T細胞)が血管内皮細胞に接着する際に関与する「α4β7インテグリン」を特異的に阻害するモノクローナル抗体薬のエンタイビオ(一般名:ベドリズマブ)も登場しました。

T細胞の接着が阻害されることで、組織への浸潤炎症部位への遊走も阻害されるといった新規作用機序を有する薬剤のため、今後期待できると思われます。

 

以上、本日は潰瘍性大腸炎とレミケードのバイオシミラーであるインフリキシマブBSについてご紹介いたしました♪

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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