5.内分泌・骨・代謝系

イベニティ皮下注(ロモソズマブ)の作用機序と副作用【骨粗鬆症】

更新日:

厚労省の薬食審医薬品第一部会は2018年12月3日、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果とするイベニティ皮下注105mgシリンジ(一般名:ロモソズマブ(遺伝子組換え))の承認を了承しました!

現時点では未承認のためご注意ください。

製薬会社

製造販売元(仮):アステラス・アムジェン・バイオファーマ(株)

 

イベニティは初の「抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤」に分類されている薬剤です。

今回は骨粗鬆症とイベニティ(ロモソズマブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介します。

 

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骨の代謝(リモデリング)

骨には大きく以下の2つの役割があります。

  • 体の骨格維持
  • 電解質バランス(特にカルシウム)の維持

 

これらの役割を果たすために、骨は「リモデリング」と呼ばれる代謝を繰り返して、常に丈夫な骨が保たれています。

 

リモデリングに関わる細胞には、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」が知られています。

破骨細胞が古くなった骨を壊し(“骨吸収”と呼びます)、壊された部分に骨芽細胞が新しい骨を作ります(“骨形成”と呼びます)。

 

このようなリモデリングがバランス良く行われることで、約2年で全身の骨が作り替えられと言われています。

 

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症は、加齢やホルモンバランス等により、このリモデリングのバランスが崩れ、破骨細胞による骨吸収が過剰になって引き起こされます。

その原因の一つと言われているのが、骨細胞から分泌される糖タンパク質である「スクレロスチン」です。

 

スクレロスチンは加齢・閉経・糖尿病などによってその分泌量が増えると考えられており、主な働きとしては、

  1. 破骨細胞(骨吸収)の活性化
  2. 骨芽細胞(骨形成)の抑制

です。

 

即ち、スクレロスチンによって破骨細胞が活性化され、骨吸収が過剰に引き起こされることで、骨はどんどんと脆くなり、骨折しやすくなります。

これが骨粗鬆症です。

 

骨粗鬆症の治療

治療の中心は薬物療法ですが、並行して運動療法や食事療法も行われます。

 

主に使用されている薬剤の分類は以下の通りです。

  • 骨吸収抑制薬:エストロゲン製剤、ビスホスホネート製剤、SERM、デノスマブ、カルシトニン製剤など
  • 骨形成促進薬:活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤など
  • その他:カルシウム製剤

 

主に用いられるのは骨吸収抑制薬でしょうか。

今回ご紹介するイベニティは骨吸収抑制作用骨形成促進作用を併せ持つといった特徴があります!

 

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イベニティ皮下注(一般名:ロモソズマブ)の作用機序・特徴

イベニティはスクレロスチンを特異的に阻害するヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤です。

 

スクレロスチンの作用が抑制されることで、

  1. 破骨細胞(骨吸収)の抑制
  2. 骨芽細胞(骨形成)の活性化

によって骨形成が促進され、リモデリングのバランスが保たれると考えられます。

 

エビデンス紹介

根拠となった臨床試験は以下の2つがあります。共に骨折の危険性が高い骨粗鬆症患者さんを対象にしています。

  1. 閉経後女性の骨粗鬆症を対象にした試験:FRAME試験1)
  2. 男性の骨粗鬆症を対象にした試験:BRIDGE試験2)

 

FRAME試験:閉経後女性の骨粗鬆症

本試験は閉経後の女性の骨粗鬆症患者さんを対象にイベニティとプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験です。1)

イベニティとプラセボの月1回投与を12か月間行い、その後は両群共にプラリア(一般名:デノスマブ)の半年投与を12か月間行います。

 

本試験の主要評価項目は「新規脊椎骨折累積発生率(12か月時点および24か月時点)」です。

試験群イベニティ
→プラリア群
プラセボ
→プラリア群
12か月時点の
新規脊椎骨折累積発生率
0.5%1.8%
risk ratio=0.27, p<0.001
24か月時点の
新規脊椎骨折累積発生率
0.6%2.5%
risk ratio=0.25, p<0.001

 

このようにプラセボと比較してイベニティでは有意に12か月/24か月時点の新規脊椎骨折累積発生率を減少させることが示されています。

 

1)FRAME試験:N Engl J Med. 2016 Oct 20;375(16):1532-1543.

 

BRIDGE試験:男性の骨粗鬆症

本試験は男性の骨粗鬆症患者さんを対象にイベニティとプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験です。2)

イベニティとプラセボの月1回投与を12か月間行います。

 

本試験の主要評価項目は「12か月時点の腰椎の骨密度の変化量」です。

試験群イベニティプラセボ
12か月時点の
腰椎の骨密度の変化量
12.1%1.2%
p<0.001
12か月時点の
全股関節の骨密度の変化量
2.5%-0.5%
p<0.001

 

男性においてもイベニティ投与によって骨密度が増加することが示されています。

 

2)BRIDGE試験:J Clin Endocrinol Metab. 2018 Sep 1;103(9):3183-3193.

 

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イベニティ皮下注の副作用

後日更新予定です。

米国ではARCH試験(イベニティ→アレンドロン酸 vs. アレンドロン酸 →アレンドロン酸)3)の結果を受けて、心血管系の有害事象が懸念されることから申請が一旦取り下げらています。その後、現在は再度申請して審査中とのことです。

 

日本人での心血管系の有害事象がどれくらい危険性があるのか、気になるポイントですね。

 

3)ARCH試験:N Engl J Med. 2017 Oct 12;377(15):1417-1427.

 

イベニティ皮下注の用法・用量

通常、成人にはロモソズマブとして210mgを1か月に1回、12か月間皮下投与します。

 

イベニティ皮下注の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

イベニティはこんな薬

  • スクレロスチンを特異的に阻害する抗体薬
  • 骨形成の促進と骨吸収の抑制作用によって骨粗鬆症に効果が期待できる
  • 月1回の皮下注投与
  • 心血管系の有害事象に注意が必要

 

骨粗鬆症治療薬としてよく使用されているビスホスホネート製剤(例:リクラストプラリア(一般名:デノスマブ)などとの使い分けについても今後検討が進めば興味深いと感じます。

 

以上、今回は骨粗鬆症とイベニティ(ロモソズマブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました☆

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。FP資格あり。

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