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「統合失調症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のレキサルティ錠1mg、同錠2mg(一般名:ブレクスピプラゾール)が2018年1月19日に承認されました!
製薬会社
- 製造販売元:大塚製薬(株)
レキサルティは「SDAM」という新規の作用機序を有する薬剤です☆
本日は、統合失調症とその治療薬、そしてレキサルティ(ブレクスピプラゾール)の作用機序についてご紹介します!
目次(クリック可)
統合失調症とは
統合失調症は認知機能障害、思考障害、感情変化ときわめて情緒不安定なまたは緊張性の行動を特徴とする精神障害です。
症状としては「陽性症状」と「陰性症状」があります。
- 陽性症状:妄想や幻覚、等
- 陰性症状:感情表現が乏しい、意欲低下、情動の平板化、引きこもり、感情鈍麻性、快感消失、注意力欠陥、社会能力の欠乏、等
イメージとしては、陽性症状は「ないものがある」、陰性症状は「あるべきものがない」といったところでしょうか。
発症年齢は、典型的には10代後半から20代前半であり、その原因は多面的で、遺伝的、環境的要因(ストレス等)の両方が関与するものと考えられています。
発症メカニズムと治療薬
統合失調症の陽性症状では、神経伝達物質の1つであるドパミン量が中脳辺縁系で過剰になっています。
これをドパミン仮説と呼び、統合失調症の治療においては、非常に長い歴史があるものでした。
ドパミンがドパミンD2受容体に作用することで陽性症状が発現するため、これを抑えるためにはドパミンD2受容体遮断薬(後述の“定型抗精神病薬”)を使用します。
一方、中脳辺縁系のドパミンが多くなっている陽性症状に比べて、陰性症状では逆に前頭前皮質のドパミン量が減っていることが知られています。
そのため、D2受容体遮断薬だけでは陰性症状まで改善することはできません。
ここで、D2受容体遮断薬に加えてセロトニンの作用を抑えれば陰性症状を改善できることが分かっています。
セロトニンとドパミンは拮抗の関係にありますので、セロトニンの作用を抑える(セロトニン受容体遮断)ことで、前頭前皮質のドパミン活性が高まり、その結果、陰性症状が改善すると言われています。
統合失調症治療薬の種類
統合失調症の治療の中心は薬物療法です。
治療薬には、「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」の二種類があります。
定型抗精神病薬は主に脳内のドパミンD2受容体のみを遮断して陽性症状を改善する薬ですが、陰性症状は改善できません。
また、D2受容体を強く遮断してしまうと、ドパミンによる刺激が極端に減少してしまい、副作用としてパーキンソン症候群が発現してしまいます。
これを「錐体外路障害」と呼んでいます。
ハロペリドールやクロルプロマジンが該当しますが、最近では陽性症状だけでなく陰性症状も改善する非定型抗精神病薬が良く使用されるため、定型抗精神病薬はあまり使用されていないと思います。
一方、非定型抗精神病薬は、比較的新しい薬で、作用の違いから「SDA系」「MARTA系」「DSS系」の3つに分類されており、こちらは陰性症状も改善することができます。
SDA系の作用機序(代表薬:リスパダール)
SDA(Serotonin-Dopamine Antagonist)は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンとドパミンの受容体を両方遮断する薬です。
過剰に放出されているドパミンの作用を抑制して、陽性症状を改善します。
また、セロトニンの作用を抑制することで、前頭前皮質のドパミン分泌が高まり、陰性症状を改善する効果もあります。
リスパダール(一般名:リスペリドン)、ルーラン(一般名:ペロスピロン)、ロナセン(一般名:ブロナンセリン)等が該当します。
MARTA系の作用機序(代表薬:ジプレキサ)
MARTA(Multi-Acting Receptor Target Antipsychotics)は、セロトニンやドパミンだけでなく、様々な神経伝達物質の受容体(アドレナリン受容体、ヒスタミンH1受容体、ムスカリン受容体、等)に作用して、過剰な働きを遮断する薬です。
SDAと同じように前頭前皮質のドパミン分泌を活発化するため、陰性症状にも効果があります。
ジプレキサ(一般名:オラザピン)、セロクエル(一般名:クエチアピン)等が該当します。
DSS系の作用機序(代表薬:エビリファイ)
DSS(Dopamine System Stabilizer)は、ドパミンが過剰に働いているときは抑制し、少量しか放出されていないときは、刺激するように作用する薬で、部分作動薬(パーシャルアゴニスト)と呼ばれています。
パーシャルアゴニストは、受容体を完全に遮断するのではなく、部分的に刺激する作用があります。
D2受容体を完全に遮断してしまうと、錐体外路障害が発現してしまいますが、パーシャルアゴニストでは部分的にD2受容体を刺激するため、ほどよい感じでドパミンのバランスが保たれます。
従って、ドパミンを正常な状態に近づけることが可能となりますので、陽性・陰性症状を共に改善することができます☆
また、錐体外路障害等の副作用が起きにくいのも特徴です。
エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)が該当します。
レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)の作用機序
レキサルティは、
- ドパミンD2受容体とセロトニン5HT1A受容体に対するパーシャルアゴニスト
- セロトニン5HT2A受容体に対するアンタゴニスト
として作用し、Serotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有する薬剤です!
ドパミンD2受容体とセロトニン5HT1A受容体に対するパーシャルアゴニストによってドパミンを正常な状態に近づけることが可能となりますので、陽性・陰性症状を共に改善することができます☆
また、セロトニン5HT2A受容体遮断作用を示すため、陰性症状のさらなる改善も期待できます!
もちろん錐体外路障害も発現しにくいとされています。
このように、ドパミン受容体だけでなく、セロトニン受容体にもパーシャルアゴニストとして働き、副作用を軽減しながら正常な状態へ近づける薬がレキサルティです☆
用法・用量としては、1日1回1mgから治療を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与して用います。
レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)の副作用
レキサルティの主な副作用としては、下痢や嘔気、体重増加、頭痛、アカシジア(そわそわして、じっと落ち着いていられない状態)等があります。
エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)との違い
ちなみにですが、レキサルティはエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)を改良した薬剤とのことです。
レキサルティとエビリファイは構造上、ほとんど同じですが、エビリファイのジクロロフェニル基がベンゾチオフェンに変換されているといった違いがあります。
作用点はレキサルティもエビリファイも同様ですが作用の強さが少し異なります。
- D2受容体パーシャルアゴニスト作用:レキサルティ<エビリファイ
- 5HT1A受容体パーシャルアゴニスト作用:レキサルティ>エビリファイ
- 5HT2A受容体アンタゴニスト作用:レキサルティ>エビリファイ
このように、ドパミン系(D2)はエビリファイの方が強く、セロトニン系(5HT)はレキサルティの方が強く作用するようです。
薬価
収載時(2018年4月18日)の薬価は以下の通りです。
- 1mg 1錠:268.90円
- 2mg 1錠:509.20円
レキサルティの特徴とあとがき
レキサルティは、臨床試験において、「うつ病」や「アルツハイマー型認知症」の改善効果も示唆されています。
ただし、今回の適応は「統合失調症」のみですので、うつ病やアルツハイマー型認知症には使用できません。
今後はどういった患者さんに適切なのか、他剤との比較、等が検討されれば興味深いと感じます^^
以上、本日は統合失調症とレキサルティについてご紹介しました☆
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