7.炎症・免疫・アレルギー

ソリリス(エクリズマブ)の作用機序【重症筋無力症】

更新日:

2019年10月25日の厚労省薬食審・医薬品第一部会にてソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ)の効能・効果に「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を追加することが承認了承されました!

 

ソリリスは既に

  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制
  • 非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制
  • 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)

を効能・効果として販売されている薬剤ですが、NMOSDに対しても適応拡大予定です♪

 

今回は代表疾患として、重症筋無力症とソリリス(エクリズマブ)の作用機序についてご紹介します☆

 

重症筋無力症とは

重症筋無力症(MG:myasthenia gravis)は難病に指定されている疾患で、神経と筋肉の境目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患です。

男女比は1:1.7で女性に多いのが特徴で、有病率は人口10万人あたり11.8人、患者数は15,100人とされています(2006年時点)。

 

症状としては、全身の筋力低下易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂(まぶたが下がってくる)、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴です。

また、嚥下が上手く出来なくなる場合もあり、重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともあります。

 

重症筋無力症の原因

通常、我々が筋肉を動かそうとする場合、神経筋接合部の運動神経の末端から「アセチルコリン」が放出され、これが筋肉の「アセチルコリン受容体」に結合することで筋肉が収縮します。

 

重症筋無力症の多くの患者さんでは何らかの原因でアセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生されていることが知られています。

この自己抗体がアセチルコリン受容体に結合することで、アセチルコリンが結合できなくなってしまい、筋肉が収縮できなくなってしまいます(筋力の低下)。

 

重症筋無力症の治療

対症療法としてコリンエステラーゼ阻害薬が使用されることもありますが、治療の基本は免疫療法で、この病気の原因である自己抗体の産生を抑制したり、取り除く治療です。

 

第1選択は自己抗体の産生を抑制するステロイド薬、第2選択は免疫抑制薬(タクロリムス、シクロスポリン)、第3選択は免疫グロブリン静注療法または血漿交換療法です。

これらの治療を行っても症状が改善しない場合、有望な治療法はありませんでしたが、本日ご紹介するソリリスは第3選択治療でも治療困難な患者さんに使用できる薬剤です!

 

それではここから、ソリリスが関与する「補体活性化経路」についてご紹介します。

 

補体活性化経路

補体(Complement)とは、生体が病原菌などを排除する際に、抗体抗原反応などを補助する免疫システムです。

補体にはいくつかの種類があり、C1~C9で表されます。

 

詳細は割愛しますが、免疫が活性化する際に、「レクチン経路」、「古典的経路」、「第二経路」と呼ばれる経路によって、補体の「C3」が産生・活性化されます。

この補体C3は、補体C5を「C5a」と「C5b」に分解します。

 

これらC5aやC5bは強力な炎症促進作用や細胞融解作用によって、病原菌を排除します。

 

重症筋無力症と補体活性

重症筋無力症では、自己抗体が大量に産生されている状態のため、体内の免疫反応が活性化されています。

 

それに伴い、補体活性化経路も過剰に活性化されている状態です。

 

そのため、補体C5aやC5bによって、様々な炎症反応や神経筋接合部の筋肉側の細胞破壊が引き起こされ、歩行しづらい、話しづらい、飲みこみづらい、呼吸しづらいといった深刻な症状を呈してしまいます。

補体の過剰な炎症反応によって筋肉自体が破壊されているイメージですね。

 

ソリリス(一般名:エクリズマブ)の作用機序

ソリリスは、補体C5に対して特異的に結合するモノクローナル抗体薬です。

作用機序としては、C5がC5aとC5bに分解されることを抑制し、過剰な補体活性化経路を抑制することで、既存の治療法で改善できなかった症状の改善効果を発揮すると考えられています!

ただし、ソリリスには髄膜炎菌感染症の発症リスクがあるため、十分に注意が必要です。

 

あとがき

ソリリスは既に以下の効能効果を有しています。

  1. 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制
  2. 非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制
  3. 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)

 

今後は視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に対しても適応拡大が期待されていますので、治療選択肢が広がることは朗報ではないでしょうか。

 

木元 貴祥
参考までに、ソリリスを長時間作用型として改良したユルトミリス(一般名:ラブリズマブ)も2019年に登場しています。

 

発作性夜間ヘモグロビン尿症とユルトミリスの作用機序、ソリリスとの違いについては以下の記事で解説していますので是非ご覧くださいませ。

ユルトミリス(ラブリズマブ)の作用機序:ソリリスとの違い【PNH】

続きを見る

 

以上、本日は重症筋無力症とソリリスの作用機序についてご紹介しました☆

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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