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【高血圧】ARB(アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬)の作用機序と薬剤一覧の紹介

今回は「高血圧症」とその治療薬の一つであるARB(アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬)の作用機序を中心にご紹介します。

ARBは数製品発売されており、配合剤も多く発売されていますので、その一覧についてもまとめてご紹介します。

 

高血圧症とは

高血圧はよく聞く疾患だと思います。

健康診断等で引っかかった方も多いのではないでしょうか?

血圧とは血管内の圧力のことで、通常は動脈圧を意味しています。

 

血圧は心臓が収縮するとき(血液を全身に送り出す時)に最も高くなり、これが「収縮期血圧」(上の血圧)と呼ばれています。

また、心臓が拡張するとき(血液を心臓に取り込んでいる時)には最低となり、これが「拡張期血圧」(下の血圧)と呼ばれています。

血圧の正常値は、

  • 収縮期血圧:140mmHg未満
  • 拡張期血圧:90mmHg未満

で、どちらかがこれ以上であれば高血圧症と診断されます。

 

ただし、一度の血圧測定で診断するのではなく、繰り返し、色々な場面で測定を行って、最終的に診断されます。

 

高血圧の症状

通常、高血圧になったとしても自覚症状はありません

しかしながら、放置してしまうと、脳出血・脳梗塞、心筋梗塞・心不全、不整脈、腎不全、大動脈瘤、脈硬化症といった多くの合併症を引き起こす原因となります。

従って、早期から治療を開始することが望ましいとされています。

 

高血圧症の治療

高血圧の治療の基本は「生活習慣の改善」です。

生活習慣の改善項目は以下の6項目があります。

  1. 食塩制限
  2. 野菜や果物の摂取とコレステロール・飽和脂肪酸の制限
  3. 適正体重の維持
  4. 運動療法
  5. アルコール制限
  6. 禁煙

これら生活習慣の改善を行っても高血圧が改善しない場合、薬物療法が行われます。

 

高血圧の治療薬(薬物療法)

高血圧治療薬の種類としては、以下のものがあります。

  • カルシウム(Ca)拮抗薬
  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬)
  • ACE阻害薬
  • 利尿薬
  • β遮断薬
  • アルドステロン拮抗薬(MR拮抗薬)

 

第一選択薬としては以下の積極的適応1)を考慮して選択されます。

Ca拮抗薬ARB/
ACE阻害薬
サイアザイド系
利尿薬
β遮断薬
左心肥大
LVEFの低下した
心不全
*1*1
頻脈
(非ジヒドロピリミジン系)
狭心症*2
心筋梗塞後
蛋白尿/微量アルブミン尿
を有するCKD

*1:少量から開始し、注意深く漸増する。
*2:冠攣縮には注意。

 

患者さんの合併症や状態に合わせて上記の薬剤の単剤治療から治療が開始されます。

単剤治療で効果が認められない場合、増量もしくは2種類以上の薬剤を適宜併用して治療を継続します。

 

よく用いられる薬剤としては、ARBもしくはCa拮抗薬の単剤もしくはそれらの併用療法だと思います。

 

木元 貴祥
それではここからARBの作用機序について説明します。

 

ARBの作用機序

体内には、血圧や体液バランスを保つために「レニン-アンジオテンシン系」と呼ばれる調節機構があります。

腎臓の糸球体の壁には傍糸球体装置と呼ばれる部位があり、血圧を感知して、レニンと呼ばれる物質の分泌を調節しています。

 

分泌されたレニンは、肝臓で合成された「アンジオテンシノーゲン」を「アンジオテンシンⅠ(ATⅠ)」に変換します。

その後、ATⅠは血管内皮細胞膜にあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)により「アンジオテンシンⅡ(ATⅡ)」に変換されます。

ATⅡが結合する受容体にはAT1受容体AT2受容体が知られていますが、主にはAT1受容体に結合して強力な血管収縮作用に伴う血圧上昇を引き起こします。

一方、AT2受容体に結合した場合には血管拡張作用があります。

 

今回ご紹介するARBはAT1受容体を阻害する作用機序を有した薬剤です!

AT1受容体を阻害することで血管収縮を抑制(血管拡張)し、血圧低下を促す作用があります。

AT1受容体阻害によって、心肥大の抑制も期待できることから、一部のARBでは心不全の適応を有した薬剤もあります。

ARBの全てが心不全の適応を有しているわけではありませんのでご注意ください。

また、妊婦妊娠している可能性のある患者さんへの投与は「禁忌」ですのでご注意ください。

 

ARBの一覧まとめと適応症

現在(2018.1.1)までに高血圧治療薬として販売されているARBは以下の通りです。

製品名一般名高血圧症以外の適応有無
ニューロタンロサルタン高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症
ブロプレスカンデサルタン腎実質性高血圧症、慢性心不全
ディオバンバルサルタン-
ミカルディステルミサルタン-
オルメテックオルメサルタン-
イルベタン/
アバプロ
イルベサルタン-
アジルバアジルサルタン-

高血圧症以外の効能効果(例:慢性心不全、等)を有している薬剤と、高血圧症のみの薬剤がありますので注意が必要です。

 

ディオバン(バルサルタン)については慢性心不全を対象とした配合剤のエントレスト(サクビトリルバルサルタン)が申請されていますので期待したいと思います!

エントレスト(サクビトリルバルサルタン)の作用機序・特徴【心不全】

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ARBの配合剤一覧

ARBはCa拮抗薬や利尿薬と併用される場合が多いため、服薬アドヒアランスの向上を目的として、いくつかの配合剤が発売されています。

  • ARB+Ca拮抗薬の配合剤一覧
製品名配合薬の一般名
(ARB+Ca拮抗薬)
エックスフォージバルサルタン+アムロジピン
レザルタスオルメサルタン+アゼルニジピン
ユニシアカンデサルタン+アムロジピン
ミカムロテルミサルタン+アムロジピン
アイミクスイルベサルタン+アムロジピン
アテディオバルサルタン+シルニジピン
ザクラスアジルサルタン+アムロジピン
  • ARB+利尿薬の配合剤一覧
製品名配合薬の一般名
(ARB+利尿薬)
プレミネントロサルタン+ヒドロクロロチアジド
コディオバルサルタン+ヒドロクロロチアジド
エカードカンデサルタン+ヒドロクロロチアジド
ミコンビテルミサルタン+ヒドロクロロチアジド
イルトライルベサルタン+トリクロルメチアジド

 

配合剤はある程度用量の定まったもの(多くは、低用量のLD製剤と高用量のHD製剤がある)ですので、細かな減量や増量等の調節ができません

 

従って、まずは単剤あるいは2剤併用から開始し、用量を固定したうえで配合剤へ切り替えるようにガイドラインで定められています。

そのため、配合剤は高血圧治療の第一選択薬として使用できない旨が添付文書に記載されています。

 

あとがき

ARBは現在多くの病院・クリニックで処方され、服用している患者さんも多くいらっしゃると思います。

最近ではARBのジェネリック医薬品(GE医薬品)も次々に登場してきています。

 

今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

以上、今回は高血圧症とARBの作用機序、そしてARBの一覧について簡単にご紹介しました☆

 

似たような作用機序を有するACE阻害薬については以下の記事をご参考ください。

【高血圧】ACE阻害薬の作用機序と薬剤一覧の紹介

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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