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アレセンサ(アレクチニブ)の作用機序【ALK陽性の肺がん・ALCL】

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2020年1月29日の厚労省 薬食審・医薬品第二部会にてアレセンサ(アレクチニブ)の効能・効果に「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)」を追加することについて審議される予定です。

中外製薬|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名アレセンサカプセル150mg
一般名アレクチニブ塩酸塩
製品名の由来ALECtinib + sENSible(賢明な、理にかなった)に由来する。
製造販売中外製薬(株)
効能・効果〇ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
〇再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫(予定)
用法・用量通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する。

 

アレセンサは既に20mgと40mg製剤が2014年に承認・販売されていましたが、服用錠剤数が多く、利便性が悪いといった問題点がありました。

 

木元 貴祥
その後、2015年9月2日に150mg製剤が承認され、より服用の利便性が向上していますね。

 

今回は非小細胞肺がんと未分化大細胞リンパ腫と共に、アレセンサ(アレクチニブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

肺がんの分類について

肺がんは性質や薬の効き方によって“非小細胞肺がん”と“小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

木元 貴祥
この分類によって使用できる治療薬が異なりますので、順に各組織分類別に解説していきます。

 

非小細胞肺がんの治療(切除不能・再発の場合)

非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。

  1. 非扁平上皮がん
  2. 扁平上皮がん

 

非小細胞肺がん(非扁平上皮)の初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。1)

 

 

 

 

 

 

 

抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用については以下の記事で解説しています。

テセントリク(アテゾリズマブ)の作用機序【肺がん/乳がん】

続きを見る

 

上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。

 

また、ALK融合遺伝子陽性は約2~5%とされ、推定患者数は1600~3900人と少数です。今回ご紹介するアレセンサはALKALK融合遺伝子陽性の患者さんに使用されます。

 

一方、非小細胞肺がんのうち、扁平上皮がんについては以下の記事をご確認ください。

ポートラーザ(ネシツムマブ)の作用機序と副作用【肺がん】

続きを見る

 

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)とALCL

末梢性T細胞リンパ腫(“PTCL”と略されます)は、血液腫瘍の一種ですが、あまり聞きなれない疾患かもしれません。

血液中にはご存知の通り、「白血球」と呼ばれる細胞が存在し、主に免疫を司っていますが、大きく“顆粒球”と“リンパ球”に分類されます。

 

  • 顆粒球:「好中球」、「好酸球」、「好塩基球」の3つの総称
  • リンパ球:「T細胞」、「B細胞」、「NK細胞」の3つの総称

 

今回ご紹介するPTCLは、血球細胞の中でも「リンパ球のT細胞」が異常増殖することで発症する疾患です。

また、細かくは4つ病型に分類されています。2)

  • 非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)
  • 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)
  • ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)
  • ALK陰性未分化大細胞リンパ腫

 

基本的な治療は抗がん剤の多剤併用による化学療法で、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種類の薬剤を用いるCHOPチョップ療法が一般的に行われています。3)

このCHOP療法で腫瘍細胞が消えた(完全奏効)場合、治療は終了で、以後は経過観察のみです。

 

ただし、CHOP療法で治療効果が認められなかった難治性の場合、または完全奏効後に再発した場合には、次に使用できる薬剤は限られていました。

 

木元 貴祥
アレセンサの今回の適応追加は上記のALCLで、CHOP療法で抵抗性が見られた場合や再発の場合に使用できる見込みですね。

 

ではここからALK融合遺伝子とがんの増殖について解説していきます。

 

ALK融合遺伝子とがんの増殖メカニズム

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞は増殖因子の結合する受容体を持っています。

受容体を構成する遺伝子の1つに「ALK遺伝子」が知られていますが、正常なALK遺伝子を持つ受容体では、増殖因子が結合することで、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

 

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

ただし、増殖因子が存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。

 

しかし、非小細胞肺がんの約2~5%の患者さんでは、ALK遺伝子と別の遺伝子が入れ替わって融合してしまうことが知られています。

融合してしまった遺伝子のことを「ALK融合遺伝子」と呼んでおり、これを元に「ALK融合タンパク」が合成されます。

 

ALK融合タンパクは、増殖因子が存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。

 

そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。

 

アレセンサ(アレクチニブ)の作用機序

アレセンサはALK融合遺伝子から合成されたALK融合タンパクを特異的に阻害する薬剤です!

 

ALK融合タンパクを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。

 

 

ALK融合タンパクは、がん細胞にしか存在していないため、アレセンサは正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。

 

用法・用量

<非小細胞肺がんの場合>

通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与します。

 

20mgと40mg製剤しかなかった頃は、40mg製剤を7カプセル、20mg製剤を1カプセルの計8カプセルを1日2回服用と非常に煩雑でした。

150mg製剤が登場したことで、1回あたり2カプセル(150mg×2)の服薬が可能となり、煩雑さが軽減されています。

 

<ALCLの場合>

後日更新予定です。

 

副作用

主な副作用として便秘、味覚異常、発疹、血中ビリルビン増加、AST(GOT)増加、CPK増加、血中クレアチニン増加などが報告されています。

 

稀に間質性肺炎が発現する可能性があるため、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等がないか確認することが大切です。

 

類薬とアレセンサの特徴(非小細胞肺がん)

ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに使用できるALK阻害薬は以下があります。

 

ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんの初回治療としてザーコリとアレセンサを直接比較する第Ⅲ相臨床試験(ALEX試験、J-ALEX試験)では、アレセンサの方が治療成績が良かったことが報告されています。4-5)

 

木元 貴祥
従って、現状では初回治療としてアレセンサがよく使用されていますね。

 

あとがき

近年、肺がんの治療薬は様々な薬剤が登場してきています。また、遺伝子検査を用いた治療が最も進んでいるのも肺がんです。

 

ALCLについては有効な薬剤が少なかったことから、アレセンサが新たな治療選択肢になることは朗報かもしれませんね。

 

以上、今回は非小細胞肺がんとALCLと共に、アレセンサ(アレクチニブ)の作用機序についてご紹介しました。

 

参考資料・論文等

  1.  日本肺癌学会|肺癌診療ガイドライン2019年版
  2. がん情報サービス|末梢性T細胞リンパ腫
  3. 日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版
  4. ALEX試験:N Engl J Med 2017; 377:829-838
  5. J-ALEX試験:Lancet. 2017 Jul 1;390(10089):29-39.

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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