6.腎・泌尿器系 12.悪性腫瘍

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【尿路上皮がん】

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厚労省は2017年12月25日キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))の新たな適応として「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」を効能・効果に追加することを承認したと発表がありました!

 

キイトルーダは、「悪性黒色腫」、「非小細胞肺がん」、「ホジキンリンパ腫」を効能・効果として既に販売されている薬剤ですが、上記の効能・効果が追加されました!

本日は尿路上皮がんとキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

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尿路上皮がん

尿路上皮がんとは、その名の通り、尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)に発生するがんです。

最も発生頻度の高いのは膀胱がんで、泌尿器科系悪性腫瘍の中では、前立腺がんに次いで多いがんです。

 

膀胱がんの症状は、赤色や茶色の尿(肉眼的血尿)が出ることが最も一般的な症状です。

また、頻繁に尿意を感じる、排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状を来すこともあります。

 

尿路上皮がんの治療

尿路上皮がんの治療の基本は外科手術です。

がんが全身に転移していない場合は、TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)もしくは開腹手術によって、がんを取り除きます。

 

しかしながら、発見時に全身に転移のある場合、手術はできないため、抗がん剤治療が基本となります。

通常、初回の治療はジェムザール(一般名:ゲムシタビン)とランダ/ブリプラチン(一般名:シスプラチン)を併用した治療が行われます。

 

しかしながら、ジェムザールとランダ/ブリプラチンによる治療に抵抗性を示した場合、次に使用できる薬剤は限られていました。

 

今回ご紹介するキイトルーダは、初回の抗がん剤治療に抵抗性を示した患者さんに使用できる薬剤です!

それではここから、キイトルーダに関係する「免疫チェックポイント」とキイトルーダの作用機序についてご紹介します☆

 

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がんと免疫チェックポイント

通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。

その一つに、がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1(ピーディーエルワン)」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。

 

PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。

 

本来、PD-L1やPD-1はT細胞が自己を攻撃しない(自己免疫抑制作用)のために体内に存在していますが、がん細胞はそれを逆手に取っています。

これを“免疫チェックポイント”と呼んでいます。

 

キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の作用機序

今回紹介するキイトルーダは、「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体薬」と呼ばれる、がん免疫療法薬です。

 

キイトルーダはT細胞の「PD-1」を特異的に抑制することで、がん細胞からのブレーキを解除させ、ヒト本来の免疫反応を活性化させます。

その結果、T細胞が、がん細胞を攻撃することでがん細胞を死に導く、といった作用機序を有しています☆

 

T細胞が活性化され、ヒト本来の免疫力によってがん細胞を攻撃しますので、従来の抗がん剤と比較して副作用が比較的少ないと言われています。

 

ただし、免疫活性化に伴い、自己免疫疾患(例:甲状腺機能異常、腸炎、一型糖尿病、肝炎)等の発現が認められていますので注意が必要となります。

 

キイトルーダの適応追加によって、尿路上皮がんの初回化学療法に抵抗性の患者さんに対して使用可能となりました!

 

キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の類薬とあとがき

同様の作用機序の薬剤(抗PD-1抗体薬)としてはオプジーボ(一般名:ニボルマブ)がありますが、オプジーボに尿路上皮がんの適応はありません

 

また、似た作用機序を有する抗PD-L1抗体薬のバベンチオ(一般名:アベルマブ)や、テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)がありますが、これらの薬剤にも尿路上皮がんの適応はありません

 

尿路上皮がんの分野ではキイトルーダのみが免疫療法として使用できる薬剤ですので、今後にも大いに期待したいと思います☆

 

今までのがん治療は、

  1. 手術
  2. 薬物治療(抗がん剤や分子標的薬)
  3. 放射線治療

が主な治療でしたが、近年はキイトルーダのような「免疫療法」もがん領域の新たな治療法の一つとして確立されてきています!

 

以上、本日は尿路上皮がんとキイトルーダの作用機序についてご紹介しました^^

参考になったらシェアいただけると嬉しいです!
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【薬剤師・講師】大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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