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ビジンプロ(ダコミチニブ)の作用機序と副作用【肺がん】

更新日:

EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」を効能・効果とするビジンプロ錠15mg、同錠45mg(一般名:ダコミチニブ)2019年1月8日に承認されました!

ポイント

  • 製造販売:ファイザー(株)

 

ビジンプロは第二世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に分類されている薬剤です。

今回は非小細胞肺がんの治療とビジンプロの作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 

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非小細胞肺がんと治療について

肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。

早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

 

非小細胞肺がんの初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。

 

 

 

 

 

 

  • 上記遺伝子等がすべて陰性の場合:抗がん剤(シスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ペメトレキセドなど)とアバスチンなどの分子標的薬を組み合わせた治療、もしくはこれらに免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダもしくはテセントリク)を併用

 

上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。

 

EGFR遺伝子変異陽性の肺がんと治療薬

がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞はしばしば「EGFR」と呼ばれるタンパク質を発現していることあります。

 

因子であるEGFが、がん細胞のEGFRに結合すると、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。

核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。

 

ただし、因子であるEGFが存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。

 

非小細胞肺がんの約半数の患者さんではEGFRの遺伝子に変異のあることが知られています。

これを「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」と呼んでいます。

 

EGFR遺伝子変異陽性の場合、因子であるEGFが存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。

そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。

 

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EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療では、これまで下記のいずれかのEGFR阻害薬が使用されます。最近、第三世代のタグリッソが一次治療から使用可能となりました(2018年8月より)。

 

今回ご紹介するビジンプロは「第二世代」に分類されるEGFR阻害薬です。

 

ビジンプロ(一般名:ダコミチニブ)の作用機序

ビジンプロは、EGFR遺伝子変異のあるEGFRを不可逆的に阻害する薬剤です!

EGFRを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。

 

EGFRはヒトの正常の細胞にも存在していますが、ビジンプロはがんの変異したEGFRを特異的に阻害するため、正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。

 

エビデンス紹介(一次治療):ARCHER 1050試験

一次治療の根拠となった臨床試験をご紹介します。1)

本試験はEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんの一次治療において、イレッサとビジンプロを直接比較する第Ⅲ相試験です。

 

主要評価項目は「無増悪生存期間(PFS)」で、結果は以下の通りでした。

試験群イレッサビジンプロ
PFS中央値9.2か月14.7か月
HR=0.59, p<0.0001
奏効率72%75%
p=0.4234
Grade 3以上の有害事象発現率41%63%

※PFS(無増悪生存期間):薬を投与してから、がんが大きく(増大)するまでの期間
†奏効率:がんが30%以上縮小した患者さんの割合

 

このようにビジンプロはイレッサと比較して有意なPFSの延長が認められています。

しかしながら、Grade 3以上の有害事象の発現率は高く、特にざ瘡様皮疹、下痢が高いと報告されていますので注意が必要です。

 

ビジンプロ錠の副作用

主な副作用として、下痢、爪囲炎、口内炎、ざ癒様皮膚炎、発疹・斑状丘疹状皮疹・紅斑性皮疹、等が報告されています。

 

特に下痢と皮膚毒性は発現率が高いことから、減量・休薬をしっかりと行うことが重要だと思われます。

 

ビジンプロ錠の用法・用量

1日1回45mgを経口投与します。なお、患者さんの状態により適宜減量します。

 

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ビジンプロ錠の薬価

現時点では薬価未収載です。

収載予定時(2019年2月26日)の薬価は以下の通りです。

  • ビジンプロ錠15mg:3,850.60円
  • ビジンプロ錠45mg:10,748.00円(1日薬価:10,748.00円)

 

算定方法等については以下の記事をご参照ください。

>>【新薬:薬価収載】13製品+再生医療等製品(2019年2月26日)

 

まとめ・あとがき

ビジンプロはこんな薬

  • 第二世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(不可逆的)
  • イレッサと比較して有意にPFSを延長した
  • 下痢と皮膚障害に注意

 

2018年8月には第三世代のEGFR阻害薬のタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)が一次治療から使用可能となりました。

 

臨床試験の成績(有効性・安全性)を見比べると、タグリッソ2)の方が良さそうな印象を受けますが、対象症例の違い等がありますので、今後のフォローアップ解析に結果にも注目したいと思います。

 

今後は最適な一次治療⇒二次治療のEGFR阻害薬の選択等について検討が進めば興味深いと感じます!

以上、今回は非小細胞肺がんのビジンプロ(ダコミチニブ)の作用機序とエビデンスについてご紹介しました☆

 

引用文献・資料等

  1. ARCHER 1050試験:Lancet Oncol. 2017 Nov;18(11):1454-1466.
  2. FLAURA試験:N Engl J Med. 2018 Jan 11;378(2):113-125.
   

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【薬剤師・講師】大阪薬科大学 卒。外資系製薬メーカー(MR)、薬剤師国家試験予備校講師、調剤薬局薬剤師を経て現在に至る。今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師です。薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。>>プロフィール詳細はこちら

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