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オプジーボとヤーボイ併用療法の作用機序【悪性黒色腫・腎細胞/大腸がん】

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オプジーボ(ニボルマブ)とヤーボイ(イピリムマブ)の併用療法について、2019年11月にMSI-Highエムエスアイ ハイの大腸がんへの適応拡大承認申請が行われました。

小野薬品|申請のニュースリリース

現時点では上記適応は未承認です。

基本情報

製品名オプジーボ点滴静注20mg/100mg/240mg
一般名ニボルマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来optimal(最適な)+PD-1+nivolumab(一般名)から命名
製薬会社製造販売:小野薬品工業(株)
プロモーション提携:ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株)
効能・効果●悪性黒色腫
●切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
●根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
●再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
●再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
●がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
●がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
●がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん(予定)

「※」はヤーボイ併用療法も可な疾患

 

MSI-Highの大腸がんに対しては2019年3月にオプジーボ単剤でも承認申請が行われていますので、まずは単剤の承認の方が早いと思われます。

小野薬品|申請のニュースリリース

 

木元 貴祥
今回はオプジーボとヤーボイを併用する以下の適応疾患を中心に解説していきます。

 

ちなみに、標準治療が困難なMSI-Highの固形がんに対しては、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)が2018年12月に臓器横断的な承認を取得しています。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【MSI-Highの固形がん、胃・食道・頭頚部がん】

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悪性黒色腫とその治療

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの1つであり、ほくろのような黒色のがんができることからこのような名前が付けられています。

発生部位は足底(足のうら)が最も多く、体幹、顔面、爪が続きます。

 

悪性黒色腫は早期発見(StageⅠ~Ⅲの一部)できれば手術で取り除くことができ、その後は基本的に経過観察(無治療)でした。

 

しかし、StageⅢでBRAF遺伝子に変異がある場合、無治療では再発のリスクが高く、この場合、タフィンラー(ダブラフェニブ)+メキニスト(トラメチニブ)併用療法が行われます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

タフィンラー/メキニストの作用機序【悪性黒色腫(進行・再発/術後)】

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また、BRAF遺伝子に変異が無い場合でも悪性黒色腫は術後の再発リスクが高いため、オプジーボ(ニボルマブ)やキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の単剤による術後投与が行われることもあります。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【悪性黒色腫(進行・再発/術後)】

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一方、発見時に進行している場合(StageⅣ)は手術の適応とならず、抗がん剤や分子標的治療薬による治療が行われます。

 

主に使用される薬剤は以下があります。

 

主には「ビラフトビ+メクトビ」と「タフィンラー+メキニスト」が使用されていますが、両治療法の比較等については以下の記事で考察しています。

ビラフトビ/メクトビ併用療法の作用機序:タフィンラー/メキニストとの比較【悪性黒色腫】

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  • BRAF遺伝子変異無しの場合:免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、ヤーボイ、キイトルーダ)の単剤投与、オプジーボ+ヤーボイ併用療法

 

木元 貴祥
2018年5月に初めて免疫チェックポイント阻害薬同士(オプジーボ+ヤーボイ)の併用療法が承認されていますね。

 

その後、腎細胞がんでも併用療法が承認(2018年8月)されていきました。

 

腎臓とは

腎臓は、ちょうど背骨の両側の、腰の高さのところに左右1つずつある臓器で、大きさは握りこぶしくらいのソラマメのような形をしています。

 

主な働きはご存知の通り、原尿の生成です。

原尿は「腎実質」と呼ばれる部位で血液を濾過(糸球体で濾過される)して生成されます。

その後、原尿は腎盂に集められた後に、尿管、膀胱を通っていきます。

 

腎細胞がんと治療薬

腎臓の中でも、腎実質の細胞から発生するのが腎細胞がんです。

腎細胞がんは初期では手術で取り除くことが可能ですが、肝臓や他臓器に転移が認められる場合、手術で取り除くことが困難になります。

 

一般的に、他の臓器のがんでは、手術により切除できない場合や他の臓器に転移が見られた場合には、抗がん剤による化学療法が行われます。

 

しかし、腎細胞がんの場合、これまでの抗がん剤ではがんに対する感受性が低く、一般的に化学療法が行われることはありませんでした。

かつて、薬物治療として唯一行われてきたのが、インターフェロンα(IFN-α)製剤やインターロイキン2(IL-2)製剤を用いたサイトカイン療法でした。

 

その後、分子標的治療薬として以下の薬剤が登場し、現在ではこれらの薬剤が一次治療の中心です。

  • オプジーボ+ヤーボイ併用療法
  • スーテント(一般名:スニチニブ):チロシンキナーゼ阻害薬
  • ヴォトリエント(一般名:パゾパニブ):チロシンキナーゼ阻害薬
  • ネクサバール(一般名:ソラフェニブ):チロシンキナーゼ阻害薬
  • トーリセル(一般名:テムシロリムス):mTOR阻害薬
  • アフィニトール(一般名:エベロリムス):mTOR阻害薬

 

これら薬剤の使い分けですが、下記のIMDCリスク分類(低・中・高リスク)による使い分けがよく行われています。

予後予測の6因子何項目当てはまるか
0個1-2個3個以上
  1. 初診から治療開始まで1年未満
  2. 全身状態(KPS)が80%未満
  3. 貧血
  4. 補正カルシウム値の上昇
  5. 好中球数増加
  6. 血小板数増加
低リスク中リスク高リスク

 

低リスクにはスーテントやネクサバールなどの分子標的治療薬単剤、中・高リスクにはオプジーボ+ヤーボイ併用療法が用いられることが多いです。

 

今後は免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダやバベンチオ)とインライタ(一般名:アキシチニブ)併用療法の登場も期待されています。

バベンチオ/キイトルーダ+インライタの作用機序【腎細胞がん】

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木元 貴祥
益々使い分けが困難になりそうですね・・・(笑)

 

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の大腸がん

マイクロサテライトとは、正常細胞のDNAに存在する2から4塩基程度の単純な繰り返し配列のことを指します。

 

よくある例としては、シトシン(C)とアデニン(A)が交互に繰り返されるCAリピートと呼ばれるマイクロサテライトが有名です。

 

このようなマイクロサテライトの配列の長さが、正常細胞とがん細胞で異なってしまうことを「マイクロサテライト不安定性(MSI)」と呼んでいます。

 

例えば、正常細胞ではマイクロサテライトの繰り返しが10回のところ、がん細胞では2回しか繰り返していなかったり、30回繰り返されていたりします。

 

 

正常細胞のDNAの修復機構がうまく機能していないほど、がん細胞のマイクロサテライト不安定性が高頻度に見られてしまいます。

これを高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼んでいます。

 

発見時に手術のできない進行・再発の大腸がんの場合、約5%にMSI-Highが認められると言われています。

 

通常、抗がん剤による化学療法+アバスチン等の分子標的治療薬が基本ですが、これらに効かなくなった場合、オプジーボとヤーボイ併用療法の有効性が報告されています!

現時点では未承認

アバスチン(ベバシズマブ)の作用機序とバイオシミラー【大腸がん】

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木元 貴祥
それではここからがんと免疫チェックポイントについて解説します。

 

がんと免疫チェックポイント

通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。

がんが生体内の免疫反応から逃れる機構を免疫チェックポイントと呼んでいます。

 

オプジーボとヤーボイが関与する免疫チェックポイントには2種類ありますので、順番にご紹介いたします。

 

PD-L1とPD-1

がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1(ピーディーエルワン)」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。

 

PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。

 

木元 貴祥
本来、PD-L1やPD-1はT細胞が自己を攻撃しない(自己免疫抑制作用)のために体内に存在していますが、がん細胞はそれを逆手に取っています。

 

B7とCTLA-4

通常、がん細胞を発見した抗原提示細胞はT細胞に抗原を提示し、「がん細胞を攻撃する」ように指令を出します。

指令を受けたT細胞はがん細胞を攻撃し、排除しようとします。

 

しかしながら、抗原提示細胞は「B7」と呼ばれる分子を発現することがあり、B7がT細胞の「CTLA-4」に結合すると、T細胞の活性が抑制されます。

 

本来、B7やCTLA-4はT細胞が自己を攻撃しない(自己免疫抑制作用)のために体内に存在していますがこれも逆手に利用されているわけですね。

 

オプジーボ+ヤーボイ併用療法の作用機序

オプジーボがPD-1ヤーボイがCTLA-4をそれぞれ阻害するため、これらを併用するとT細胞の活性化がより顕著になります。

 

その他にもがん細胞内には、制御性T細胞(Treg:“ティーレグ”と読みます)が存在していることが知られています。

 

このTregにはCTLA-4が多量に発現していて、CTLA-4が抗原提示細胞(樹状細胞)に作用することで、樹状細胞の活性が低下してしまいます。

ヤーボイはTregのCTLA-4も阻害することが可能なため、Tregの活性化を抑制し、樹状細胞を活性化することでがんに対する免疫活性を高めることが可能です!

 

このように

  • オプジーボによるT細胞とがん細胞のブレーキ解除
  • ヤーボイによる抗原提示細胞からのブレーキ解除

によって、各単剤治療よりもT細胞が活性化され、がん細胞を排除できると考えられています。

 

悪性黒色腫のエビデンス紹介

悪性黒色腫で術後補助療法のオプジーボ単剤治療、進行・再発の場合のオプジーボとヤーボイ併用療法のエビデンスをご紹介します。

 

術後補助療法:CheckMate-238試験

本試験は、根治切除後の再発リスクが高いステージⅢb/cまたはステージⅣの悪性黒色腫患者さんを対象に、ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)とオプジーボを比較した第Ⅲ相試験です。1)

治療期間は共に12か月(1年)間です。

 

本試験の主要評価項目は「無再発生存期間(RFS)」でした。

臨床試験名CheckMate 238試験
試験群ヤーボイオプジーボ
12か月時点のRFS率*60.8%70.5%
HR=0.65, P<0.001

*12か月RFS(無再発生存期間)率:12か月時点で再発せずに生存されている割合

 

木元 貴祥
このようにヤーボイと比較してオプジーボでは有意に再発率を低下させることが示されました。

 

進行・再発の場合:CheckMate-067試験

進行・再発でオプジーボ+ヤーボイ併用療法の根拠となった臨床試験をご紹介します。

 

本試験は、BRAF遺伝子変異有無を問わず、未治療の悪性黒色腫患者さんを対象にオプジーボ単剤群、ヤーボイ単剤群、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群を直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。2)

 

主要評価項目の無増悪生存期間、全生存期間は共に単剤群と比較して併用療法群で有意に延長していました。

オプジーボ単剤ヤーボイ単剤オプジーボ+
ヤーボイ併用療法
無増悪生存期間中央値*6.9か月2.9か月11.5か月
全生存期間中央値37.6か月19.9か月未到達

*治療を開始してから、がんが大きく(増大)するまでの期間

 

腎細胞がんのエビデンス紹介:CheckMate-214試験

腎細胞がんの根拠となった臨床試験を一つご紹介します。

本試験は未治療の進行腎細胞がん患者さんを対象に、スーテント(一般名:スニチニブ)群とオプジーボ+ヤーボイ併用療法群を直接比較する第Ⅲ相臨床試験です。3)

 

主要評価項目は「中・高リスク」の患者さんにおける「全生存期間」、「無増悪生存期間」、「奏効率」でした。

以下は中・高リスク患者さんにおける結果です。

試験群スーテント群オプジーボ+
ヤーボイ併用療法群
全生存期間中央値26.0か月未到達
HR=0.63, p<0.001
無増悪生存期間中央値8.4か月11.6か月
HR=0.82, p=0.03(←有意では無い)
奏効率27%42%
p<0.001

†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

このように、今までの標準治療であるスーテントと比較して、オプジーボ+ヤーボイ併用療法は有意に生存期間を延長することが示されました。

 

MSI-High大腸がんのエビデンス:CheckMate-142試験

MSI-High大腸がんの根拠となった臨床試験をご紹介します。4)

 

本試験はフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤(5-FU系薬剤)を含む化学療法で増悪したMSI-Highの進行・再発大腸がん患者さんを対象に、オプジーボ単剤療法とオプジーボ+ヤーボイ併用療法を検討した国際共同第Ⅱ相臨床試験です。

 

オプジーボ+ヤーボイ併用療法の9か月時点の生存率は87%、12か月時点の生存率は85%という結果でした。

 

木元 貴祥
二次・三次治療以降を対象としていてこの結果はすごいですね・・。

 

あとがき

現在、免疫チェックポイント阻害薬の開発は多く行われています。

 

初の免疫チェックポイント阻害薬として登場したオプジーボは本庶佑氏のノーベル医学・生理学賞(2018年)にも繋がっていますので非常に話題性がありました。

 

2018年5月には初の免疫チェックポイント阻害薬同士(オプジーボ+ヤーボイ)の併用療法が承認され、同年12月には初の免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダやテセントリク)+化学療法が承認されています。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん】

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今後も免疫チェックポイント阻害薬+分子標的治療薬の開発が進行していますので、治療の向上が期待できますね!

バベンチオ/キイトルーダ+インライタの作用機序【腎細胞がん】

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以上、今回はオプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用療法の適応疾患とその作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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